おとのほそみち Jazz and More

行きかふ歌も又旅人也


西城秀樹さんがカバーした「Ain't It Just Like A Woman」のオリジナルを歌っているのはロックヴォーカリストのレジェンドである

 

「同名異曲」、つまりタイトルは同じだが、実は別の曲という例は多々ある。

洋楽で有名なところだと
「Best Of My Love」=イーグルスとエモーションズ
「The Power Of Love」=ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースとセリーヌ・ディオン
「Hello」=ライオネル・リッチーとアデル

厳密には同名ではないが
ビートルズの「Yesterday」とジャズのスタンダードの「Yesterdays」もほぼほぼ同じ。

 

今回テーマにしている「Just Like a Woman」がらみにも似たものがあって

Ain't That Just Like a Woman (They'll Do It Every Time)  1946年 Louis Jordan
Ain't It Just Like A Woman 1973年 Geordie
Just Like a Woman 1966年 Bob Dylan

このうち「Ain't It Just Like A Woman」を西城秀樹さんがカバーしている。

イギリスのロックバンドGeordie(ジョーディー)の、いわゆるグラムロックで、決して有名ではないこの曲をチョイスするところに、秀樹さんならではのセンスがうかがえる。

メドレーの3曲目、5分30秒あたり。下はオリジナル。

 

しかし、だ。

この曲が収録されているライブ・アルバム『西城秀樹リサイタル/新しい愛への出発』(1975年)のジャケットには、なんと「Just Like A Woman」Bob Dylanと記されているのだ。

ディランのこの曲の方がはるかに有名だから、ジャケットの制作者が、そう思い込んだのだろう。

しかし誰も気づかなかったのか?

聞けば、ディランの曲じゃないくらい、すぐにわかるだろうに。

 

近頃、このアルバムはCDで再発されたのだが、もしや訂正されたかもと思った。

LP持ってるのにCD買う予算は残念ながらないので、SNSで尋ねてみたら、親切なファンの方が丁寧に教えてくださった。

残念ながら違ったままのようだ。<@ziyu_no_tsubasaさんからの画像>

 

おそらくはLPの状態のいいジャケットを高精度スキャンして印刷データにしたのだろうから、同じなのはまあ仕方ない。

Wikipediaには正しい情報が出ていることが救い。

 

検索してみると「ディランの曲をハードなアレンジで仕上げている」なんて記事を書いている人もいて、ホントに聞いているのか、がっかりするが、さすがに、サエキけんぞうさんは<マニア好みのグラムロック・バンド Geordie「ジャスト・ライク・ア・ウーマン」>と書いておられる。

西城秀樹が体現したロックシンガーとしてのダイナミズム サエキけんぞうによる復刻ライブアルバム徹底解説 - Real Sound|リアルサウンド

 

こちらのファンの方もGeordieだと指摘。

ヒデキ大好き 428 「JUST LIKE A WOMAN」 | runa-love-hidekiのブログ

 


さて、このGeordie(ジョーディー)というバンド、ロックファンでも知る人は少ないかもしれない。

しかし、AC/DCの名前を知らないロックファンはまずいないだろう。

Geordieでこの曲を歌っているのは、現在のAC/DCのヴォーカリスト、帽子がトレードマークのブライアン・ジョンソンである。

 

AC/DCの「バック・イン・ブラック」は、マイケル・ジャクソン「スリラー」についで、歴代史上2位のセールスを誇るが(Wikipediaより)、Geordieを辞めた彼が加入してすぐに制作されたのが、このアルバム。

以来、ずっとフロントマンとして活躍中である。

秀樹さんも、彼がここまでの大物になるとは、想像もしなかっただろう。

 

ただ、決して順風満帆だったわけではない。

2016年には難聴問題によって、ツアーから降板。
ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズが代役を努めるという、まさかの展開で、バンドは難局を乗り切った。

しかし、バンドの主軸であるマルコム・ヤングが、2017年死去。

AC/DCの活動継続は難しいかもとファンの多くは懸念したが、2020年新作『パワーアップ - Power Up 』をリリース。

これが素晴らしい完成度で、英米はじめ20か国以上でチャートの1位になった。

 

このアルバムリリースに伴うツアーはコロナで延期されたが、AC/DCは実施する意思があるという。

ブライアン・ジョンソンは聴覚の専門メーカーによる最新機器で耳のトラブルを克服したが、もう75歳。
次が最後になるかもしれないので、来日して欲しいと切に願う。


さて彼は、昨年、なぜかはわからないがGeordie(ジョーディー)時代の動画を公開した。

歌も、演奏も、うまい。
エネルギッシュでスリリングで勢いがある。

いかにも秀樹さんが選びそうなバンドだなあと、改めて納得されるファンの方も多いのではないだろうか。

 

追記)
なおこの曲「Ain't It Just Like A Woman」は『ヒデキ・ロック・オン・ステージ』(1976年)にも収録されていて、LPのインナースリーブには同じようにBob Dylanの曲と記載されている。
このアルバムは、2022年8月現在まだ復刻されていないが、今後復刻されるのなら、インナースリーブを訂正して欲しいとは言わないので、せめて小さな訂正紙でいいから封入していただきたいと思う。

<了>