第2期ジェフ・ベック・グループのメンバーを中心に結成されたハミングバード(Hummingbird)のセカンドアルバム。
1976年のリリースである。
邦題の「密会」とはよく付けたものだ。
原題は「We Can't Go On Meeting Like This」。
直訳すれば「私たちはもうこんな風に会い続けることはできない」だろうか。
まさかそのままというわけにはいかないし、「不倫」というタイトルもあんまりなので「密会」で正解だと思う。
メンバーは以下の通り
Bobby Tench-guitar, vocals
Bernie Holland-guitar
Clive Chaman-bass
Max Middleton-keyboards
Bernard Purdie-drums
前作で多くの曲を書いていたドラムのコンラッド・イシドア(Conrad Isidore)が抜け、バーナード・パーディ(Bernard Purdie)が加わっている。
彼はアメリカのソウル・ファンク界の名ドラマー。サウンドは前作以上にファンキーになり、インスト曲も増えた。
前作に比べアレンジが洗練され、曲の表情も豊かになった。ハミングバードのアルバムは3枚あるが、これをベストに挙げる人が多い。私も同意見だ。
良い作品ではあるものの、リリース当時ヒットしたかというと、決してそうは言えない。腕利きのミュージシャンが揃ってはいたが、スター性、カリスマ性のある人はいなかったし、曲もあまりキャッチーではなかった。
そして何よりも、この時期、ロックには名作があふれかえっていた。
ボブ・ディラン「欲望」
デヴィッド・ボウイ「ステーション・トゥ・ステーション」
イーグルス「ホテルカリフォルニア」
レッド・ツェッペリン「プレゼンス」
ローリング・ストーンズ「ブラック&ブルー」
ラモーンズ「ファースト」
ジェフ・ベック「ワイアード」
並べて書いて改めて驚く。
1976年だけで、ロック史上に残る作品が目白押しだ。
そして日本では、キッス、クイーン、エアロスミスの人気が高かった。
ハミングバードが埋もれてしまうのは、むしろ当然だったろう。
のちに再注目され、紙ジャケで再発されて何よりである。
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ところでSpotifyには、ハミングバードの作品はない模様。
多くの人、特に若い人に聞かれる機会が失われているわけで、これは残念だ。
この「Scorpio」はツインギターによるインストだが、バーニー・ホランドとともにギターを弾いているのはロバート・アーワイ(Robert Ahwai)。
このアルバムではゲスト参加だが、次のアルバムでは正式メンバーになる。
この曲の後半でのマックス・ミドルトンのソロも素晴らしい。
#この項おわり