1970年代の半ば、マックス・ミドルトンは、ジェフ・ベックの2枚のソロアルバム「Blow by Blow」 (1975)、「Wired」(1976)に参加。
両作品とも非常に高い評価を得て、いまでもベックの代表作とされている。
一方でマックス・ミドルトンはバンド活動も行っていた。
それがハミングバード(Hummingbird)である。
結成は1974年。
翌75年にセルフタイトルのファーストアルバムをリリースした。
メンバーは以下の面々だ。
Bobby Tench - guitar, lead vocals
Bernie Holland - guitar
Clive Chaman - bass
Max Middleton - keyboards
Conrad Isidore - drums
Linda Lewis - backing vocals
主要メンバーのうちの3人、ヴォーカルのボビー・テンチ、ベースのクライヴ・チェアマン、キーボードのマックス・ミドルトンが第2期ジェフ・ベックグループ出身。
したがって音は第2期ジェフ・ベックグループにかなり近い。
ジェフ・ベックはこの時期、ソロとしてフュージョン色の濃い方向に走ったが、ハミング・バードはかなりファンキー。
特にヴォーカルのボビー・テンチの存在が大きい。
これはファーストアルバムの裏ジャケだが、面構えからして、白人中心のハードロックバンドとは違う。
なんだかアメリカのファンクバンドぽい風情なのだ。
さほどキャッチーな曲はなく地味と言えば地味だが、俺が俺がのジェフ・ベックがいないせいかバンドとしてのまとまりは良い。
マックス・ミドルトンも随所で素晴らしいソロを聞かせており、この時期のローズの弾き手としては、やはりロックではトップだろうと思わせる。
ジャズ・フュージョンにはジョー・サンプルとかいるけれども。
サウンド面での主導権をとっているのは、ドラムのコンラッド・イシドアだろうか。
半数以上の曲が彼の作品だ。
1 "Music Flowing" (Isidore)
2 "You Can Keep the Money"
3 "Such a Long Ways" (Isidore)
4 "Horrors" (Holland)
5 "I Don't Know Why I Love You" (Hardaway, Hunter, Riser, Wonder)
6 "Maybe" (Chaman, Finesilver, Middleton, Tench)
7 "For the Children's Sake" (Isidore)
8 "Ocean Blues" (Isidore)
9 "Island of Dreams" (Isidore)
このアルバムのプロデューサーのイアン・サムウェル(Ian Samwell)は、 クリフ・リチャードのバンドにいた人で、プロデューサーとしては、Small Faces、 Grateful Dead、Frank Zappaら多くのアーチストと仕事をしている。
ただ、最も大きなヒットがAmericaの「A Horse with No Name(名前のない馬)」であるように、特にファンク寄りの人ではなく、なぜ彼がプロデューサーを務めたのか、不思議と言えば不思議である。
どファンキーな1曲。マックス・ミドルトンのソロも良い。
#この項おわり
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