オンエアされた曲に関する達郎氏のコメントを書き起こしています(一部要約あり)。インフォメーションやリスナーからのメッセージは割愛しています。リンクを張っている音源は、オンエアされた音源とは異なることが多々あります。
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1. 十字路 / 山下達郎 "ポケット・ミュージック" '86
2. [ DON PEAKE? ]LET THE MUSIC PLAY / BARRY WHITE '75
3. [ THOM BELL ]GHETTO CHILD / THE SPINNERS '73
4. [ JIMMIE HASKELL ]LADY HONEY / PAN "PAN" '73
5. [ BOBBY MARTIN ]ME & MRS.JONES / BILLY PAUL '72
6. [ DON SEBESKY ]SHE WAS TOO GOOD TO ME / CHET BAKER "SHE WAS TOO GOOD TO ME" '74
7. [ 服部克久 ]BE MY LOVE / 山下達郎 "SEASON'S GREETINGS" '93
先週に引き続きまして『ストリングスで棚から一つかみ』
先週は、ストリングスものでですね、お聴きをいただきまして、とってもご好評いただきまして(笑)
今週も続けてパート2でございますけれども。
正直申し上げててですね、1週間でやめればよかった。後悔ですね(笑)
多すぎるんです(笑)とにかくストリングス、なんつったって。
古今東西ですね、いろんなもん、ありすぎまして、さぁどうしようって、途方に暮れておりまして。
ですので、自分が好きなヤツをですね、並べていこうと。
あくまでストリングス主体の「棚つか」なので、いわゆるオーケストレーションとか編曲とか、そういうものじゃないので。
そうなると、すごくまたさらに広がってきまして、ま、しょうがない。
先週は、わりとアカデミックなストリングス主体で。
今週は、歌もののバック、特にR&B、歌のバックのストリングスをもってきました。
これでお楽しみいただきたいと思います。
いろいろデータを調べますとですね、この人がやってると思ってたのが、ぜんぜん違ったり、勘違いがすごくたくさんあったりするんです(笑)
自分が勉強になっております。ぶつぶつ言ってないで始めます(笑)
雨・・・しつこいので「雨」の一曲を。
もうすぐリマスター再発されます。
1986年の私のアルバム『POCKET MUSIC』に収録されております。
こんなような情緒の雨の歌が、普通に歌える、そういうような気候に戻ってほしいなと、願い込めまして。
十字路 / 山下達郎
[ DON PEAKE ]LET THE MUSIC PLAY / BARRY WHITE
冒頭に申し上げましたみたいに、ストリングス主体の曲。
で、なるべく「歌もの」でいってみたいと。
ストリングスといいますと、まずバリー・ホワイト「愛のテーマ」
たくさんリクエストいただきましたけども。
僕はもうバリー・ホワイトっていったら、全作品の中でこれがナンバーワンであります。
「Let The Music Play」、1976年初頭のシングル。全米ソウルチャート4位。
珍しくですね、ブラスが入ってないですよね。
ストリングスだけのフューチャーでいってますので。
今日はこれをかけてみました。
だいたい、かけるといったら、これか「SATIN SOUL」ですが、「SATIN SOUL」はストリングスが小さいんですよね。なので、こっちのほうが。
で、1976年のこのバリー・ホワイト。ストリングス、当然ジーン・ペイジだと思ってたんですけども、シングルを見ますとですね、シングル・バージョンでお聴きをいただいておりますが、アレンジ&コンダクト byバリーホワイト単独のクレジットになってます。
これ、ジーン・ペイジでしょて思ってて、昔からですね。
また何か、仲たがいして、あれしたのかなとかいろんなことを勘ぐりましたら、アルバムをよーく見ておりましたらですね、スペシャル・サンクス・トゥ・ドン・ピーク・オーケストレーションと書いてある。
ドン・ピーク、ギタリストですけれども、ウェストコーストの。
いわゆるレッキング・クルーのメンバーで、いろんな人をやっておりまして。
R&Bでもタバレスですとかグロリア・ゲイナーとかたくさん仕事しております。
ですのね多分ドン・ピークに頼んで、このバリーホワイト風に仕上げたと。
でも素晴らしいストリングス・アレンジメントであります。
躍動感あふれる。
2012年に発売されましたHip-O SelectのCDに入っております、シングルバージョンのリマスタリングなんですけど、音が若干ドロップしているところがありますが、それはオリジナルマスターの責任です。でもこれがいちばん音がいいので。
