おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



「スリラー」のカバー&サンプリング曲 NHK-FM ディスカバーマイケル「MJインフルエンス」より

 

NHK-FMで毎週日曜日、西寺郷太氏のMCでオンエアされている「ディスカバー・マイケル」。
月に1回、音楽ジャーナリストの高橋芳朗氏を迎え「MJインフルエンス」と題して、マイケル・ジャクソンから影響を受けた曲を紹介している。

そんな曲なんて、星の数ほどあるだろうに、高橋芳朗氏の選曲はいやはや流石。
ベタに流れずレアに走らず、その加減がすばらしい。

10月27日放送分のテーマは「スリラー」からということで、MJファンでなくても知ってる曲が多いだろうから、ここに紹介しておく。

文章は番組中の両氏のコメントを要約したもの。

ネット上の音源を張っておくが、オンエアされたものと全く同じかどうか確証はないので、ご了承を。

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「Right Here(Human Nature Radio Mix)」SWV

マイケルの『デンジャラス』のプロデューサーとしてもおなじみのテディ・ライリーが、「ヒューマン・ネイチャー」を引用してオリジナルの「ライト・ヒア」を全く別の魅力をもった曲に仕立ててしまった。 
全米R&Bチャートで7週連続1位。
マイケルの「ウィル・ユー・ビー・ゼア」が主題歌だった映画「フリー・ウィリー」のサントラに収められている。
MJインフルエンスの中でも最高傑作の一つ。1992年の作品。
曲の途中で“S-W-V”とコールしているのは、当時テディ・ライリーの弟子だったファレル・ウイリアムス。

 


「It Ain't Hard To Tell」Nas

これも「ヒューマン・ネイチャー」をサンプリングした1994年の作品。
NASのデビューアルバムにしてヒップホップの大名盤『イルマティック』からの第一弾シングル。
「ヒューマン・ネイチャー」のサンプリングが定番化していく中で、この曲が拍車をかけた。
90年代を代表するヒップホップの曲にも、80年代マイケルの影が強く感じられる。

 


「Hey Lover(Radio Edit)」LL Cool J、Boyz Ⅱ Men

次は「ザ・レディ・イン・マイ・ライフ」
ロッド・テンパートンが『スリラー』の最後の曲として提供した。
『スリラー』の中では「ヒューマン・ネイチャー」に次ぐサンプリング人気曲。このLL Cool Jの「ヘイ・ラヴァー」は、ボーイズIIメンをフィーチャーしている。1995年作品。全米チャートで最高3位。メロウ・ラップの傑作。

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「Lady In My Life」AI B.Sure!

次はアルBシュア!による2009年の「ザ・レディ・イン・マイ・ライフ」カバー。
アルBシュア!はニュー・ジャック・スイングを代表するシンガー。1990年代のおわりから2000年代のあたまにかけて「ザ・レディ・イン・マイ・ライフ」のカバーブームが来る。10回くらいカバーされているが、このカバーはその中でもいちばん官能的。
2009年のアルバム『ハニー・アイム・ホーム』に収録。
この年の6月25日(日本は26日)にマイケルが亡くなった。このカバーはマイケルが亡くなったからなのかと思ったら、アルバムリリースは6月23日だった。


「Got To Give It Up」Aaliyah、Slick Rick

「ビリー・ジーン」をサンプリングした、1996年のアリーヤの作品。ラッパーのスリック・リックが参加。
アリーヤは2002年に22歳という若さで亡くなった伝説的な女性シンガー。
この曲は1977年のマーヴィン・ゲイの曲のカバーだが、ドラムが「ビリー・ジーン」からのサンプリング。
レオン“ンドゥグ”チャンクラーのドラムの存在感に改めて気付かされる。
マイケルの「ビリー・ジーン」はBPM117だが、これは110くらいなので、そのちょっと遅くしているところがヒップホップぽい。


「P.Y.T.(Pretty Young Thing)」Quincy Jones、T-Pain、Robin Thicke

「スリラー」のプロデュースを手掛けた御大クインシー・ジョーンズによるカバー。2010年作品。現時点でクインシーの最後のソロアルバム『Q Soul Bossa Nostra』収録曲。
このアルバムはセルフカバー集で、その中で採り上げた。ゲストにロビン・シック、T-ペイン。

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いやしかし、あのラップがファレル・ウィリアムスだとは、知らなかったなーとか、

レオン“ンドゥグ”チャンクラー、2018年に亡くなったんだよなあ、とか、

アルBシュア!って、ここんとこ全然活動している気配がないな、とか、いろんなことを考えさせられた。いい特集だった。

<了>