松本隆トリビュートアルバム『風街に連れてって!』が素晴らしい。
すでに定評のある作品の装いをを変えて世に問うのは簡単なことではないけれど、選曲、歌い手の人選、アレンジ、どれをとっても「これぞトリビュート!」という完成度だ。
【収録楽曲/アーティスト】
01.「夏色のおもいで」吉岡聖恵
(作曲:財津和夫 オリジナルアーティスト:チューリップ 1973年リリース)
02.「君は天然色」川崎鷹也
(作曲:大瀧詠一 オリジナルアーティスト:大滝詠一 1981年リリース)
03.「SWEET MEMORIES」幾田りら
(作曲:大村雅朗 オリジナルアーティスト:松田聖子 1983年リリース)
04.「SEPTEMBER」宮本浩次
(作曲:林 哲司 オリジナルアーティスト:竹内まりや 1979年リリース)
05.「Woman“Wの悲劇”より」池田エライザ
(作曲:呉田軽穂 オリジナルアーティスト:薬師丸ひろ子 1984年リリース)
06.「セクシャルバイオレットNo.1」B’z
(作曲:筒美京平 オリジナルアーティスト:桑名正博 1979年リリース)
07.「スローなブギにしてくれ(I want you)」GLIM SPANKY
(作曲:南 佳孝 オリジナルアーティスト:南 佳孝 1981年リリース)
08.「キャンディ」三浦大知
(作曲:原田真二 オリジナルアーティスト:原田真二 1977年リリース)
09.「風の谷のナウシカ」Daoko
(作曲:細野晴臣 オリジナルアーティスト:安田成美 1984年リリース)
10.「ルビーの指環」横山剣(クレイジーケンバンド)
(作曲:寺尾 聰 オリジナルアーティスト:寺尾 聰 1981年リリース)
11.「風をあつめて」 MAYU・manaka・アサヒ(Little Glee Monster)
(作曲:細野晴臣 オリジナルアーティスト:はっぴいえんど 1971年リリース)
「SWEET MEMORIES 幾田りら」のように、いかにもな取り合わせもあれば、
「SEPTEMBER 宮本浩次」など、意表を突いた人選もあり、何度聞いても飽きない。
当然、「君は天然色」も入っていて、歌は川崎鷹也。
オリジナルの大瀧詠一氏の、穏やかで丸みのある声とは違って、溌剌としてメリハリのある歌が新鮮だ。
こちらがオリジナル
ところで、この曲が元ネタになっているとおぼしき洋楽曲がある。
注意してください。
「君は天然色」の元ネタ
じゃなくて
「君は天然色」が元ネタ ですから。
J-POPが洋楽を元ネタにしてるのは、ちょくちょくあるが、それとは逆。
THE JODELLESの「MY BOY」という曲です。
思わず苦笑しますね。
この曲がリリースされたのは、「君は天然色」の約2年後の1983年。
イントロはもちろん、曲全体の音頭ぽいウキウキしたアレンジとか、ナイアガラサウンドがイギリスに届いていたのか?と思わずにはいられません。
JODELLES(ジョデルス)については、あまり情報がないのだけれど、イギリスの黒人3人組ヴォーカル・グループで、ビリー・オーシャンのバックコーラスなどをやっていたらしい。
どうやら、リリースしたのは、この1枚だけのようで、まったくヒットはせず。
ただ気になるのは、曲とプロデュースがKEN GOLDだということ。
Real Thingの「You To Me Are Everything」「Can't Get By Without You」や
Delegationの「The Promise Of Love」などの制作で、ソウル/ブラコンファンには知られた人だ。
彼がなんで、フィル・スペクターさながらのガールポップを1980年代アタマに作ったのか、なんで「君は天然色」に似ているのか、謎です。
ちなみに山下達郎氏が自身のFM番組のゲストに大瀧詠一氏を招いたとき、この曲をかけたそうだ。
まったく、人が良いのか、悪いのか......まあシャレってことでしょう。
大瀧氏は、とても喜んだそうです。
<了>