今日の前半はR&B関係のアレンジャー。となるとなんといってもトム・ベルであります。
トム・ベルも星の数ほど名作がありますが、この曲も比較的ブラスの役割が少ない、弦の顔立ちがはっきりしてる曲なので、曲はこれをお聞きいただきます。
スピナーズの1973年、トム・ベルの全盛期の素晴らしいアレンジで、全米ソウル・チャート4位
[ THOM BELL ]GHETTO CHILD / THE SPINNERS
ゲットーで疎外感を味わっている少年たちへの応援ソングとして有名な曲です。
トム・ベルの作曲、プロデュース、アレンジ。シグマ・サウンドでのレコーディング。エンジニアがジョー・ターシャ。ヴァッキングは最全盛期のMFSB。パーフェクトなトラックです。
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私の大好きなストリングスアレンジャー、ジミー・ハスケル。
ウエストコーストの人ですけど、この人も枚挙に暇がありません。
有名なところだと、ボビー・ジェントリーの「Ode to Billie Joe」とか不思議なアレンジもありますけど、次にお聞きいただくようなアカデミックなストリングスも、自家薬籠中のものです。
『PAN』という1973年に発売された一枚だけのアルバム。
リーダーシップをとっているのが、ロン・エリオットというボ・ブラメルズのメンバーですけれども、アコースティックのサウンドがすごくきれいな一枚です。
日本で大変な人気がありますけど、アメリカでは全くかすりもしませんでした。
未だに美しい音で聴くことができます。
1973年のPAN、同名のアルバム『PAN』から、私この曲大好きでよくかけております。「LADY HONEY」
[ JIMMIE HASKELL ]LADY HONEY / PAN
PANはセッショングループで、そのほかにはキース・バーバー、この人には「エコー・パーク」というヒットがありますが、そんなメンバーが参加してます。
「LADY HONEY」は間奏のストリングスの美しさといいましょうか。
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またフィラデルフィアに戻りますが、フィラデルフィアといえばストリングスのオーケストレーションはトム・ベルと並んで大アレンジャー、ボビー・マーティン。
2013年に惜しくも亡くなってしまいましたけれど。
この人も枚挙に暇がありませんが、これかなと。
1972年にフィラデルフィア・サウンドが一世を風靡するとば口の大ヒット曲。
1972年、全米ソウル・チャートNO.1、全米NO.1のミリオンセラー。
ビリー・ポールの不倫の歌として大変に有名です。「ME & MRS.JONES」。
[ BOBBY MARTIN ]ME & MRS.JONES / BILLY PAUL
前半は全部70年代でしたが、録音技術が向上してきたところの、ドルビーとかマイクとかレコーダーとか発展しつつあったので、弦がすごくいい音で録れると。
そういう時代のアレンジなので、自分の耳に残るんですね。
後半はちょっとまったりとしていきたいと思います。
先週はクラウス・オーガマンの仕事を聴いていただきましたが、今週はドン・セベスキー。
この人も大御所でジャズの方が圧倒的に多いです。
例えばCTIとか、ウェス・モンゴメリー「A DAY IN THE LIFE」とか。
歌ものだったらなんといってもドン・セベスキーだったらチェット・ベイカー。
チェット・ベイカーが長いドラッグのダメージから復帰して、1974年にCTIから出したアルバム、これのアレンジ、コンダクトがドン・セベスキー。
あまりにも有名なやつですけども、リチャード・ロジャース、ロレンツ・ハートのスタンダードナンバー「SHE WAS TOO GOOD TO ME」
[ DON SEBESKY ]SHE WAS TOO GOOD TO ME / CHET BAKER
時間がなくなってきました。
なでるなんてもんじゃないですね。
ジーン・ペイジかけられませんでした。
トムトム、チャールズ・ステプニー、ソニー・バーク、R&B系の人が全然だめで。
あと、アーニー・フリーマンとかチャーリー・カレロ、たくさんいますが、またチャンスがあれば。
ブラスで棚からひとつかみ。そっちもいいかもしれません。ネタはたくさんあります(笑)
というわけで、今日はこのへんで。
日本人の編曲家まで全然手が回らないんですけども。
もともと服部克久さんの追悼からアイデアを得ましたので、最後は服部先生のアレンジの曲をお聴きいただきたいと思います。
私のクリスマス・アルバム「シーズンズ・グリーティングス」に収められております 「Be My Love」
2週間「ストリングスで棚からひとつかみ」ご清聴ありがとうございました。
[ 服部克久 ]BE MY LOVE / 山下達郎
<了>