おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也

SHORT ON LOVE(恋はスバヤク) / GUS BACKUS (1964)


ガス・バッカス(Gus Backus)は1937年、ニューヨーク州のロングアイランドで生まれた。
デル・バイキングス(The Del-Vikings)というドゥワップグループのメンバーとして活躍。
このグループは白人黒人混成のグループとして注目され、1957年に「Come Go With Me」「Whispering Bells」などの全米トップ10に入るヒットを放つ。

彼は同年、アメリカ空軍のパイロットとしてドイツのヴィースバーデン基地に駐留したあと、グループを脱退。ドイツでソロシンガーとしての活動を始める。
プレスリーさながらのロカビリースタイルで人気を集め、アメリカでは全く成功しなかったが、1960年代にドイツで8曲のトップ10ヒットを記録している。

この「SHORT ON LOVE」はドイツでは不発だったが、日本では1964年「恋はスバヤク」の邦題でヒットした。
1964年といえばビートルズのレコードが日本で初めてリリースされた年である。
売上記録のない時代なので、そうした数字での比較はできないが、ラジオでオンエアされる回数では、「プリーズ・プリーズ・ミー」や「抱きしめたい」よりも「恋はスバヤク」の方が多かったようだ、という証言もある。
それほどのヒットだったわけだ。

なお「スバヤク」はSHORTからの連想でつけたのだろうけれど、歌詞での意味は「足りない」であって、明らかに誤訳である。
ただこの時代は、そうした原題とは意味の異なる邦題は珍しくはなかった。

ガス・バッカスは1970年代の数年間はアメリカで過ごしたが、その後、再びドイツに戻り、2000年代になって音楽活動を再開。しかし順調にはいかなかったようだ。

2019年にドイツにて永眠。享年81だった。

<了>