おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック 2019年12月29日「年忘れ夫婦放談2」書き起こし

 

番組恒例の年末企画、山下達郎さん、竹内まりやさん夫妻の対談を書き起こしています。リスナーからのおたよりの一部やインフォメーションなどは割愛しています。


1.RECIPE(レシピ) / 山下達郎
2.旅のつづき / 竹内まりや
3.プラスティック・ラヴ / 竹内まりや
4.シングル・アゲイン / 竹内まりや
5.GET BACK IN LOVE(LIVE) / 山下達郎 19/08/10 中野サンプラザ
6.恋のひとこと (SOMETHING STUPID) / 竹内まりや&大瀧詠一
7.いのちの歌 / 竹内まりや

※ネット上の音源への貼り付けはありません。

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達:私のサンデーソングブック、28年目に突入いたしておりますが。ずーっと年末は、この企画でございます。年忘れ夫婦放談、本日もゲストはこの方。

ま:こんにちは。竹内まりやです。今年最後のサンソン、よろしくお願いします。

達:今年は、竹内まりやさん、紅白に出場しますので、まだ休めません。

ま:たぶんこの日も、今、前倒しですけど、リハをやってるかなと思います。

達:はい。がんばってください。

ま:がんばります。

達:てなわけで、今年最後のサンデーソングブック、竹内まりやさんゲストで。

今年は竹内まりやさんが40周年でございますので、そういうような話、おたよりもたくさん頂いております。

いつもよりは、薄めな、濃い目かもしれませんが(笑)

ま:あんまり期待しないで(笑)

達:竹内まりやさんゲストで『年忘れ夫婦放談』、先週に引き続きましてパート2。

私はもうとにかく、今年はシングル1枚しか出ませんでした(笑)『レシピ』

「グラメゾン東京」も、いよいよ今日が最終回。

ま:最終回がすごい楽しみですね。

達:で、ずっとこの間申し上げて参りましたけれども、一番最初に曲を書いたのが、もう4月のことでありまして。ツアー始まる前でありまして。

先様も準備稿だけなので、予測はなかなか難しかったんですけども。

料理の、なんて言いましょうかね、あんまりこう、派手な動きじゃないんですよ。

繊細なこう、内なるパッションと言いましょうかですね。非常に手先の細かいアレなので。そういうようなドラマの音楽だと、あんまりイケイケだと、よくないような感じがして。

ま:それで、こう優しい感じの。

達:なるべく抑制的な感じにしようと思ったんです。それが割とご好評いただきまして。

ま:功を奏したね。

達:すばらしいドラマで。参加できて、ほんとに光栄でございます。

最終回、楽しみでございますが、今日もお聴きをいただきます。

達:(リスナーから)『困った贈り物とか、ありましたか。』

ま:困ったってことは、ないけど。

達:あれ、新巻鮭の丸ごと。

ま:あれもさばくのも大変で。いつも達郎の父にさばいてもらってましたね。

達:父が亡くなったあとは、知り合いの店に持って行って、さばいてもらった(笑)

ま:きれいにさばくのは、技術がいるからね。新巻鮭ね。

達:くださりますれば、頂きます(笑)

ま:ありがたいですよね。

RECIPE(レシピ) / 山下達郎

 

旅のつづき / 竹内まりや

達:竹内まりやさんは今年が40周年。

ま:9月に「ターンテーブル」を出させていただいて、10月にはこのシングル「旅のつづき」を出して、けっこう忙しくやりました。

「最高の人生の見つけ方」という吉永小百合と天海祐希さんの映画の主題歌だったんですけど、達郎があまりにもツアーで忙しくて、デモテープをつくったときに達郎にちょっと聞いてもらって、ギターくらいは参加できても、アレンジとかすべてやれる日程ではないし、達郎も新しいシングル書かないといけないし、60代になってこんなに忙しいのは想定してなかったね。

