おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



HANG ON / THE WALL OF SOUND (1967)

 

「ウォール・オブ・サウンド(Wall of Sound)」とは、いまさら言うまでもなく、アメリカの音楽プロデューサーであるフィル・スペクターが、1960年代前半に開発した音楽制作手法のこと。

10人を超えるミュージシャンを起用し、音を重ねまくって、さらに深いリヴァーブをかけるので、音に隙間がなく「壁」のような存在感がある。

なので、「ウォール・オブ・サウンド」と呼ばれ、のちのプロデューサーやソングライター、アレンジャーに多大な影響を与えた。

フィル・スペクターさながらの作品を世に送り出した人は少なくない。

 

そのスペクター・クローンとも言うべき最たるものが、その名もウォール・オブ・サウンド(Wall of Sound)というグループというかユニットだ。

Wall of Soundでググっても、上位には当然のことながら、フィル・スペクターのことしか出てこないので、すでに知っている人以外が、彼らを目に(耳に)することはほとんどないだろう。

しかし、本気なのか冗談なのか、わからないような名前の割には、作品の完成度は高い。

1967年にリリースされた「HANG ON」という曲である。

 

メンバーはバズ・クリフォード(Buzz Clifford)とジャン・デイヴィス(Jan Davis)の二人。

バスは1961年にリリースした「Baby Sittin' Boogie」という曲が、全米6位を獲得したが、ヒットはこれだけ。いわゆるワンヒットワンダーである。


ジャンはギタリスト、作曲家であり、ベンチャーズの「Fugitive(逃亡者)」を書いた人で、先にリリースもしている。
そのレコーディングにベンチャーズのメル・テイラーが参加していたのが縁で、ベンチャーズもこの曲をリリースしたらしい。

 

その二人が組んで出したのが「Hang On」

この作品以外にWall of Sound名義でのリリースはない。

 

<了>