おとのほそみち

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山下達郎サンデーソングブック2022年3月6日『ひな祭り・ガールグループ、ガールシンガーで棚からひとつかみ』

曲の紹介部分を要約して記載しています(青文字は書き起こし)。ネットに音源があるものは貼り付けていますが、必ずしもオンエアされたものと同じではありません。

 

1. OPPRESSIONS BLUES (弾圧のブルース) / 山下達郎 
2. DUSTY / THE RAG DOLLS '64
3. BEAUTIFUL DREAMS / TWIGGY '66
4. UNBELIEVABLE GUY / DIANE RENAY "NAVY BLUE" '64
5. I DON'T WANT TO BE THE ONE / THE ROYALETTES '66
6. WE KISS IN THE SHADOW / THE LUVS '65
7. YOU BABY / LINDA SCOTT '65
8. COME CLOSER / JESICCA JAMES & THE OUTLAWS '65
9. THE TOUCH OF VENUS / SANDY WYNNS '64
10. いつか (LIVE) / 山下達郎 "2014.10.10 名古屋ボトムライン"

 

3月のこの季節、ひな祭りの季節はですね、このサンデーソングブックは「ひな祭り特集」
いわゆるガールシンガー、ガールグループ、60年代のアイドル歌謡、そういうような、日本ではなくてアメリカの、米英のアイドル歌謡。
ときどきフランスとかありますけど。
そういう60年代のガールポップ、そういうものが一世を風靡した時代がありました。
そうしたところから、選りすぐってお届けをしておりまして。
もう、だいぶいろんなものを、かけてまいりまして。
もう、この番組も30年を数えますので、昔かけた曲で、そういえばこんな曲かけたなていうような、忘れているヤツがけっこうありまして(笑)
もう、後から後からですね、今までかけたことの無い曲って、必死にやってきましたけども。
そんなに数がめちゃくちゃあるわけじゃないんです。
時の試練に耐えるっていうか、そういうようなものがですね、そんなにたくさんあるわけじゃない。
ですので、時もだんだん経ってきまして。
30年前、40年前、50年前、そういう感じで、もう半世紀以上前の楽曲ですと、さすがにですね、時の試練に耐えきれないという、そういう作品もございます。

そんな中からですね、それでもなお、輝きを失わない、そういうようなものを一所懸命選んで、今日もお届けしたいと思います。
先週は、変形でですね女性の名前で特集しようとかありましたけど、なんかリンダとか、ジュリーとか、ジョリーとか欧米の女性の名前にならっても、あんまりおもしろくないなと、そういう感じになってきまして。
だからといって、じゅん子とかしょう子とかの歌はちょっと恥ずかしくなるっていう。
ブツぶツ何を言ってるんでしょうね、今日は(笑)
というわけで、ひな祭り過ぎてしまいましたが、毎年ひな祭りの季節に恒例でお届けしております。
毎年というわけでもないですけど、ひな祭りガールシンガー、ガールグループの特集。
結局そうなってしまいました。
ガールシンガー、ガールグループで棚からひとつかみ。
日曜日の午後のひと時、今日は60年代のガールポップでお楽しみをいただきたいと思います。
光り輝くポップソングがたくさん出てまいります。

本日も最高の選曲と最高の音質でお届けをいたします山下達郎サンデーソングブック。

と、言ってる間に、先週からずっとですね、ウクライナの戦乱がメディアから毎日流されて参りまして。
心が痛む毎日でございます。
私はそういうものにですね、メンションなるべくしないように、いつもと同じように、平常心で進もうという方針なんですけど。
実は、今回のニューアルバム、まもなく発売の予定がたちますけど、1曲、そうした政治的な歌を1曲つくりました。
「War Song」以来かなという感じでございますけれども。
「Oppressions Blues」弾圧のブルース、というタイトルの曲で、ミャンマーの報道とか、その前のシリアとか、そうしたような騒乱を見ていて作った作品でございまして。
アルバムが出てからですね、ご披露しようと思ったんですけども、こういう世情ですので、先行してお聴きをいただこうかと思いまして。
皆さんからご感想いただければ幸いです。
まだ発売になってなくて、すいません。
近日発売の私のニューアルバムに収録する予定であります。
OPPRESSIONS BLUES (弾圧のブルース) / 山下達郎 

 

こんなご時世なので明るく。
まずはザ・ラグ・ドールズは幽霊グループ。リード・ヴォーカルはジーン・トーマスという女性。
フォー・シーズンズのプロデューサーのボブ・クリュー、サンディ・リンツァー、デニー・ランデルの作曲。
アレンジはチャーリー・カレロ、プロデューサーはボブ・クリュー。
フォー・シーズンズのプロジェクトで展開され、1964年、全米55位。
スマッシュヒットだけれど、いまに残る名曲、名演。この番組では久しぶりにかけた。
DUSTY / THE RAG DOLLS

