2017年3月4日に逝去した女性シンガー、ヴァレリー・カーター。
その歌声は玄人筋からの評価が高く、ジェームス・テイラーやリトルフィートを始め、数多くのアーティストに愛され、数え切れないほどの作品にコーラスとして参加している。
たいへん寡作ながらソロアルバムもリリースしており、1978年のセカンドアルバム『Wild Child』は、スティーブ・ルカサー、ジェフ・ポーカロらTOTOのメンバーが参加。日本でもAORの名盤として評価されている。
しかしサード『The Way It Is』が出たのは約20年後の1996年。
以後、アルバムリリースはずっと途絶えたままだった。
それがなんと2018年12月、彼女の死後1年を過ぎて、4作目がリリースされた。
タイトルは『THE LOST TAPES』。
彼女の家族や友人たちが、70年代から00年代までのデモ音源等のテープにオーバーダビング等を施して完成させたという。
というと、作品として完成度はいまひとつかなと予断してしまうが、いやいやなんと、ローウェル・ジョージの参加曲、リンダ・ロンシュタットとのデュエット、そしてプリンスとの共作曲(!?)まで収められている。
そのプリンスとの曲は美しいバラード。たしかにメロディラインにプリンスらしさが垣間見える。
どうしてこのタイミングでのリリースなのかわからないけれど、おそらくは権利関係の確認や整理に時間を要したのだろう。
この新作の登場を素直に喜びたい。
なお、アメリカでは配信のみだそうで、販売されているCDは、日本からの“輸入盤”とのことである。
日本盤のリリースを実現した関係者の方に感謝したい。
ザ・ロスト・テープ/THE LOST TAPES [帯・解説(長門芳郎)・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤CD]
- アーティスト: ヴァレリー・カーター/VALERIE CARTER
- 出版社/メーカー: CA VA? RECORDS
- 発売日: 2018/12/13
- メディア: CD
#この項おわり