おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック 2020年10月4日「棚からひとつかみ+リクエスト」書き起こし

オンエアされた曲に関する達郎氏のコメントを書き起こしています(一部要約あり)。インフォメーションやリスナーからのメッセージは割愛しています。リンクを張っている音源は、オンエアされた音源とは異なることが多々あります。

----------------------------------------------------------------------------

1. 街物語(LIVE) / 山下達郎 "10/11/08 青森八戸公会堂"
2. STEALER / FREE '70
3. BOBBY'S GIRL / MARCIE BLANE '62
4. PATA PATA / MIRIAM MAKEBA '67
5. CRY BABY / GARNET MIMMS '63
6. 銀色のグラス / ザ・ゴールデン・カップス '67
7. ずっと一緒さ (LIVE) / 山下達郎 "18/09/27 広島上野学園ホール"

 

私のこの「サンデーソングブック」、1992年10月に「サタデーソングブック」として放送をスタートしまして以来、この10月で、本日で満28年、28周年を数えます。
29年目に突入をいたしました。
本日で通算1460回を迎えることができました。
ひとえに、ご支援いただいておりますリスナーの皆さんのおかげでございます。
始めたときは、まだ30代の終わりですから、それがもう年金受給者になってしまいました。
ずいぶん長くやってきたものだと思います(笑)
特に私のこの番組はですね、決してどなたにでも楽しめるというような番組で始めたわけではなくて、いわゆる洋楽オールディーズの番組として始めたんですけれども。
たいへんですね、長い間ご支援賜りまして。28年という長きの間。
あのー2回だけ。
震災のとき1回と、風邪ひいて去年一回お休みしました。
2回だけお休みしましたが、あとは1度も絶えることなく28年やってまいりました。
目指すは1500回。そして30周年。
いくつまでできるか分かりませんけれど、引き続きご支援何卒宜しくお願い申し上げます。

さて、番組の方はですね、そんなわけで28周年でございますけれども、だからといって何をやるというわけでもございません。
30周年になったら、なんかやってみようかと思っております。
ひたすら淡々とですね、いつものプログラムをお送りします。
そういう方が、今の時代ですね、重要な気がしますので。
いつも通り、今日も山下達郎のレコード棚からアトランダムにお送りいたします。
『棚からひとつかみ』
レギュラープログラム+皆様からのリクエスト、お応えしつつ。

中国からの留学生の方から、おたよりをいただきまして。26歳。
たいへんですね、留学。この時期は特に。
日本と中国、微妙なあれですけれども。
為政者のいろいろなこととは別に、こうした市井の我々は少しでもですね、コミュニケーションをとることによって、未来を少しでも仲良くする足掛かりを作る、そういう努力をしてまいりましょう。
私の2010年のシングル「街物語」
TBSのドラマ「新参者」のテーマソングでございます。
今日はライブでお聴きをいただきます。
発売した2010年のツアーで演奏しました。
2010年10月8日、青森は八戸公会堂でのライヴヴァージョン。

街物語(LIVE) / 山下達郎


STEALER / FREE


レコード棚をふと見ますと「俺をかけてくれ」と叫んでる奴がいる。
フリー。
ポール・ロジャース、ポール・コゾフ、アンディ・フレーザー、サイモン・カーク。
ブリティッシュ・ロックの4人組。
1970年。ちょうど初来日したとき私は観に行きまして、人生で観た洋楽ライヴのベスト3に入る素晴らしいライヴでした。
そのときに「新曲をやる」といって演奏をはじめたのがこの「STEALER」。
1970年のシングル。
イギリスではチャートに入りませんで、アメリカでも49位。
でもこのグルーブ、素晴らしい。
ちょうどユニバーサルから「フリー・ストーリー」というベストものが出たばかりです。
タイミングがいいので、フリーで始めてみました。


次はリクエスト。かわいいやつ。マーシー・ブレーン。
60年代初期のいわゆるアイドル全盛の時代の18歳の女の子の初ヒットが、全米3位のミリオン・セラーになりました。
日本でもたいへん有名な曲です。
邦題は「ボビーに首ったけ」、「BOBBY'S GIRL」

BOBBY'S GIRL / MARCIE BLANE

62年のヒット曲ですが、我々の時代にはまったくレコードが出ていませんでしたので、聴くのが一苦労でありまして、いま何事もなかったようにラジオでかかってますけど、我々の時代にはたいへんだった。
レコードを手に入れるにはセコハン屋じゃないとダメですし。洋盤がまだ入ってこない時代でしたので、やっと手に入れたときは、やっとウチでかけられる!そういう懐かしい時代です。
NHKで自分の番組をはじめたときは、まだ20年ぐらいしか経ってなかったんですが、いまや60年近く、すごいですね(笑)
でも曲は永遠です。

スポンサーリンク

 

 

おかげさまで、私の番組、28周年を迎えることができました。
ちなみに東京FMのJFNネットワークででですね、最長番組は申すまでもなく「ジェットストリーム」でございますが、53周年だそうでございます。
初代のパーソナリティーであります城達也さんが、27年間お務めされたそうで。
私それを超えました。
ちなみにミュージシャン関係ですとですね、桑田佳祐さんの「やさしい夜遊び」が25周年だそうです。
木村拓哉さんが25年
福山雅治さんが24年
で、松任谷由実さん。
いろいろなところを移動しておりますが、ユーミンは通算38周年。
さすがでございます(笑)
みんな年季が入っております(笑)
引き続きがんばってまいります。

