おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック 2021年11月28日『スイートソウルで棚からひとつかみ』

達郎氏による曲の解説部分を要約して記載しています(青字部分は書き起こし)。ネットに楽曲データがあるものは張り付けていますが、オンエアされた音源とは異なる場合が多々あります。

f:id:bakoji:20220308114040j:plain

 

2021年11月28日プレイリスト「スイート・ソウルで棚からひとつかみ」
1. パレード / SOTARO
2. DIDN'T I (BLOW YOUR MIND THIS TIME) / THE DELFONICS 
3. TONIGHT IS THE NIGHT / THE ISLEY BROTHERS
4. YOU'RE AS RIGHT AS RAIN / THE STYLISTICS
5. I STILL LOVE YOU / WINDY CITY 
6. LEAVE IT UP TO ME / OMNI 
7. コンポジション / 山下達郎

先週は「スウィートソウルで棚からひとつかみ」
久しぶりなんて申し上げましたが、去年もやりましたね。
だいたいこの11月とか、そのくらいに合うプログラムでご好評いただきましたので、今週も続けて。
2週続けて「スウィートソウルで棚からひとつかみ」

先週は、今までかけたやつ、それでも10年ぶりくらいの。
それと、一度もかけたことのないヤツを交互に。
今週もそんな感じで、やりたいと思いますが、わりと前半は有名どころと言いましょうか。
先週は「ベタ」と申しましたが、スウィートソウルなんて、もともとですね、日本では全く一般化した音楽ではありませんでした。

80年代は、ほんとにラジオでオンエアすることが少なかったんですけども。
最近は、なんて言いましょうか、サブスクリプションの関係と、あとノーザンソウルの大ブーム。
高額物件といえば、スウィートソウルとか、そういうものになってきましたので。
コレクターの人たちが増えてきましたので。
いろいろとですね「なんだ、そんな曲は!」とかそういうことをですね、言う人もたくさんおりますので。
そういうこととは、まったく関係なしにまいります。

今週は、ずいぶんリクエストもいただきましたので、リクエスト少しお応えしつつ。
ちょっと昼にはですね、トゥーマッチの感じがいたしますので、最近はラジコというありがたいものがございますので。
夜に、くりかえしてお聴きをいただきますと、一段と趣が増す、ブツブツ言っております。

日曜日の午後のひと時、本日もすてきなオールディーズソングでお楽しみいただきます山下達郎サンデーソングブック「スウィートソウルで棚からひとつかみ」

その前に。

ボーカルグループ「Smooth Ace」
重住ひろこさん、すばらしいボーカリストですけれども。
旦那さんの岡村玄さん、たくさん作品出してらっしゃいます。
お子さんが10歳。
2011年、頭クラクラしますが(笑)小学校4年生のSOTAROくん

この子がですね、歌うことが大好きで、たくさんCMも手掛けておりますが、ついにレコードを、ソロシングルを出すことになりました。
7インチ・シングル盤 12月15日発売、それがなんと、私の「パレード」であります。
今日はぜひお聴きをいただきたいと思います。
ディストリビューターはヴィヴィド・サウンド、筋がしっかりしております。
12月15日発売、SOTAROくん10歳、「パレード」
パレード / SOTARO



スイート・ソウルといえばデルフォニックス。
フィラデルフィアの初期を代表するヴォーカル・グループで、いちばん有名なのは「LA-LA(MEANS I LOVE YOU)」だが、ミリオンセラーになったのは「DIDN'T I (BLOW YOUR MIND THIS TIME)」だけ。
1973年、全米ソウル・チャート3位、全米でも10位のヒット。
DIDN'T I (BLOW YOUR MIND THIS TIME) / THE DELFONICS 


若い方からデルフォニックスにリクエストが来て、すごい世のなかになったなと。
再三言っているが、1970年でデルフォニックスのレコード買ってる人なんて、そんなにいない。
だいたいレコードが、ろくすっぽ出なかった。
先週も話したがテディ・ペンダーグラスの1981年の『IT'S TIME FOR LOVE』、その前の『TEDDY』は正真正銘、日本盤は700枚しか売れなかった。そういう時代だった。


