松本隆氏が作家活動50周年を迎えたことをきっかけに、再注目・再評価の気運が高まり、トリビュートアルバムや関連書籍のリリースが相次いでいる。
なかでも「風街とデラシネ」は、書籍とCDの連動企画という面白い試みだ。
松本氏の功績をいまさらここで語るまでもない。
これらの書籍に、見事に示されている。
もし私が氏の作品から一つ選べと言われれば、松田聖子の諸作品などと迷いながらも、KinKi Kidsの「硝子の少年」を選ぶ。
上記の書籍にも記されているが、ジャニーズ事務所からの「ミリオン(100万枚)が最低条件」というプレッシャーの中で書き上げ、ミリオンどころか約180万枚という大ヒットを生んだ。
山下達郎氏による作・編曲も素晴らしく、ジャニーズ史上、さらには日本のポップス史に残る名作だと思える。
詞自体も素晴らしいが、「硝子の少年」というタイトルと世界観が、KinKi Kidsのキャタラクターを決定づけたことに大きな意味がある。
近年、男性アイドルの歳のとり方、キャリアの重ね方が、たびたび話題となり、ジャニーズタレントの中にも、アイドルからの脱皮、方向転換を図る人が少なくない。
しかし、KinKi Kidsの二人は40代を迎えながらも、未だに強く少年性を感じさせている。
松本氏はKinKi Kidsに会ったとき「壊れやすそうだけど、したたかそう」と感じ、「硝子」というキーワードがひらめいたという。
「壊れやすそうだけど、したたかそう」、これはいま現在のKinKi Kidsにも当てはまる。
だから彼らはいまも少年性をたたえ続けているのだ。
下記の動画は「硝子の少年」のアコースティックヴァージョン、2017年のMステ特番で放映されたものらしい。
※冒頭の写真は『NHK MUSIC SPECIAL 松本隆 50年』出演時のもの
<了>