ローリングストーン誌が「歴代最高のアルバム500選」リストを刷新した。
2003年に初めて選出し、2012年に改訂版を発表しているから、7年ぶりとなる。
当然、その7年のあいだリリースされたアルバムが新たに選ばれ、選外になったアルバムもある。
ミュージシャン、プロデューサー、音楽ジャーナリストら約300人の音楽関係者が好きなアルバムを選んで、集計しているらしい。
30人なら、好みの偏った人が数人いれば、かなり個性的なリストになる可能性はあるが、約300人という数であればバランスはとれていると考えていいのではないか。
しかし刷新とはいえ、上位の顔ぶれはほとんど変わらないと思っていた。
歴史的な価値はそうそう揺らぐものではないし、この7年のあいだにベスト10に食い込むほどのクオリティを持つアルバムがあったとは思えないからだ。
実際にリストを見て驚いた。
最近のアルバムは確かにベスト10にはなかったけれど、過去の作品の評価が大きく変わったのだ。
いちばんびっくりしたのはビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が、なんと1位から24位にまで下がったこと。
ビートルズの最上位作品は5位の『アビーロード』だ。
なんでここまで大きな変動があったのか、よくわからない。
ただ1位には納得感がある。
マーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイン・オン』(前回6位)だ。
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今回のリストの特長は、黒人アーティストが大きく躍進したことだ。
前回は20位の中に黒人アーティストが4組だったが、今回は9組に増えている。
スティービー・ワンダーの『ソングス・イン・ザ・キー・オブ・ライフ』が4位(前回53位)、プリンスの『パープル・レイン』が8位(同68位)と大きく順位を上げた。
10位のローリン・ヒル『ミスエデュケーション』は、なんと314位からの上昇である。
前回の314位というのが低すぎるとは思うが、10位とは流石に驚く。
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これにはおそらく大きく2つの理由があると思われる。
一つは言うまでもなくBlack Lives Matterだ。
この組織的な運動が米国で拡大する中で、改めてアフリカンアメリカンの文化への注目度が高まり、再評価につながったのではないか。
もう一つは、現在のチャートを席巻しているラップへの影響度の高さだ。
今回新たに20位以内に、カニエ・ウェストの『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー』(17位)、ケンドリック・ラマー『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』(19位)が入った。
どちらも選ばれて当然の素晴らしい作品だ。
そしてこれらの源流とも言える作品として、マーヴィン、スティービー、プリンスが再評価されたのではないか。
これを機会に、改めてそれぞれの作品を聞き直したいと思う。
以下が上位20作品
1.マーヴィン・ゲイ『ホワッツ・ゴーイン・オン』
2.ビーチ・ボーイズ『ペット・サウンズ』
3.ジョニ・ミッチェル『ブルー』
4.スティーヴィー・ワンダー『キー・オブ・ライフ』
5.ザ・ビートルズ『アビイ・ロード』
6.ニルヴァーナ『ネヴァーマインド』
7.フリートウッド・マック『噂』
8.プリンス・アンド・ザ・レヴォリューション『パープル・レイン』
9.ボブ・ディラン『血の轍』
10.ローリン・ヒル『ミスエデュケーション』
11.ザ・ビートルズ『リボルバー』
12.マイケル・ジャクソン『スリラー』
13.アレサ・フランクリン『貴方だけを愛して』
14.ザ・ローリング・ストーンズ『メイン・ストリートのならず者』
15.パブリック・エネミー『パブリック・エネミーII』
16.ザ・クラッシュ『ロンドン・コーリング』
17.カニエ・ウェスト『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー』
18.ボブ・ディラン『追憶のハイウェイ61』
19.ケンドリック・ラマー『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』
20.レディオヘッド『キッド A』
<了>