 

 


ツイッギーは、私たちの世代にはあまりにも有名。
スウィンギング・ロンドンを代表するファッション・モデル。ナナフシのような身体。
1966年のレコード・デビュー・ソング。
アメリカでもイギリスでもチャートに入らなかったが日本ではたいへんヒットした。
邦題は「夢見るツイッギー」。この曲が大好きで、なんでヒットしないのか。
プロデュースもアレンジもすごくいいのに、プロモーションの問題とかがあるんだと思う。
BEAUTIFUL DREAMS / TWIGGY 


ダイアン・リネイ。
やはりボブ・クリューによる、1964年のアルバム『NAVY BLUE』の大ヒットで知られる人。
この人のファーストアルバム、B面の最後の曲で、大好きな一曲。 
やはりチャーリー・カレロのアレンジが冴える。
UNBELIEVABLE GUY / DIANE RENAY 


ザ・ロイヤレッツはテディ・ランダッツォが手がける、素晴らしい黒人4人組のガール・グループ。
セカンド・アルバム、1966年『THE ELEGANT SOUND OF THE ROYALETTES』からのシングル・カットでヒットはしてないけれども素晴らしいナンバー「I DON'T WANT TO BE THE ONE」。
I DON'T WANT TO BE THE ONE / THE ROYALETTES

 

 

次は結構レアで、ザ・ラブス。
実態が全くわからない。
Koppelan-Rubinプロダクションで、プロデュースがJoe Wissertなので、ニューヨークのプロジェクト。
1965年、ロジャース&ハマースタインのスタンダード・ナンバーをドゥー・ワップ仕立てでやっているという、ひねったアレンジ。
WE KISS IN THE SHADOW / THE LUVS


リンダ・スコットはアイドルの中のアイドルみたいなひと。
後期にシングルオンリーで発売された「YOU BABY」。
バリー・マンとシンシア・ワイルの作品でロネッツのカヴァー。1965年の作品。
YOU BABY / LINDA SCOTT 

 

次はまたボブ・クリュー、今日は3曲も。
ボブ・クリューがオーナーのレーベル、ダイノ・ボイスからシングルを発売していたジェシカ・ジェイムズ&ジ・アウトローズ。
ガール・グループだけれど実態はまったくない。
歌ってるペギー・サンテグリィアというシンガーは、ボブ・クリューのお気に入りの人で、いろんな名前で出しているし、作詞もやってる。
ペギー・ファリーナのペンネームでフォー・シーズンズの「BEGGIN'」、マネスキンがカヴァーした、あれの作詞をやっている。
才能がとてもあって、70年代に入ってもディスコシーンで、 Duskというグループでリードヴォーカルをとっていた。
たくさん作品があるが、その中のひとつ。
ジェシカ・ジェイムズ&ジ・アウトローズと名乗って出した1965年のシングルが「COME CLOSER」。
この曲は同じトラックでティファニー・マイケルというペンネームで発売されたこともある。
もちろんアレンジはチャーリー・カレロ。
COME CLOSER / JESICCA JAMES & THE OUTLAWS 

 

 


今度は、黒人の女性シンガー、サンディー・ワインズ。
然してその正体はのちのハニー・コーンのリードヴォーカルのエドナ・ライト。先日亡くなったが。
彼女が若い頃に出したシングルで「THE TOUCH OF VENUS」。1964年の作品。
プロデュースはエド・コブ。
ウエストコーストらしい、素晴らしいトラック。
THE TOUCH OF VENUS / SANDY WYNNS 


というわけで、『ひな祭りガールシンガー、ガールグループ』でしたが、最後は自分の曲で。
こういうご時世でございます。
いつも申し上げておりますけども、世の中が平和でなければ文化は継続できません。
ですので、平和に対する努力というのは自分のスタンスで努力するしかありません。
私は音楽家なので、音楽を使って何ができるかと。
ほとんど何もできないですけど、でも音楽を使って、そうした皆さんの心に届くような努力をするという、そういうことで、やっていきたいと思っております。
今日の最後は、この一曲で。
私の1980年のアルバム「ライド・オン・タイム」に入っております「いつか」
今日もライブバージョンでお聴きを頂きます。
先週の「War Song」と同じように2014年10月10日名古屋ボトムラインでのライブレコーディング。
ぶっつけ本番でやっております。
歌詞が一か所間違えております。
それいつものようにPAアウトです。
いつか (LIVE) / 山下達郎 "2014.10.10 名古屋ボトムライン"

<了>