おとのほそみち

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山下達郎サンデーソングブック2021年6月6日「B.J.THOMAS 追悼で棚からひとつかみ」

達郎氏による曲の解説部分を要約して記載しています(青字部分は書き起こし)。ネットに楽曲データがあるものは張り付けていますが、オンエアされた音源とは異なる場合が多々あります。

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1. アトムの子 (LIVE) / 山下達郎 "18/11/02 カルッツかわさき"
2. I JUST CAN'T HELP BELIEVING / B.J.THOMAS '70
3. MIGHTY CLOUDS OF JOY / B.J.THOMAS '71
4. ROCK AND ROLL LULLABY / B.J.THOMAS '72
5. SWEET CHERRY WINE / B.J.THOMAS "BILLY JOE THOMAS" '72
6. (HEY WON'T YOU PLAY) ANOTHER SOMEBODY DONE SOMEBODY WRONG SONG / B.J.THOMAS '75
7. DON'T YOU LOVE ME ANYMORE / B.J.THOMAS "AS WE KNOW HIM" '82
8. DRIP DROP (おうちアカペラ) / 山下達郎 "ON THE STREET CORNER 1" '80

 

B.J.トーマスの訃報が入って参りまして、5月29日、亡くなりました。
B.J.トーマスは、私、ほんとに好きなシンガーで。
70年前後に、聴いて聴いて聴きまくった時代があります。
でも日本では、B.J.トーマスは、よく言うと「渋い」悪く言うと「ちょっと地味」な人なので。日本ではですね。
ヒットも「Raindrops Keep Fallin’ on My Head 雨にぬれても」ぐらいしかございませんが、私、ほんとに好きなので。

今日は、じゃぁ前半は何曲かですね、B.J.トーマスの作品をかけようかなと思って選曲を始めましたら、とんでもない。
2曲、3曲じゃとても間に合わない(笑)
ですので今日は全部B.J.トーマスでございます。
『B.J.トーマス追悼で棚からひとつかみ』
特集じゃございません。
特集だったら「雨にぬれても」をかけなきゃいけませんが、かかりません。
私の好きな、いつも申し上げております、私的なプログラムでございます。
ですので『B.J.トーマス追悼で棚からひとつかみ』
今日は、頭から終わりまでB.J.トーマスでお楽しみいただきたいと思います。
至玉の名曲、私の大好きな名曲が満載でございます。
日曜日の午後のひと時、今日はいわゆるカントリー・ポップス、サザン・ポップス・・
でもB.J.トーマスは、ホワイト・ゴスペルから出てきた人なので、そうしたソウルフルなテイストを十分持っている方であります。
ご堪能いただければと思います。
本日も、最高の選曲と最高お音質でお届けをいたします『B.J.トーマス追悼で棚からひとつかみ』

(リクエストに応えて)
本邦初出ですが、先週に引き続き、2018年11月2日のカルッツかわさきでのライブのPAアウトから「アトムの子」

アトムの子 (LIVE) / 山下達郎

 

B.J.トーマスはオクラホマ生まれでテキサス育ちの南部人。
十代のときに教会音楽をやっていて、それからプロになり、1966年にハンク・ウィリアムスの「I'M SO LONESOME I COULD CRY」がヒットしてデビューした。
(達郎氏は)十代の頃、ソングライターに興味があり、中でもアメリカを代表する作曲家、バリー・マン / シンシア・ワイルのバリー・マンに影響を受けて、バリー・マンの作品をいろいろと調べた。その中で出会ったのが、1970年のベストテン・ヒット「I JUST CAN'T HELP BELIEVING」だった。
プロデュースはチップス・モーマンでメンフィスのレコーディング。
1970年代のバリー・マンの曲を聴くならB.J.トーマスという時代だったが、いかんせんB.J.トーマスは割と内省的な歌い方をするし、悲しい声をしていたので、日本ではイマイチ受けなかった。
加えてディストリヴュートがセプター・レーベルで、当時のセプターはテイチクがディストリヴュートしていて、洋楽のプロモーションがイマイチ弱かった。
それらが重なって日本ではなかなか人気が出なかった。

I JUST CAN'T HELP BELIEVING / B.J.THOMAS 

 

いちばん好きなB.J.トーマスの曲は「MIGHTY CLOUDS OF JOY」。
1971年、全米34位のいわゆるゴスペル・ロック。
レコーディングはアトランタで、プロデューサーはバディ・ビューイとロバート・ニックス。
アトランタ・リズム・セクションの作品。邦題は「歓びのハレルヤ」。

MIGHTY CLOUDS OF JOY / B.J.THOMAS 

 

B.J.トーマスはこの時代、バリー・マンの曲をたくさん取り上げていて、特に1972年、1973年のアルバムにたくさん入っている。その中からヒットが生まれた。
日本でも大変お馴染みの「ROCK AND ROLL LULLABY」。
16歳で出産したシングル・マザーへの愛の歌。
セプター・レコードが経営難でプロモーションが思うようにできず全米15位に終わった。
しかい曲は残り、今では傑作と言われている。
1972年のアルバム『BILLY JOE THOMAS』もチャート100位にも入らなかったが、日本では私の仲間が言い続けてきたので、日本盤CDが出た。

この時代のB.J.トーマスのアルバムや、先週かけたバリー・マンのアルバム『LAY IT ALL OUT』はニューヨークレコーディングで、ドラムはアラン・シュワルツバーグ。
この人はうまいなと思って『CIRCUSTOWN』で指名をしてアラン・シュワルツバーグにドラムを叩いてもらった。

ROCK AND ROLL LULLABY / B.J.THOMAS

 

さきほどの『BILLY JOE THOMAS』からもう一曲。
「SWEET CHERRY WINE」もバリー・マン / シンシア・ワイルの作品。
1986年2にNHKのサウンドストリートでB.J.トーマスの特集をしているが、今日はそのときと全く同じ曲順で、頭の3曲がなくてお終いにそれ以降の1曲がくっついてる。
何にも趣味が変わってないという情けなさ(笑)

SWEET CHERRY WINE / B.J.THOMAS

 

1975年にレーベルを移籍。
プロデューサーのチップス・モーマンと再度コンビを組んで出した作品が、全米NO.1のミリオンセラーになった。
アメリカでは代表作の一作「(HEY WON'T YOU PLAY) ANOTHER SOMEBODY DONE SOMEBODY WRONG SONG」。邦題は「心にひびく愛の歌」。

 (HEY WON'T YOU PLAY) ANOTHER SOMEBODY DONE SOMEBODY WRONG SONG / B.J.THOMAS 



1982年のアルバム『AS WE KNOW HIM』から。
ブルース・ロバーツとキャロル・ベイヤー・セイガーの作品で、アレンジはニック・デカロ。

DON'T YOU LOVE ME ANYMORE / B.J.THOMAS 

 

というわけで『B.J.トーマス 追悼で棚からひとつかみ』でございました。
私にとっては、サザンロックはオールマンでもレーナード・スキナードではなくて
クラシックスⅣとかB.J.トーマスとか、そういうものでありました。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

今日の最後は、去年聴いていただいた「お家アカペラ」で、オン・ザ・ストリート・コーナー1から、雨の歌。
DRIP DROP (おうちアカペラ) / 山下達郎

 

<了>