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【JAZZ新譜】リオ発、ブラジリアン・ジャズの最進化型 A Pegada Agora E Essa / Antonio Neves (2021)

 

A Pegada Agora E Essa

A Pegada Agora E Essa

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アントニオ・ネヴィスは、もともとドラマーとして音楽活動をスタートさせたが、トロンボーンに持ち替えてからリオデジャネイロの音楽シーンで頭角を表し、現在ではリオの音楽シーンを代表するトロンボーン奏者及び編曲家のひとりとなっている。

ブラジルの音楽のリズムといえば誰でもサンバやボサノヴァを思い浮かべるだろうし、実際、中心にあるのはその通りなのだが、国際的なメガシティであるリオのリズムは、欧米の音楽と混交して極めて多彩。

そこにジャズのイディオムを加え、さらにはヒップホップ以降のセンスと手法を盛り込んだことが、このアルバムの特徴だといえる。

なので「サンバ系のノリのいいリズムにジャズのアドリブが乗った」という、旧来的なブラジリアン・ジャズのイメージを持って聞くと、良い意味で裏切られる。

ブラジルのロバート・グラスパー、というと言いすぎかもしれないが、端正でミニマルなループなど近い質感があるのは確か。

かといって全編クールな打ち込み系かというと、決してそうではなく、先に述べたようにリズムは多彩。

リオ発のゲットー・ミュージック=バイレ・ファンキのリズムをフィーチャーするなど、欧米の都市では生まれ得ないスリリングで混沌としたグルーヴは、やはりリオならではだろう。

 

You Tubeで全曲聴ける。リリース元の〈Far Out Recordings〉のチャンネルなので、オフィシャルと考えていいだろう。

<了>

 

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