おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック2024年1月28日『棚からひとつかみ』

番組中の曲解説の主要な部分を要約して記しています(青文字は書き起こし)。ネットに音源がある楽曲にはリンクを張っていますが、オンエアされた音源とはヴァージョンが異なる場合が多々あります。

 

1. ヘロン / 山下達郎 '98
2. LA LA LA / THE SHAMROCKS '64
3. DREAMIN' / GENERAL JOHNSON & THE CHAIRMEN OF THE BOARD  '93
4. HAVE YOU EVER / THE ENCHANTED FIVE '69
5. THE LIFE OF A CLOWN / BEN AIKEN '67
6. WHENEVER A TEENAGER CRIES / REPARATA & THE DELRONS '65
7. LOVE CAME TO ME / DION '62
8. HEY BABY / ANTHONY WHITE '75
9. BETTER BELIEVE IT / BRENTON WOOD '75
10. バラ色の人生~ラ・ヴィ・アン・ローズ / 山下達郎 '11

 

世相が割と混沌としているので、明るく明るくを心がけます。
そうしますとこういうリクエストがたくさん。お馴染み「ヘロン」
ヘロン / 山下達郎 

 

まずはザ・シャムロックス。1960年代にスウェーデンで活躍したバンド。
この曲は日本でも人気があった。単純明快な曲。
もともとは1962年のスティービー・ワンダーの最初期の曲で、カリフォルニアのラテン系チカーノのバンド、ブレンデルスがカバーして1964年にヒットさせた。
シャムロックスが更にカバーして、同じ1964年にヒットさせた。
日本でもたいへんヒットして、私も中学生のときにアマチュア・バンドでやっていた。
演奏がしっかりしたトラック。
LA LA LA / THE SHAMROCKS 

 

ジェネラル・ジョンソン&チェアメン・オブ・ザ・ボード、変わった声で有名な人。
1993年に再結成してアルバム『WHAT GOES AROUND COMES AROUND』を出した。その中に入ってる一曲「DREAMIN'」。
DREAMIN' / GENERAL JOHNSON & THE CHAIRMEN OF THE BOARD  

 

お次はソウルもの。エンチャンテッド・ファイブというオハイオのヴォーカル・グループ。
1969年のシングルでわりと有名な「HAVE YOU EVER」
エンチャンテッド・ファイブはのちにアルティメッツに発展するが、そのアルティメッツの名義でも発売されている。
HAVE YOU EVER / THE ENCHANTED FIVE 

 

相変わらずソングライターものを買っていて、これはジョージ・カーのプロデュース作品。
歌っているのはベン・エイケンかアイクンと読むのか。
フィラデルフィアのシンガーで、たくさんシングル出しているが、ヒットはあまりない。アルバムもない。
1967年の「THE LIFE OF A CLOWN」はジョージ・カーのプロデュースらしい曲。アレンジはリチャード・ティー。
なかなかの味わいの作品。
THE LIFE OF A CLOWN / BEN AIKEN 

 

私の世代にとってオールディーズの情報っていうのはなかなか手に入らないものでした。
60年代の終わりから70年代の頭ですけれども。
そんな中でそうしたオールディーズのファンマガジンの草分けと言えるのが、今は亡き宮下静雄さんの『FOREVER MAGAZINE』というのがありまして。
それともう一つ神谷誠一さんという方がやってらした『バック・トゥ・ザ・ロック』というマガジン、この2つが我々のオールディーズの情報としては本当に貴重なミニコミでありまして。

その神谷誠一さんは宮治淳一さんとも、とっても関係が深い方だったんですけれども、今年の1月3日に73歳でお亡くなりになりました。
神谷さんの本には、本当にいろんなことを教えていただきました。
私が結婚した時に、ラスカルズのスパニッシュ・バージョンとイタリアン・バージョンのシングルをプレゼントしてくださいました。

でも神谷さん、私と3つしか違わなかったんですね。この訃報で初めて知ったんですけども。

本当に宮下静雄さんと神谷誠一さん、このお二方がいなければ、我々のオールディーズ情報っていうのは、ずいぶん遅れたものになってたということを、今更ながら。
あの当時は今みたいにネットなんてありませんから、本当に資料を細かく当たってデータを探すしかないという時代だったので、本当にためになりました。

ご冥福お祈りしがてら、神谷さんの好きだった1曲
Reparata & The Delrons、ニューヨークのガールグループですけれども、この人たちの1965年のヒットソング「Whenever A Teenager Cries」
これをお聴きいただきましてご冥福をお祈りしたいと思います。
WHENEVER A TEENAGER CRIES / REPARATA & THE DELRONS


これをかけたら急にディオンが頭の中で鳴って、じゃあかけちゃおうと。
私の永遠のアイドル、ディオンの1962年のベストテン・ヒット「LOVE CAME TO ME」
LOVE CAME TO ME / DION

 

私はコレクター体質ではあるけれど、オリジナル盤が絶対ではなくて、リイシューでも音のいいやつならいい。
そうして買ったレコードの山の中にあって出てきたのがアンソニー・ホワイト。
フィラデルフィアのキーボード奏者だけれど、一枚だけアルバムが出ている。これ結構レアなやつ。
1976年にフィラデルフィア・インターナショナルから出た『COULD IT BE MAGIC』。1990年代以降に再評価されたアルバム。
このアルバムの前にフィラデルフィア・インターナショナルから一枚シングルを出していて、これがレアでむちゃくちゃ高い。昔買ったボロボロのシングルしかなかったが、十年ほど前にリイシューが出て、意外と音がよくて好きで聴いていたのが、山の中から出てきた。
1975年の作品、アンソニー・ホワイトの「HEY BABY」。
歌える人だが、サルソウルに移って、あまりヒットがでなくて、ゴスペルの世界に行った。
HEY BABY / ANTHONY WHITE

 

新春放談でサンレイズのリック・ヘンの話がでて、サーフィン・ホッドロッドシーンから抜けた後は、R&B系のアレンジをたくさんやっていると。
興味を持って集めていると、こないだ来たのがブレントン・ウッド。
ワーナーからのシングルで1975年に発売した「BETTER BELIEVE」。これがなかなか出来がいい。
プロデュース・クレジットはないがアレンジがリック・ヘン。
BETTER BELIEVE IT / BRENTON WOOD 

 

リスナーから「今月、私の夫が誕生日と共に退職を迎えます。この日のためにサンソンへリクエストは『バラ色の人生~ラヴィアンローズ』と十年以上前から決めていましたが、現在の状況を考えると難しいのはわかっています。せめてこのハガキ、達郎さんにお目を通していただければ、それだけでもうれしいです」というお便り。これに応えて。
バラ色の人生~ラ・ヴィ・アン・ローズ / 山下達郎