おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック 2021年12月19日『年忘れ夫婦放談 Part.1』

対談部分を書き起こしていますが、一部割愛しております。

 

1. CHRISTMAS EVE (ENGLISH VERSION) / 山下達郎 2021 版 12/15日発売
2. すてきなホリデイ / 竹内まりや "ボナペティ!" "エクスプレッションズ" '01
3. MY GIFT TO YOU / 山下達郎 "シーズンズ・グリーティングス" '93
4. SPECIAL DELIVERY~特別航空便~ / 竹内まりや "ポートレイト" '81
5. プラスティック・ラブ / JUICE=JUICE 12月22日発売
6. SWEETEST MUSIC / 竹内まりや "ミス M" "ターンテーブル" '80
7. THE CHRISTMAS SONG / 竹内まりや "クワイエット・ライフ" 92
8. HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS / 山下達郎 "シーズンズ・グリーティングス" '93

 

達:毎年恒例、29年続きましたサンデーソングブック。
年末は、今年もこの方ゲストです。
ま:こんにちは。竹内まりやです。よろしくお願いします。
達:「年忘れ夫婦放談」今週、来週、2週間にわたりまして毎度おなじみ。
ま:ついこのあいだ夏の夫婦放談やったかと思えばね。
達:何にもやらないって、意外と時間経ちますね。
ま:早い!
今年始まって、私たちが一番最初にやったスケジュールは何だったかっていうと、ツアーやるかやらないか決めなきゃいけないという、そこからですからね。
で、ツアーが中止になったことで達郎さんはレコーディング・モードにお入りになりましたね。
よかったと思いますよ、それはそれで。
達:はい(笑)
ま:がんばって来年にはオリジナル・アルバムを期待しておりますけども。
達:一所懸命やっております。
ま:私のほうはね、アルバムのレコーディングを少しずつやりながら、久しぶりに有観客のライブ、このあいだの服部先生のに出していただいたりっていうような感じ、まったりと過ごしてきたという感じですかね。
達:というわけで、今年一年のご報告というには。
ま:総括というには、ちょっとね。
達:とにかく、ものすごい数のお便りとメールいただきました(笑)
ま:メールもそうですけど、ハガキも。
達:ハガキも増えてるんです。
ま:全部読んでますけど、すごく時間がかかりました。ありがたいですね。
達:ですので、みなさんのリクエスト、おたよりにお応えしつつ、年忘れ夫婦放談。
今日は19日なので、ちょっとクリスマス前には早いんですけが、クリスマス・モードでいってみようかと。
日曜日の午後のひととき、毎年恒例、竹内まりやさんゲストに年忘れ夫婦放談Part.1でございます。
本日は、最高の選曲、最高の音質でお届けしたいと思います(笑)
「クリスマス・イブ」のCDシングル、今年も発売になりました。
今年は、おうちカラオケ、おうちアカペラ、たくさん入れましたのでご好評いただいております。
今年チャートに入りますと、36年連続チャート ということになりますが。おかげさまで。
ま:今年のボーナス・トラック、おうちカラオケ5曲。
達:去年と今年の、いろいろと苦労の成果でございますな(笑)
「クリスマス・イブ」リクエストたくさん頂いておりますが、今日は、イングリッシュ・バージョンでお届けします。

CHRISTMAS EVE (ENGLISH VERSION) / 山下達郎 

 

