おとのほそみち

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山下達郎サンデーソングブック 2021年01月24日「棚からひとつかみ+リクエスト」書き起こし

達郎氏による曲の解説部分を書き起こしています。インフォメーションやリスナーからのメッセージは割愛しています。 ネットに音源があるものは張り付けていますが、オンエアされた音源とは異なる場合が多々あります。

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1. モーニング・シャイン / 山下達郎 "レアリティーズ" '91('02)
2. BABY I LOVE YOU / THE RONETTES '64
3. WAIT 'TIL MY BOBBY GETS HOME / DARLENE LOVE '63
4. I WONDER / THE RONETTES "PRESENTING THE FABULOUS RONETTES" '64
5. CAN YOU SEE WHAT YOU'RE DOING TO ME / THE THREE DEGREES "THE THREE DEGREES" '73
6. PUT ME IN YOUR MIX / BARRY WHITE '91
7. SU NEL CIELO (太陽の誘惑) / NICO FIDENCO '60
8. GINA / JOHNNY MATHIS '62
9. LOVE CAN GO THE DISTANCE / 山下達郎淳一

 

今週は、普通の棚からひとつかみ。
山下達郎のレコード棚からアトランダムに、いろいろお聴きをいただこう、と思ったんですが、リクエストカード、たくさん頂いておりまして(笑)
ですので、ハーフ&ハーフと言いましょうか、棚からひとつかみ+リクエスト、そういう感じで今日はお届けしたいと思います。

リクエストいただきましたのは、私の1991年のシングル「さよなら夏の日」のカップリングに入っておりました「モーニング・シャイン」
あぁ、もうこの曲も30年かぁ。

モーニング・シャイン / 山下達郎



BABY I LOVE YOU / THE RONETTES


先週の番組を構成しているときに、フィル・スペクターの訃報が飛び込んでまいりました。
フィル・スペクターは殺人罪で刑務所へ入っておりまして、1月16日にですね、ウィルスに感染して、それが原因で死亡したという発表でございます。
享年81歳。
フィル・スペクターに関しましては、ほんとに80年代の頭からずっと番組でもかけたり申し上げたりしておりまして。
それから大瀧詠一さんと新春放談でさんざん語っておりまして。
今やもう、全世界的にオタクがもう重箱の隅の隅までですね、ほじくって、いろんなことを、それはそうだの、これは違うだの言ってますんで、あんまり関わりたくないのですが(笑)
音楽だけ聴きたいと思います。私の好きなウォール・オブ・サウンドを何曲か。
ロネッツだったらこれ「BABY I LOVE YOU 」、1964年春のヒットソング。
でもロネッツの作品は「BE MY BABY」だけがベスト・テン・ヒットで、あとはスマッシュ・ヒットなんですよね。
これなんかも、これだけの作品なんですけど、全米で24位という。
フィル・スペクターの、なんて言うか、業界での、いろいろな毀誉褒貶が影響しているのではないかと(笑)思われますけど。
いずれにしても、作品としてはですねジェフ・バリー、エリー・グリニッチの傑作であります。

何しろフィル・スペクターのこの時代のウォール・オブ・サウンド、音の壁という、文字通り、呼称の通りですね、ひたすら音圧で押しまくるという。
ティーンエイジ・ポップのワーグナー的展開とかいろんなこと言われていますが。
ロックンロールのそうした根性と言いましょうか、そういうロックンロールに必要なファクターってことをよく熟知した音作りであります。
今のデジタルの時代ですと、こうしたリヴァーヴに包まれた音楽というのはですね、音像が遠くなるんですよね。遠くなるんでスケールがあるんですけれど、今のデジタルはそうしたものをどんどん前に出して、目の前に音を置くので、今、オリジナルのロネッツだとか、こうしたクリスタルズとか、そうしたシングルを聴きましても、ちょっと音が遠い分だけ、音圧的にちょっと負けるという、聴感的にちょっと負けるってことがありますので、私のサンデー・ソングブックではそういうことを補完すべくですね、今の流行の音楽に負けない音圧でリマスターをしてお届けしてます。
ですので日本でも、世界中でも、フィル・スペクターの音が今かかってると思いますけれど、音的には私のサンデー・サングブックは最高峰だと自信を持ってお届けできます。
 