 

お次のリクエスト。
ミリアム・マケバは南アフリカ出身の女性黒人シンガーです。
この人の1967年のヒット曲「PATA PATA」。
全編、南アフリカの公用語でありますコサ語で歌われています。
パタパタはダンスの名前です。このパタパタでみんなで踊ろうよという歌です。
日本ではかなりヒットしました。深夜放送を中心に。
ミリアム・マケバは同じ南アフリカのトランペッターのヒュー・マサケラと結婚し、離婚しまして、その後、黒人の人種差別撤廃、ちょうど公民権運動の盛んな時代でしたので、その運動家、ストークリー・カーマイケルという有名な人がいます。「ブラック・パワー」という言葉を作った人ですが、この人と結婚しました。
時代背景はわかると思いますが、南アフリカは当時は人種差別の巣窟でありましたので、そうしたところから出てきた人ですので、アメリカのブラック・ミュージックがアフリカ志向を強めていた時代ですので、ヒットに繋がったと。

PATA PATA / MIRIAM MAKEBA

ミリアム・マケバのCDを探していましたら、横のほうにちょっと出ていたのがガーネット・ミムスという黒人シンガーのCDです。
ガーネット・ミムスを久しぶりにかけようと思っていたら、ジャニス・ジョップリンの「CRY BABY」 にリクエストがきていました。これはガーネット・ミムスがオリジナルです。
ジャニス・ジョップリンのは、ジェリー・ラゴヴォイというプロデューサー、ソングライターで、別名ノーマン・ミードで、いわゆるリズム&ブルース界では白人でありながら重鎮の人です。
サンデーソングブックで特集をしたことがありますが。
1曲前の「PATA PATA」も、 ジェリー・ラゴヴォイのプロデュースです。
「CRY BABY」はジェリー・ラゴヴォイとバート・バーンズ、ヴァン・モリソンのプロデュースで有名ですが60年代の後半に突然亡くなってしまいましたが、彼らの共作の曲で1963年、R&BチャートNO.1を3週も続けました。
たいへん有名な曲です。
ジャニス・ジョップリンはジェリー・ラゴヴォイの曲が大好きで、ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーの「PIECE OF MY HEART」、アーマ・フランクリンの作品ですが、これもジェリー・ラゴヴォイの作品です。
ですのでちょっとひねった選曲ですが、こっちをかけたいので。

CRY BABY / GARNET MIMMS

スポンサーリンク

 


相変わらず訃報が相次いでおります。
ゴールデンカップスのドラムのマモル・マヌーさんと、ベースのルイズルイス加部さんが相次いでご逝去されました。これでゴールデンカップスのオリジナル・メンバーはエディ藩さん、ただ一人になってしまいました。
私は、グループサウンズの中でもゴールデンカップスはいちばん観たバンドの一つです。
特にオリジナル・メンバーのときが本当に好きでよく通いました。
ロックグループなんだけれども歌謡ヒットを出さないとダメだという、そういうジレンマの中でGSというのは、独特の個性を発揮しました。
そんな中でゴールデンカップスは抜群の演奏力で、アピールいたしました。
セカンドヒットの「銀色のグラス」という曲がありまして、橋本淳作詞、鈴木邦彦作曲といういわゆる歌謡コンビの作品なんですが、原型を留めないほどに徹底的なパンキッシュなアレンジを施しまして、これでゴールデンカップスの名前が一躍轟くと。1967年のセカンドシングル。

銀色のグラス / ザ・ゴールデン・カップス

私、中学3年のときの、池袋のジャズ喫茶「ドラム」でのステージを思い出します。
特にサイドギターのケネス伊東さんが本当に好きで、うまいんですよ、歌が。
ハワイへ帰ってしまってお店をやって、もうおなくなりになってしまいました。
ゴールデンカップス、素晴らしいグループでした。
ほんの5つか6つ歳が違って、そうした歌謡シーンに取り込まれていくんですが、でもスピリットはみんな同じです。ロックンロール。

 

で最近は、ほんとに訃報が多いんですけど、その中でもですね、最近一番ショッキングだったのはですね、竹内結子さんがお亡くなりになったことでありまして。
私、2008年に「薔薇のない花屋」というドラマの主題歌で担当しました「ずっと一緒さ」という。
このときのドラマの主演女優がですね竹内結子さんでありまして。
私、打ち上げに参加させていただきまして、お目にかかったことが、ありますけれども。
なんて言いましょうかね、輝くばかりのオーラといいましょうかですね。
そういう方でした。すっごく鮮烈な印象があります。
ほんとに、ご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
そんな関係で今日は「ずっと一緒さ」を山のようにリクエストいただいておりますので、おかけしたいと思います。
頭の「街物語」と同じでライブバージョンでお届けします。
おととし、2018年9月27日 広島・上野学園ホールでのライブバージョン。
最初の「街物語」も申し忘れましたけれどもPAアウトです。

ずっと一緒さ (LIVE) / 山下達郎 ※リンク先はドラマ映像



 <了>