すてきなホリデイ / 竹内まりや

ま:「すてきなホリデイ」のリクエストで、『12月になると達郎さん、まりやさんご夫妻の歌声を巷で聴く機会が増えるのですが、自分の歌声を自分で聴くというのは、どんな心境なのでしょうか。自分ではぜったい体験できないので、お聞かせいただけたら、うれしいです』
達:どうぞ。
ま:うーん、私は使ってくれてありがとうっていう心境です(笑)
達:生まれて初めて、自分の声を録音して、家でテレコとかでね。そういうの録音して聴いたときの、その嫌悪感たるや。
ま:違うって思うよね。
達:みんなそれは思います。
すごーくイヤなんだけど、だんだん、こういう商売やってると慣れていかざるをえない。
ま:そうだよね。
だからビールのコマーシャルで自分の声がポンってなると、それで自分のレコーディングのことを思い出したりとか、妙なフラッシュバックがあるんです。
達:(笑)
ま:ありがたいですよね。
達:似たようなお便り。
『お二人のCDとライブを聴いて、いつも思うのはCDとライブが同じ曲なのに、歌い方が少しずつ異なるということです。
それは意識してライブ用に多少感情をこめて歌っているのか、レコーディングのあとで、もう少し変えたほうがよいと思って、バージョンアップしているのか、そのときのライブの雰囲気に合わせているのか、思いを聞きたいです』
ま:どうなんだろう?どう?
達:レコードは、要するに一番最初に歌うのがレコードなんですよ。
だんだん、そうやってライブで回を重ねていくうちに練れていくんです。
例えば演歌の歌手の人なんかは、自分が最初にしたものは、ものすごく気に入らなくて。
やっぱり5年、10年経つうちに再録音とか、そういうのがある人が、ほとんどだそうです。
ま:リレコって、やつよね。
達:そうです。
やっぱり、今の歌でやりたいと。昔の時の歌は、ぜんぜん練れてないから、イヤだと。
全部やりなおす人いるんですよね。
昔のレコードで、あの時の歌は自分の歌じゃないとか。
ま:ライブはその時の気持ちとか、雰囲気もあるから、ちょっとレコーディングのときと違ってくるというのも必然かなと思います。
できるだけレコーディングに近い感じで歌いたいのはあるけど、年代も違うしね。
達:絶対ライブの方がいいですよ。僕なんか、絶対レコードがライブを超えられない。
ま:んーそっか。目の前にお客さんがいる歌だから。
達:その緊張感はある。
そこからお客対自分というものの、よく言えば対峙、悪く言えば対決、喧嘩(笑)
そういうところの表現と、スタジオで一人で歌うのとは違うから。

MY GIFT TO YOU / 山下達郎

 

ま:おたより『薄い質問ですいません。以前に達郎さんは落語を聞きながら寝るとおっしゃってましたが、まりやさんは寝るまでのあいだ、何か聴いたりするんでしょうか。』という質問ですけれども。
だいたい、その日レコーディングとかあれば、その音源をチェックしたりするんですけど。
最近はですねラジコで聴き逃したサンソンを聴いてます(笑)
今週ちょっと聴けなかったなぁっていうとき。
達:(笑)
ま:便利だよねラジコって。
達:ラジコはほんとにね。
それのおかげでラジオが復権しましたからね。トランジスタ・ラジオですからね、スマホはね。
ま:達っつぁんは、あいからず落語聴いてんですか?あとはレコーディングの。
達:ハイそうです。今ちょっと佳境ですので(笑)
細かいところの、シンバルの抜けがとか、そういうヤツですね。
ま:そうすると寝れなくなるのよね。
達:ダメです。いや、朝です。
ま:朝?
達:うん。朝起きたときに聴き始めると、そのまま1時間くらい。
ま:寝ちゃう?
達:いや、チェックする。
ま:朝チェックするの?
達:目がさえるんです。9時ごろに一回、目が覚めて。
普通だったら、そのままもうひと眠りするんですけど、そこで、かけちゃうとダメですね(笑)
ま:朝、クスクス笑ってる声がちょっと。
達:それは、権太楼さん聴いてます(笑)

達:おたより『以前達郎さんは落語がお好き、まりやさんは、お笑い芸人が好きだというお話をされてたと記憶しているのですが、今年イチオシの方はいらっしゃいますか』
ま:私、シソンヌのじろうさんが、すっごい好き。知らないよね(笑)
達:知らない(笑)コンテンポラリーなものには、ついていけません(笑)
ま:私は逆に落語がわかんないで。
達:難波君がそういうとこ詳しんですけど。私はもう。
文蔵さんつって三代目の文左衛門が文蔵さんになって。
あと一之輔さんとか。あと扇辰さんね、仲良しですけど。
上手です。古典ね。
あと、志の輔さんですね。何と言っても志の輔さんですね(笑)
あと喬太郎さん。
ま:伊能忠敬の落語をなさるって聞きました。
達:まんがにもなりました。
ま:すっごい興味がある人だから。伊能忠敬
達:伊能忠敬は死んだあとに、弟子たちが、あれを完成させたっていう話なんですよね。
ま:今と寸分たがわぬ日本地図をね、歩いて。すごいよね。
それを落語にするって、どういう感じなのかなぁって。
達:志の輔さん、得意ですから(笑)
「牡丹灯籠」とかね、「忠臣蔵」にしろね、そういうこと得意ですから。

 