達:まったくね。

ま:なので私達にはおなじみのアレンジャーで30代ですけど、私達をよくわかってくれている牧戸太郎さんにお願いして。

達:うまいんだよ。

ま:こんな感じにしたいんだけど、ブラスこんな風に入れてと注文して書いていただいたと。アレンジしていただいたと。よくわかってくださっている。

達:よくわかっている。ほんとに。古い70年代の音楽とかよく聞いているから。そういうクセみたいなのをよくとらえている。            

ま:牧戸さんのおかげでたすかりました。

達:いま若い人は逆というか、昔のものに造詣が深い。

ま:そうだよね。良く聴き込んでらっしゃる。

達:研究心がね。

(リスナーから)『もうすぐお正月ですが、餅は何をつけて食べるのが好きですか。1.海苔を巻いて醤油餅 2.あんこ餅 3.きなこ餅 4.ずんだ餅』

ま:ほー、ずんだはね、枝豆すったやつだよね。つぶしたやつ。それは、なかなかやらないけど。きなこかなぁ。

達:私は「いそべ」ですね、やっぱりね。

(リスナーから)『蕎麦の薬味は何が好きですか。1.ねぎ 2.みょうが 3.七味』

ま:みょうがは、あんまり入れないね。

達:入れないね。ねぎや七味だね。七味もなんか、時々じゃまになるっていうかね。

ま:わさび入れるよね。

達:それは「ざる」ね。

ま:「ざる」はね。

達:温かいやつは、やっぱり七味です。

ま:なるほど。

達:何を言ってるんですか(笑)

それでライブで、よく申し上げておりますけれども、シティポップなるあれがありまして。去年も、そういう話になったっけ?「プラスティック・ラブ」が。

ま:夏にもしたよね、シティポップの話を。

達:でですね。おもしろいお便りを頂きました。

『高2の娘が1年間の留学、ホームステイに向け8月にたち、現在ルイジアナ州にいます。はじめの1か月間は研修期間としてオハイオ州の家庭にお世話になっていました。出発してから、まったく連絡なく、基本的に親との連絡はNGであるものの、心配していたところ、2週間ほど経過したころ、突然、動画が送られてきました。

ブラザーがノリノリだよ、というコメントとともに。見てみると、なんと、まりやさんの「プラスチック・ラブ」の曲にあわせてノリノリにダンスしてる男性が。

よくよく事情を聞いてみたところ、大学生のブラザーが音楽好きという話から、よく聴く日本の曲があるといい、スマホで曲を流して聴かせてくれたのが、まりやさんの曲だったのです。そして、ノリノリでダンス。

私がまりやさんの大ファンであることを知る娘はうれしくなり、母がまりやさんのファンでこの曲も知っている、ということを伝えたというのです。

もちろん、私もまりやさんも留学経験をされていること、9月にアルバムが出ること等を矢継ぎ早に聞かれました(笑)。

私の興奮はかなりでしたが、娘も日本の学校に提供するレポートに、この出来事を書いたそうです。

心配がつのっていた時だったのですが、娘に日本の音楽の話題でコミュニケーションをとってくれたホストファミリーの気持ちがうれしく、私もほっとした出来事でした。

ブラザーは、まりやさんの英語がShe is naturalと言っていたそうです。

まりやさんに質問です。

留学してよかったこと、心に残ったていることは、どんなことですか。』

ま:よかったことはね、言葉ってものを超えて人間同士っていうのは切り離せるというか。気持ちって、やっぱり伝わるんだなってことを実体験とかで、ほんとに実感したことが大きかったですね。

達:10代は特にそうですね。

ま:でも、達っつぁんが、渋谷のレコード屋で、アメリカの男の子に「GA AHEAD」にサインしてくれっていってきたとか。結構、そのリアルに聞く話が、なんか。シティポップってあるんだと。

達:狐につままれたような、そういう経験でっすよ。

だけど、こういうお便りいただくと、ほんとにそういうグローバリゼーションというか、いい意味での、世界を超えていくインターナショナルな。

ま:この前、私たちが行きつけの和食屋に、韓国人のDJでプロデューサーのNight Tempoさんという人が来られて、「ここは達郎さんとまりやさんが来られてます」って板さんが言ったら、「ぜひよろしくって言ってくれ」って。

彼がその「フューチャー・ファンク」っていう。

達:仕掛けした人でしょ?

ま:そうそうそう。

だから、そういうなんかこうね、クロスオーバーがあったり。うれしいですよね。

達:時代が閉塞しているとか、いろいろありますけど、そうじゃない面もあるわけですよね。

何もかにも悪いように悪いようにとらないで、少し明るい前向きな部分は積極評価していくとかね。そういうスタンスが大事ですよね。

ま:そういう普遍性というか、そういうものを達っつぁんは大事にしてきたことが、ここにきて、そういう外国の方に聴いてもらえてるっていうことでもあると思うんですけどね。

達:長生きはするもんだって。

というわけで1984年のアルバム「バラエティ」、35年経ちました「プラスティック・ラヴ」

プラスティック・ラヴ / 竹内まりや

 

達:「プラスティック・ラヴ」でした。

ま:これを聞いていると、前に住んでいたマンションの、4トラックのだっけ、あれで機械をいじりながらこのビートを出して、絶対に山下達郎が歌うような曲を書いてやろうと思って(笑)

達:(笑)

