おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック2024年4月14日『春で棚からひとつかみ』

番組中の曲解説の主要な部分を要約して記しています。ネットに音源がある楽曲にはリンクを張っていますが、オンエアされた音源とはヴァージョンが異なる場合が多々あります。

 

1. 色・ホワイトブレンド / 竹内まりや  '87
2. SPRING IS NEARLY HERE / THE SHADOWS '62
3. SPRING RAIN / SILVETTI '77
4. SPRINGTIME MAMA / HENRY GROSS '76
5. SPRING AGAIN / LOU RAWLS  '77
6. COME NEXT SPRING / SCOTT WALKER  '68
7. SOME OTHER SPRING / BILLIE HOLIDAY '39
8. IN THE SPRINGTIME / MAXI PRIEST '86
9. THEIR HEARTS WERE FULL OF SPRING / 山下達郎 '99


山のように頂いておりますリクエストカード、竹内まりやさんの「色ホワイトブレンド」
中山美穂さんに提供した曲のセルフカバー、1987年のアルバム「リクエスト」に入っております。
たくさんたくさんリクエスト頂きました。
色・ホワイトブレンド / 竹内まりや


おなじみシャドウズの「SPRING IS NEARLY HERE」、邦題は「春がいっぱい」。日本でも大ヒットした。
1962年のシャドウズのアルバム『OUT OF THE SHADOWS』に収録されている。
メンバーのブライアン・ベネットとブルース・ウェルチの作品。
リード・ギターのハンク・マーヴィンの繊細な演奏が光る。
SPRING IS NEARLY HERE / THE SHADOWS

 

 

次も大好きなやつ、シルベッティ、ベブ・シルベッティはアルゼンチンの作曲家、ピアニスト。
スペインに渡り人気が出た。
スペインでレコーディングしたのが、アメリカのサルソウル・レーベルにマスターが買われて、トム・モールトンがリミックスして1977年にシングル発売。ディスコシーンでヒット、日本でもヒットした。1977年、全米39位。
日本で発売されたアルバムにはロングバージョンが入っているが、私はオリジナル7インチ・バージョンの方が好きなので今日もこちらで。
サンプリングされまくった曲。
SPRING RAIN / SILVETTI 

 

ヘンリー・グロスは元シャ・ナ・ナの人。
ソロになって1976年に「SHANNON」という大ヒットを出す。
日本ではこっちの方が人気があるようで、全米37位。プロデュースド・バイ・キャッシュマン&ウェスト。
ウォール・オブ・サウンドの系譜でよく語られる。
SPRINGTIME MAMA / HENRY GROSS 

 

ルー・ロウルズはR&Bというよりかジャズ・シンガー、もしくはクラブ・シンガー、そういうようなテイストが強い人。
1970年代にフィラデルフィア・インターナショナルに移ってから再起して、ヒット曲を連発。
1977年のアルバム『UNMISTAKABLY LOU』に入っている「SPRING AGAIN」。
同名異曲があるが、これはギャンブル&ハフのオリジナル。
SPRING AGAIN / LOU RAWLS  

 

スコット・ウォーカー、68年のアルバム「Scott 2」
初期4枚のソロアルバムでこれがベスト。
「Jackie」「Next」「Wait Until Dark」たくさん入ってるが、B面の一番最後の「Come Next Spring」。
これ1956年の同名の映画「Come Next Spring」という映画の主題歌。
トニーベネットがその時に歌っていて、だけど正直、こちらのスコット・ウォーカーの方が出来がいいような気がする。
アレンジがウォーリー・ストット、後に、ジェンダーで女性になってしまう人で。
このアルバムはそれに加えて、レグ・ゲスト、ピーター・ナイト、当時の最高峰のアレンジャーが束になってやってるので素晴らしい出来。
その中でも最後を飾る1曲。
 新しい春が来て 緑の目が吹いて その頃には あなたも戻ってくるだろう
という、そういうような愛の復活を願う一曲で。
COME NEXT SPRING / SCOTT WALKER 


今度はスタンダード・ナンバー。
「SOME OTHER SPRING」はいろんな人がやってるが、これがいちばん大元、ビリー・ホリデイ、1939年のレコーディング。
ビリー・ホリデイの素晴らしい表現力を堪能したい。
SOME OTHER SPRING / BILLIE HOLIDAY


たまにはレゲエ。マキシー・プリーストはジャマイカンでイギリスに行って成功した。
1985年のアルバム『YOU'RE SAFE』からシングル・カット。UKチャートで、1986年、54位のスマッシュ・ヒット。
IN THE SPRINGTIME / MAXI PRIEST

 今日の最後は、春の歌というよりは春をテーマにした歌。
我々の世代は、全員がこれをビーチボーイズのバージョンで知っている。
「Their hearts were full of spring」という夫婦が共に生活して老いていく歌。
作曲したのはボビー・トゥループという「Route 66」の作曲家。
フォア・フレッシュメンのアカペラバージョンがとても有名で、ビーチボーイズのアカペラバージョンもそれに勝るとも劣らない。
今日は、私の1999年のアルバム「On The Street Corner 3」の一人アカペラバージョンで。
「春で棚からひとつかみ」ご清聴ありがとうございました。
THEIR HEARTS WERE FULL OF SPRING / 山下達郎