達:おたより『クリスマスということで質問ですが、今までで一番うれしかったプレゼントは何ですか』
ま:こどもの頃のことかね。
昔は、長靴の中にキャンディーとかチョコとか入っているものって、すごい貴重だったじゃない。
そういうのが、父の外国人の友達から送られてきて、こんなものが送られてきたよって、すごい興奮したのを覚えてる。
達:それは50年代の話ですね?
ま:60年くらいかな。私が5歳くらいだから。
なんかあった?
達:私は「X-15」のプラモデル(笑)小学校1年ね。
ま:サンタさんのプレゼントってやつ?
達:そうだね。みんな子供の時代に戻るんですよ。
ま:こどものプレゼントで、私たちもいろいろ苦労しましたね(笑)
達:その話すると長いんだ!(笑)
ま:長いんだよね(笑)
達:たいへんなんだ(笑)

 

達:おたより『お二人は、今年はまった食べ物や、はまったものはありますか』
ま:私「サクサク醤油」にはまったかな(笑)
達っつぁんは、ある?
達:ウズラの味付け卵(笑)
ま:小さいウズラの卵を味付けしたやつね。夜中食べてんだよね(笑)
達:あれ、ほんと尾を引くんですよ(笑)

SPECIAL DELIVERY~特別航空便~ / 竹内まりや

 

達:来週は、今年最後のサンデーソングブックでございます。
来週は『夫婦放談』Part.2でございますが、まとめ録りをしておりますので、今からおたより頂いても来週はお応えできませんのご了承ください。
ま:私の曲のカバーをしてくださった若い女性アイドル・グループがおりまして。
Juice=Juiceというハロプロのね女性アイドルグループだったんですけども。
彼女たちのライブ、初めてこのあいだ観せていただいたんですけども、めちゃくちゃ生歌もうまいし、ダンスもキレッキレなんですよ。
そこリーダーの金澤さんっていう方が卒業する日だったんですけど、なんといってもこの人の最後のスピーチ。これに感動してしまって。
10分くらいのスピーチだったんですけど、自分がアイドルとして生きた道のりの説明とか、一人一人への感謝をね、10分くらカンペも見ずに、完璧な日本語でやられたのを見て、すごいなぁと思って。
女性アイドルグループのライブって、私、ちゃんと観たの初めてだったので、けっこう感動しましたよ。
達:前は、私の「ダウンタウン」カバーしてもらったりして、その節はお世話になりました。
続きまして「プラスティック・ラブ」が出てまいります。
12月22日発売ですから、今週の水曜日ですね。
ですので、先行してお聴きをいただければと思います。

プラスティック・ラブ / JUICE=JUICE 12月22日発売

 

達:デヴィッド・ラズレーの話を。
ま:亡くなられたんですけど、ジェームス・テイラーのバック・コーラスで、すごく好きだったんですが、実はピーター・アレンが作曲、デヴィッド・ラズレーの作詞で「SWEETEST MUSIC」という作品があるので、を追悼して。
達:1980年のアルバム『MISS M』のA面1曲目。

SWEETEST MUSIC / 竹内まりや 

達:私のアルバム『CIRCUS TOWN』の「WINDY LADY」や「CIRCUS TOWN」を英語詞でアメリカに売り込もうという音楽出版社の計画があって、そのデモテープをデヴィッド・ラズレーが歌っていて。
あるかなと思って探したけど、出てこなかった。
ま:聴いてみたかったですね。

 

達:この続きは、来週。
クリスマス・シーズン、『年忘れ夫婦放談』最後は、これだと決まっております29年。
来年の30年も同じになると思います。
そもそもが服部克久さんにクリスマスソングをお願いしようと思って、僕がお願いしたのが、まりやが歌う「The Christmas Song」と僕の歌「Have Yourself A Merry Little Christmas」をメドレーでやってほしいと。
それは1990年の話なんですけども。
ここの上がりがすごくよかったので、僕は「Season’s Greetings」でクリスマス・アルバムをやろうと思ったんです。
その時の一番最初の服部先生とのクリスマス・ソングのセッションが、このメドレーで。
その後半部分を「Season’s Greetings」にいれてありますが。
竹内まりやさんは「Quiet Life」はリレコっていうか、再レコーディングで「The Christmas Song」はいっておりますが。同じアレンジですが。
ま:すばらしいアレンジですよね。
達:これは、すばらしいテイクであります。今日もお聴きをいただきます。

THE CHRISTMAS SONG / 竹内まりや 
HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS / 山下達郎 

 

<了>