ま:書いたのを思い出す。

達:休業してるときだな。

ま:そうそう。機械と遊んでいたころ。よかったです。書いておいて。

達:(リスナーから)『「シングル・アゲイン」がテレサ・テンを想定した曲だと知ってびっくりしました。なるほどと納得もしました。おそらくはまりやさんのことですから、得意の洋物以外にも、ちあきなおみやテレサ・テンのカバーにもトライされていると思いますので、ぜひ番組でお聞かせください』

ま:いやいやトライしてないし、トライできない。この人達は。うますぎて。テレサ・テンさんの日本語の発音と発声がすごい美しいのが好きで、彼女は台湾の人だったっけ。

達:台湾です。

ま:中国系の人なのに、日本語の発音が美しいなといつも聞いてたんです。

達:あたしって歌がうまいのよ、という歌じゃない。

ま:そういう歌じゃないでしょ。だからほんとに美しいですよ。声がね。

達:ナル入ってない。

ま:「つぐない」とか「空港」とか、三木たかしさんとが書いてらっしゃる一連の楽曲と彼女の声のあいまった感じがすごく好きで、火サスを書くんだったらそういう感じの曲がいいなと思って、「シングル・アゲイン」を書いたんですけどね。

達:「シングル・アゲイン」は火曜サスペンスだもんな。

ま:でも書いた当初はね、達郎だったかな誰かスタッフだったか、これ歌謡曲じゃんって言われた。こんなのーみたいに言われたような気がしたんだけどね。でもよくアレンジしてくれたよね。

達:これ難しかったですよ(笑)

ま:達郎がアレンジすれば、ド歌謡曲にはならないであろうという読みがあったので、あえてこんなメロディにしたんですけど。

達:大変ですよ。

ま:でも、おかげさまで有線1位とったりしてね。新しいファン層を広げることができた曲なので。よかったかなと思ってます。

達:これももうリリースして30年。1989年のシングル。

シングル・アゲイン / 竹内まりや

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達:(リスナーから)『先日、中学生の娘を連れて島根の実家に帰りました。私が母と話をしていると、娘が、ママ方言を話せるの、いいなあモテるじゃん、と目を輝かせて言ってきました。上京した20年前、恥ずかしくて必死で直したなまり、時代も変わったものです。まりやさんは今でも島根の言葉でお話になることはありますか。』

ま:相手が島根の人、出雲の人だったら、それに合わせてしゃべることはあるけど、とっさには出てこないね。あんまりね。

達:出雲と電話してるときはそうなるよね。

ま:電話とあと今度の「まりやちゃんかるた」で読み上げしたときに、出雲のアクセントがどこかあるんですよ。

達:あるよ。

ま:だから、こう読んでくださいと言われないと気づかないことがいっぱいある。

達:だから、どこもそうよ。東京も東京のなまりってのがあって。

ま:東京弁(笑)

達:東京弁ってのがあって標準語とは違う。

ま:渋谷のことがヒブヤ?

達:うちのじいさんはヒとシがまったくだめで、タクシーのると「シビヤ」。

ま:どっちかわかんない。

達:日比谷ですか渋谷ですかと、必ずタクシーの人が聞く。

最近はそんなことはないけど、でもあせっていうとシビヤ。

ま:日比谷の場合どうするのよ。

達:日比谷はシビヤ、渋谷はヒブヤ。

紐はシボ、せっけんはシャボンだし。

ま:それはハイカラじゃない。

達:紐はシボですよ。江東区とかいくと、もう。

ま:出雲だと、椅子とかのアクセントが違う。

達:いろんなとこで違いますよ。

ま:でもそれでモテたことはないな。

達:昔はいじめられたよ、

ま:ねえ。

達:小学校のとき鹿児島から転校してきた子が、国語で読まされると、みんなでクスクスやってた。そういうことはよくあった。

ま:ほかの地方の方言を聞くと、ほっこりするということはあったりするね。

達:関西弁がこれだけワイドになったことの良い点だね。

昔は東京で大阪弁しゃべるのも勇気がいるというか。

ま:大阪弁でしか出せないニュアンスとか、よくあるよね。

達:逆に大阪にいって東京弁でしゃべると目の敵にされた時代があるからね。

ま:ああ、そうなんだね。言葉は深いわ。

達:で。全然関係ないですけど、先々週私のライブを聞いていただきましたが、1曲あまってしまいまして。今年のライブが1曲もかかんなかったんで「Get Back In Love」を今年はやっております。

ま:ぜひぜひ、これも良かったもんね。8月10日の中野サンプラザでのライブですけど、「Get Back In Love」は2年か3年に一度はずっとやってるんですが、おかげさまで11年ずっとツアーを続けてきて、ようやく全体のバランスというか、アンサンブルが有機的に溶けて、まとまりがようやく良くなった気がしました。