やはりこの曲もすごく好きな曲で。ジェフ・バリーとエリー・グリニッチの最高のグルーヴが出ています。
1963年、これもスマッシュヒットで全米25位ですけど、今の歴史に残る名曲です。
WAIT 'TIL MY BOBBY GETS HOME / DARLENE LOVE

大瀧さん生きていたらねぇ、本当にねぇ(笑)。そういう話するんですけれどね。
でも曲は残っておりますので。
フィル・スペクターの特集はあんまりやりたいとは思わないですが、ウォール・オブ・サウンドの特集、フィル・スペクターのエコーの世界に魅せられた人たちはたくさんいますので、そういうやつを「ウォール・オブ・サウンドで棚からひとつかみ」でやってみたいと思ってます。

今日はもう1曲だけ。
ザ・ロネッツの1964年のアルバムに収められています。
これも私の大好きな曲ですが、日本では長いこと聴くことができませんでしたが、イギリスで70年代にアルバムが復刻されまして、そのときはなぜかイントロがついてましたが、今日はオリジナル・アルバムのイントロなしで。今日の3曲ともバリー/グレニッチの曲です。

 I WONDER / THE RONETTES 

 心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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次はリクエスト。
スリー・ディグリーズのフィラデルフィア・インターナショナルでのファースト『THE THREE DEGREES』に入っております、ギャンブル&ハフの曲じゃない。
「CAN YOU SEE WHAT YOU'RE DOING TO ME」。
スリー・ディグリーズのデビュー作からの最初のヒット曲「Dirty Ol' Man」これのカップリングです。
ブルース・ハウズとジョセフ・ジェファーソン、どちらもMFSBのスタッフ・ライターです。
ブルース・ハウズは良い曲たくさん書いています。Mello Moodsとかですね。
ジョセフ・ジェファーソンも、この人メジャー・ハリスの兄弟で、ノーマン・ハリスの従兄弟かな。
スピナーズの「Mighty Love」なんか書いてる人です。
いいコンビです。素敵な1曲。久しぶりに聴きました。
素晴らしいハーモニー。

CAN YOU SEE WHAT YOU'RE DOING TO ME / THE THREE DEGREES


 「達郎さんのお勧めのバリー・ホワイトがあれば」というリクエスト。
今日はじゃあ90年代のバリー・ホワイト。
70年代が全盛期でしたが、90年代にも精力的に作品を出して素晴らしい作品がたくさんあります。
1991年のアルバム『PUT ME IN YOUR MIX』のタイトル・ソングでシングルカットされまして、全米総チャート2位。
ストリングスのサブリミナル効果がじわじわくる曲。

PUT ME IN YOUR MIX / BARRY WHITE 

これはどちらかというと夜に聞いていただいたほうが、そぐいますけど。いいんです(笑)

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 最近、カンツォーネとか、そういうリクエストもずいぶんいただくようになりまして。
ニコ・フィデンコはイタリアの歌手、ソングライターですけど、この人が歌ってます「太陽の誘惑」
1960年のクラウディア・カルディナーレ主演の映画『太陽の誘惑』の曲です。
曲を書いているのはジョバンニ・フィスコという、「太陽はひとりぼっち」とか映画の主題歌を書いている人です。
1961年にシングルが出まして、日本では英語版がけっこうヒットしましたが、もともとはイタリア語です。
原題は「SU NEL CIELO」空に上る、そういうタイトルです。
邦題「太陽の誘惑」、全然関係ないじゃないか(笑)

SU NEL CIELO (太陽の誘惑) / NICO FIDENCO 


 ジョニー・マティス「いとしのジーナ」にリクエスト。
1962年、全米6位のヒット曲です。「GINA」ははジーナ・ロロブリジーダのことを歌ったとされています。
ポール・ヴァンス(Paul Vance)の作品です。「ビキニスタイルのお嬢さん」の人ですね。

GINA / JOHNNY MATHIS


 リクエストで“遠くても愛は届く”という私の1999年のひとりアカペラ「LOVE CAN GO THE DISTANCE」

 LOVE CAN GO THE DISTANCE / 山下達郎

 <了>