おとのほそみち

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マックス・ミドルトン Max Middleton #7 Hummingbird「Diamond Nights(ダイヤモンドの夜)」1977

1977年に発表されたハミングバードのサードアルバムにしてラスト・アルバムである。

ダイアモンドの夜(紙ジャケット仕様)

ダイアモンドの夜(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: ハミングバード
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2007/05/16
  • メディア: CD
  • クリック: 1回

 

メンバーは次の通り
Bobby Tench(vo,g)
Robert Ahwai(g)
Max Middleton(kbd)
Clive Chaman(b)
Bernard Purdie(ds,per)

前作からの変化でいえばギターのバニー・ホランドが抜け、代わってロバート・アーワイが加わっている。といっても、彼は前作でゲスト参加していたこともあり、変化としてはごく小規模だったといえる。

サウンドは、よりファンク色を濃くしている。もはやロック・バンドと呼ぶのは無理がある。
ストリングスやホーンも入っていて、全体になかなか豪華。5曲目の「You Can't Hide Love」なんて、もろにアース・ウィンド&ファイアーじゃないかと思ったら、実際にアースがやってた曲だった。

 

収録曲目
01.Got My "Led Boots" On/レッド・ブーツ
02.Spirit/スピリット
03.Cryin' For Love/クライン・フォー・ラヴ
04.She Is My Lady/シー・イズ・マイ・レイディ
05.You Can't Hide Love/ユー・キャント・ハイド・ラヴ
06.Anaconda/アナコンダ
07.Madatcha/マダチャ
08.Losing You (Ain't No Doubt About It)/きみが去って
09.Spread Your Wings/大空に飛べ
10.Anna's Song/アンナズ・ソング

注目はマックス・ミドルトンが書いた「Got My "Led Boots" On」。
ジェフ・ベックの「ワイアード」の1曲目の「Led Boots」と同じ曲だが、アレンジを大きく変えヴォーカルを入れている。これもアース風だ。

マックス・ミドルトンは、アルバム全体を通して、クラヴィネットとローズを中心に大活躍。
バンド全体がファンクに寄りながらも、アメリカの同種のバンドのようにやたらと弾けるのではなく、どこか品の良さというか、洗練を感じさせるのは、彼のキーボードがあるからだろう。
特に2「Spirit」のバラードで聴かせるローズの響きは、しみじみと美しい。


ハミングバードは活動歴約4年、アルバム3枚と短命ではあったが、ロックとファンクの融合という面において、実に内容の濃い作品を遺した。
ジェフ・ベックロッド・スチュワートといった、スター性、カリスマ性のあるメンバーがいなかったので、マーケットにおいてはやや地味な存在ではあったが、ブリティッシュロック史を語る上においては、気に留めておきたいバンドである。

 

なお、このアルバムの2年後の1979年に、マックス・ミドルトンとロバート・アーワイは、2人のコラボによるジャズ/フュージョンアルバム「Another Sleeper」をリリースしているが、彼ら以外のハミングバードのメンバーは参加していない。

 

#この項終わり