ま:私のとなりで聞いていたスタッフがボロ泣きしてました。

達:そうですか。

ま:思い出が走馬灯のように。

達:なるほどね。

ま:フラッシュバックしたって。

達:これも22年経ちましたからね。おかげさまで。

GET BACK IN LOVE(LIVE) / 山下達郎

 

達:新年、1月2日からはですね、久しぶりに「新春放談」復活してまして。

お相手が宮治純一さん。

ま:おなじみですね。

達:夏に風邪で、助けていただきましたが。

宮治さんもラジオニッポンでですね、レギュラー持っておりまして。オールディーズの造詣、抜群でございますので。

大瀧さんに勝るとも劣らないですね、難解な(笑)放送ができると思っております。

2週間くらい、やってみたいと思っております。久しぶりの新春放談でございます。

ま:宮治さんと達郎がやっていた番組を聴いて、桑田の佳ちゃんが1曲も知らなかったって(笑)勉強になりますって(笑)

達:小・中の同級生(笑)サザンオールスターズの名付け親ですからね(笑)

 

達:明日30日はですね、大瀧詠一さんの七回忌なんですよね。

ま:そうですね。

達:もう6年経つ。

ま:6年経ちますね。

達:早いものであります。

私、今年のライブではですね「君は天然色」やらしてもらいました。まだちょっとミックスしてないので、すいません(笑)

ま:よかったですよね。

達:七回忌の前の日ですので何か1曲。

ま:でも、あのライブの歌にね、大瀧さん降りてきてたね。

達:(笑)

ま:達郎のその声がね、ほんとに大瀧さんっぽかった(笑)

達:自分で似てると思うもんね。

ま:やっぱりね。

達:でもね、歌っていくうちに、だんだん自分の歌い方になっていくんだよね。

最初の初日から10本くらいはね、ほんとにね、ちょっとしたところが大瀧さんだったんだけど、だんだん、自分の歌にね、なっていったの。昇華されていくっていうか。これはいかんと思って、元に戻そうと思って。やっぱり、ちょっと似てるとこないと、面白くないもん。

ま:こういう風に歌わないと、大瀧さんっぽく聴こえないんだよっていうポイントはある?

達:ある。降り方、あげ方?ちょっとしたあれなんだけど。

言葉の部分もあるんだよね。やっぱり、さっきの訛りじゃないけど。発音の部分もあるんだけど。

だんだん、それがね自分のになってくるんだよね(笑)よくない、みたいな(笑)

で、今日は、竹内まりやさんとのデュエットの「ロング・タイム・フェバリッドのアルバム」に入っております。

03年の作品でありますが。これが公式リリースでは最後なんだよね。

ま:最後だったんだね。

恋のひとこと (SOMETHING STUPID) / 竹内まりや&大瀧詠一

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ま:いっしょに歌っておいて良かったと、これを聞くたびに思います。

達:てなわけで、今年もだんだん、終わりに近づいてまいりましたが。

ま:駆け抜けましたね。

達:来年の予定ですが。

ま:達郎さんは。

達:来年は、私はレコーディングの年にしたいと思っております(笑)

ま:お勉強の年だって言ってましたね。

達:お勉強の年です。

いろいろと、ほんとにハードウェアのノウハウがですね、目まぐるしく変わるので。

ちょっと研究して。機材的なものとかですね。

それで、その間にですね、ひと月に2日くらいですけども。ちっちゃなライブハウスでリハビリをして(笑)

ま:アコースティックライブでまわる、と。

達:はい。

ま:私は、4月に「ターンテーブル」の時の応募イベントがあるので。東京と大阪でのライブハウス・ライブです。

達:割と大きなゼップですからね、ライブハウスとはいうものの。私とは比べものにならない。

ま:それの準備をしっかりやろうかなと。それの前に、しっかり紅白で、心を込めて。みなさんの40年の感謝を込めて歌いたいなと。

くしくも達郎のお母さんの七回忌の命日でもありますので。

達:そうね。

ま:その日にがんばって歌いたいと思います。

達:というわけで、今年も1年、皆さまありがとうございました。

ま:ありがとうございました。

達:来年も、サンデーソングブック、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

来年の新年の初頭の5日、12日は、宮治純一さんゲストに久しぶりの新春放談でございます。大瀧さん、よろこんでくれると思います。

てなわけで、今日の最後はですね、その紅白で歌われます「いのちの歌」。リクエストもたくさん頂きました。

ま:ありがとうございます。それでは、「いのちの歌」聴いてください。

いのちの歌 / 竹内まりや

 

<この項おわり>