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【JAZZ新譜】ECMきっての俊英が放つ2作目のトリオ作 UnEasy / Vijay Iyer (2021)

アンイージー / ヴィジェイ・アイヤー

UnEasy

UnEasy

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現代のジャズ界屈指のピアノの俊英、ヴィジェイ・アイヤー。

この新作は、ECMからのリリースとしては2作目のトリオ作品、リーダー・アルバムとしては通算7作目。

とにかくアイデアがやたらと豊富な人で、ジャズファンはもとよりミュージシャン仲間や玄人筋からの評価が高い。

新作を発表するたびにトリオやセクステット、デュオとスタイルを変えながら自らの領域を拡張してきた感がある。

本作は、2019年の年間を通して活動してきたドラムのタイショーン・ソレイ、ベースのリンダ・メイ・ハン・オーとのトリオで、この顔ぶれでは初のスタジオ作品。

タイショーンとの関係はかれこれ20年になるそうで、共演も頻繁。

リンダ・メイ・ハン・オーは、数年前から共演するようになったそうだ。

8曲のヴィジェイのオリジナル曲に、コール・ポーターの 「ナイト・アンド・デイ」とジェリ・アレンの「ドラマーズ・ソング」を収録。

3人ともアイデアと技術に秀でた人たちなので、トリオとしての偏差値はもちろん高いのだが、沸点の高い演奏を丁々発止にビシバシ決めまくるというよりは、ゆったりとうねる音空間の中で、相互に即興を放って対話しているという印象。

特に、パット・メセニーの『From This Place』(2020年)にフィーチャーされるなど、近年注目を集めているリンダの演奏には、独自の軽妙でオーガニックなタイム感があり、何度も耳を奪われた。

彼女は、中国系の両親のもと、マレーシアで生まれオーストラリアで育ったという。
多様な文化に触れてきたキャリアが、リズムの中に血肉化しているのかもしれない。

 

1 Children Of Flint
2 Combat Breathing
3 Night And Day
4 Touba
5 Drummer’s Song
6 Augury
7 Configurations
8 Uneasy
9 Retrofit
10 Entrustment

<了>

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