次のアイズリー・ブラザーズも日本盤は数百枚しか売れなかった。
1981年のアルバム『GRAND SLAM』はジャケットを変えられてしまった。
黒人音楽はホットすぎて嫌だとかで、ワイングラスのジャケットに変えられた。それがまた悪循環を生んだ。
私は今でも1981年のアルバム『GRAND SLAM』がアイズリーの最高傑作だと信じて疑わない。その1曲めに入ってる「TONIGHT IS THE NIGHT」。
調べたらこの曲、番組でオンエアするのはこれが初めて。
TONIGHT IS THE NIGHT / THE ISLEY BROTHERS


スイート・ソウルといえば、日本で代表的なグループはなんといってもスタイリスティックス。
ラッセル・トンプキンスの歌唱力は素晴らしい。
1972年のアルバム『ROUND 2』から、私の大好きにトム・ベルの作品「YOU'RE AS RIGHT AS RAIN」。
YOU'RE AS RIGHT AS RAIN / THE STYLISTICS


ウインディ・シティはシカゴのヴォーカル・グループ。
アルバムが一枚だけ出ているが、シングルだけの曲が結構ある。
ジェームス・マックはシカゴを代表するアレンジャーの一人で、日本でいちばん有名なのはマンハッタンズの「SHINING STAR」。
タイロン・デイヴィス、ジェリー・バトラー、ラムゼイ・ルイスなどのアレンジを担当している。
ウインディ・シティの1980年、全米ソウル・チャート72位の「I STILL LOVE YOU」。
カール・デイヴィスとオーティス・リーヴィルのプロデュース。
I STILL LOVE YOU / WINDY CITY 


オムニはシカゴのグループ。ほとんど無名だが、私は80年代に入れ込んで毎日のように聴いていた。
この曲は80年代に一度ラジオでかけたが、この番組では初オンエア。
1982年のセカンド・アルバム『ALL FOR THE ONE』に入ってる「LEAVE IT UP TO ME」。
LEAVE IT UP TO ME / OMNI 



あんまりネガティブなおたよりは紹介しないんですけれど。
このスウィートソウル、80年代くらいはですね、日本ではまったく聴く機会もありませんし、リズム&ブルースがそんなに一般化しない時代ですと、こういう特集をやると「全部同じに聴こえる」とかですね、そういうようなお便りがありました(笑)
今でも来ます。
とある方からですね「スウィートソウルは私は苦手です。全部同じに聴こえます。もうちょっとバラエティを持った番組を作ったら」
そんなに無理してお聴きにならなくてもいいっすからね、ほんとに(笑)

全部同じようなのがいいんです。
その空気感といいましょうか、その期待感といいましょうか、それがこうしたスウィートソウルのジャンルを作っているのでですね。
なんでもかんでも、千変万化、変ったもの、変化するものがいいわけじゃない。
変っていく、新しいものこそが、Newest is the Bestみたいな、すごい偏った考え方がまだ残ってますのでですね。
そういうものには加担しないで、自分の好きな、そういうものを追っていきたいなと、そういう人生でございました。あしからず、ひとつ(笑)

と言うわけで、今日はこのへんで。
私もスウィートソウルとっても好きなので、そういうようなものに影響を受けた曲を、何曲も書いてきました。
2013年の「コンポジション」というシングルのカップリングに入ってる曲ですけども、まだアルバムに入っておりません。
次のアルバムに入れるべく、今年リミックスしました。
この10年近くの間にオーディオのスペックがものすごく変わりましたので、そういうものに合わせてリミックスをほどこしたバージョンを今日はお聴きを頂きたいと思います。
今日の最後は「コンポジション」2021年リミックス。
コンポジション / 山下達郎

 

<了>

 

このほかの「サンデーソングブック」関連記事はこちら