それにしても、アルバム3作を同時にリリースとは、英断というべきか、快挙というべきか、それとも暴挙というべきか。
ファンのお財布にも予算というものがあるのだから「うーん、2枚しか買えないなぁ」てなケースがあって当然。
つまり自分の作品同士が食い合ってしまう。
そこを、それぞれコンセプトと演奏形態が異なる3作とすることで、あえて押し切ってしまう才覚と自信がすごい。
まあ、3作同時だから驚くわけで、3枚組と考えれば、そうでもないわけではあるが。
「28 NY Blue」は、鬼才というより変態に近いギタリストのギタリスト、オズ・ノイと、ベースのエドモンド・ギルモアを迎えたギタートリオアルバムで、ファンキーでブルージーな楽曲が満載。
「29 NY Red」は、ラテン。
ベネズエラ出身のピアニスト シルバーノ・モナステリオスと、プエルトリコ出身のベーシスト リッキー・ロドリゲスという一線級を迎えてのピアノトリオ&デュオアルバム。
これら2作、リモートで作られたそうなのだが、そうとは思えない緻密で熱いアンサンブルに驚く。
「30 Tokyo Yellow」は、本人によるドラムとプログラミングのみ、つまりワンオペ作品。ジャンルレスな楽曲が並ぶ。
もちろん、それぞれに魅力的なのだが、個人的に気に入ったのはラテンの「29 NY Red」。
もともと神保彰のドラムは、俺が俺がとグイグイ前に出るタイプではなく、端正で凛々しいところが持ち味だ思うのだが、ここではラテン系の二人に煽られるように、叩きまくっていて痛快なのだ。
<了>