あのプリンスも絶賛していたロンドン出身のシンガーソングライター、リアン・ラ・ハヴァス(Lianne La Havas)。
ジャマイカ系の母とギリシャ系の父の間に生まれた彼女の2012年のデビューアルバム、 『Is Your Love Big Enough?』は、そのDNAを示すかのように、定型的なジャンル分けにあてはまらない作品だった。
サウンドは曲により、R&Bのようで、ジャズのようで、トラッドフォークのようでありながら、寄せ集めたような印象はない。
彼女のスモーキーで深みのある歌声には、ジャンルを超えた包容力があるからだ。
2015年のリリースのセカンドアルバム『Blood』はグラミー賞ベスト・アーバン・コンテンポラリー・アルバム部門にノミネート。
日本での知名度は今ひとつな印象もあるが、感度の高い洋楽ファンの中には推す声も多く、2013年、2017年には来日公演を行っている。
そんな彼女のサードアルバム『LIANNE LA HAVAS』が2020年7月リリース。
前の2作に比べ、懐が深くなった印象を受けるのは、やはりキャリアを重ねてきたゆえか。
しっとりとしてセクシャルなリードシングル「Paper Thin」をはじめ、コクのある曲が揃っている。
やや涼しくなってきた、今の時期にこそふさわしい一枚だ。
<了>