5月2日は、忌野清志郎の命日である。
亡くなったのは2009年。
享年58。
もう10年以上になるというのが、うそのようだ。
清志郎の名演、名作は多々あるが、私が最も好きでいちばん良く聞いてきたのが、1992年6月にリリースされたライヴ・アルバム『HAVE MERCY!』だ。
同年3月にリリースしたセカンドソロアルバム『Memphis』は、そのタイトル通りテネシー州メンフィスで録音が行われた。
メンフィスといえば言うまでもなくリズム&ブルースの聖地であり、かのスタックス・レコードが本拠を置いたことで知られる。
R&Bをこよなく愛し、自らのルーツとした清志郎にとって、非常に意義深い作品である。
演奏を努めたのは、スタックス・レコード専属のスタジオ・バンドとして多くの名演を支えたBOOKER.T&The MG'S。
ギターのスティーヴ・クロッパーが、『Memphis』のプロデュースを担当した。
そして、このBOOKER.T&The MG'Sを引き連れて、清志郎は全国ツアーを実施。
計9本のライヴが行われたなかで、4月18日、日本武道館での模様をレコーディングしたのが、『HAVE MERCY!』だ。
キーボードは、ブッカー・T・ジョーンズ!
ギターは、スティーヴ・クロッパー!
ベースは、ドナルド・ダック・ダン!
とソウルファンには涙が出そうな顔ぶれ。
ドラムのアントン・フィグも凄腕で、KISSのアルバムでピーター・クリスの影武者を努めたこともあるという、ちょっと変わった経歴の持ち主だ。
3管のホーン隊も、音が分厚く、かつキレがよい。
『HAVE MERCY!』には「つ・き・あ・い・た・い」「トランジスタ・ラジオ」など、RC時代の代表曲も収められているが、聞きものはメンフィスソウルの名曲たちだ。
ウィルソン・ピケットの「IN THE MIDNIGHT HOUR」
サム・クック「SHAKE」
オーティス・レディング「(SITTIN' ON) THE DOCK OF THE BAY」
というラスト3連発は圧巻。
清志郎が素晴らしいロケンロールシンガーであると同時に、日本屈指のR&Bシンガーであることを思い知らされる名演だ。
映像もリリースされている。清志郎は実に楽しそうだ。
忌野清志郎 with Booker T & the M.G.'s / トランジスタラジオ
- アーティスト:忌野清志郎&BOOKER.T&THE MG’S
- 発売日: 2006/01/25
- メディア: CD
1. GREEN ONIONS
2. HOLD ON,I’M COMIN’|KNOCK ON WOOD|LAST NIGHT
3. BOYS
4. カモナ・ベイビー
5. 雪どけ
6. ママ・プリーズ・カムバック
7. LIKE A DREAM
8. ペテン師
9. 彼女の笑顔
10. つ・き・あ・い・た・い
11. トランジスタ・ラジオ
12. MTN
13. からすの赤ちゃん
14. IN THE MIDNIGHT HOUR
15. SHAKE
16. (SITTIN’ ON) THE DOCK OF THE BAY
下記のDVDは14曲収録で、CDよりも少ないのが、ちょっと残念。
<この項おわり>