おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック2022年12月18日『年忘れ夫婦放談Part.1(ゲスト:竹内まりや)』

対談トークの中から曲の解説部分を要約して掲載しています。

 

1. クリスマス・イブ / 山下達郎 '83
2. けんかをやめて / 河合奈保子 '82
3. 駅 / 星屑スキャット 12月07日発売
4. CANDY / 山下達郎 "スペイシー" '77
5. HEART TO HEART / 竹内まりや "ミス・M" '80
6. NOW / THE CARPENTERS "VOICE OF THE HEART" '83
7. すてきなホリデイ / 竹内まりや "ボナペティ!" '01

 

達:番組の方は毎年恒例、今年もですね年末はこの方ゲストです。
ま:今日は。竹内まりやです。
達:おなじみ『年忘れ夫婦放談』でございます。
ま:ついこないだ夏の放談だったのにね。
達:4ヶ月ぶりですね。毎年毎年、今年もあっという間。
ま:でも私、67年生きてきて今までで一番速い1年だったと思う。
達っつぁんにとっては、11年ぶりのアルバムがあってツアーがあったから、ちょっと長かったでしょ?
達:そうでもない。
去年のレコーディングしてる時、長かったですね。あっちの方がやっぱり段取りがいろいろあるから。
ま:この間、おせち食べたら、気が付いたら次のおせちみたいな(笑)
そのくらい早かった。何やってたんだろう、私は。
いろいろレコーディングとかやってたんですよ(笑)。
達:そういうことを含めましてて、年の瀬でございます。
毎年おなじみ年忘れ夫婦放談でございます。
今年も薄めのパターンでございますが。
今年はですね来週がChristmas Day.になります。
ですので「クリスマス・イブ」も今年は今日が最後のオンエアです。
おかげさまで来年で発売40周年を迎えます。
ま:今回は何か、かわいいくまちゃんのヤマザキマリさんのイラストで。
達郎さん:ヤマザキマリさんに作っていただきました。
限定CDシングル・クリスマスバージョン発売になりました「クリスマス・イブ」
たくさん、たくさんリクエスト・カードいただきました。
「クリスマス・イブ」ちょいと早いですけど。
クリスマス・イブ / 山下達郎

 


達:先日、映画が封切られまして。
ま:『すずめの戸締まり』という新海誠監督のアニメなんですけど、観に行ったんですね。
面白かったんですけどね、ちょっとファンタジックな映画で。
その中の劇中歌と言うか、そういう扱いで河合奈保子ちゃんの「けんかをやめて」を久しぶりに聴いて、是非かけたいなぁと思って。
達:40年経ちましたね。
ま:今こうやって、久しぶりに聴いたんですけど、やっぱ歌唱力あるのでね。
達:上手いですよ。
ま:本当に何かこういうニュアンスが伝わる。
達:日本語がきれいなんですよ奈保子さんは。
ま:これは82年の作品だったと思うんですけど、アレンジは、これは清水信之さんで。
確かドラムはポンタさんだったの覚えてるんですけど。
達:そうだね。
ま:他のメンバーはどういう人だったか、どうしても思い出せなくて。仮歌、私歌ったんですけどね(笑)
達:40年も経つと。
ま:ちょっと控えとけばよかったなぁと思って。
達:アイドル歌謡、クレジット載ってませんからね。
ま:レコーディングも立ち会わなかったんですけど、ディレクターさんが、やっぱり的確なディレクションなさったと見えて。すごいいい歌唱ですね。
達:82年、83年は書きまくってましたけどね。
ま:一か月に一曲くらい書いてたんだよね、さっき調べたら。そんなに書いてたんだっていうくらいがんばってましたよ。
達:40年という歳月ね。後にセルフカバーもしましたからね。
ま:セルフカバーもしましたけど、なおちゃんが歌うのはいいね。可憐な感じだね。私が歌うと、ほんと図太い嫌な女だよね。
よく言われるけど、本質が出てんだよね、きっと(笑)
達:黙して語らない、ノーコメント(笑)
けんかをやめて / 河合奈保子

 

達:星屑スキャットさんの「駅」にリクエスト。
『最近まりやさんの曲を男性がカバーする機会が増えてきたように思います。
そのことについてどう思いますか』という質問。
ま:なんか男性のシンガーの方に歌ってもらう自分の曲っていうのが、すごい新鮮で。
割と若い人が「駅」とか「元気を出して」とかね、そういうのを歌ってくださってるんですけど、ありがたいですね。
達:星屑スキャット、トリオで。
ま:ミッツ・マングローブさん、ギャランティーク和恵さん、メイリー・ムーさんという、この3名のユニットなんですけど。
12月の7日にシングルとして発売されて、聴かせて頂いたら、すごくいい「駅」だったんですよ。
達:今まで聴いてきた「駅」のカバーでで出色ですよ。
ま:本当に3人の声がいいんですよ、ボーカルが。
ミッツさんにそのことを話したら、やっぱりすごく1か月くらいかけて緻密にレコーディングされたって、おっしゃってたんですけど。
アレンジもなかなかイカしてて。
駅 / 星屑スキャット

 


ま:この曲って、わりとこう感情を込めて歌うと、歌い上げてしまうじゃない。
そこちょっと抑制して歌ってるところが、すごくいいなと思ったの。
達:エンディングあるのが今時ですね。
ま:あ~なるほどね。
達:フェイドアウトしない。
ま:でもなんか声とこの曲があってるわ。
達:セルフカバーのオリジナル、セルフカバーのまたまたカバー!
ま:彼らが歌う「新宿シャンソン」がまた名曲でね。ファンなんですよね!

 

ま:古い時代の音源がアナログ化されるということで。
達:RCA時代のアナログが高値を呼んでいるので。
ま:転売ヤーがね。
達:それはを防ぐためですね、遅ればせながらという感じです。
ま:ずっと私はそれを願ってたんですけど。ようやくここに来て、来年?
達:来年です。来年順次発売します。
ま:せっかくだから、そのアナログ盤発売記念というか、発売の前ですけど。
私が好きな曲を今回ちょっとリクエストしようかなと思って。
「SPACY」からすごい好きな「CANDY」よろしくお願いします。
CANDY / 山下達郎

達:77年のアルバムですから、45年経ちましたね。
ま:山下達郎の歌唱が儚い感じで。
達:夜中の1時とか2時ですよ。1日に4曲。その日の8時に工場入れないと、出ないっていう(笑)
ま:松木さんだねギターはね。
達:間奏のおしまいに、もう1フレーズあるんですけど、これ、うるさいから消せよって。
ま:そうなの?
達:ぜったい消せよって(笑)
ま:それで消したの?
達:消した。
ま:「SPACY」は「素敵な午後は」とか、私が一番最初デモテープを録るために歌った「言えなかった言葉を」も。だからすごいなんか思い出があるアルバムだし。
達:伊藤広規さんが「好きです」って言ってましたね練習の時に。
ま:この曲?
達:いや「SPACY」のアルバムが。「これ名盤だよ」って。
ま:だからアナログ盤が出るのが楽しみですよ。
達:でも、細野さんと、ポンタと、松木さんと、佐藤君と4人でやったんだけど、もうポンタいない、松木さんいない、佐藤君いない。
ま:あの時代の大村さんとかもね。
達:憲司も、もういない。細野さんだけ。。。元気でいてください。

 

達:(リスナーから)『先日カーペンターズの曲の聴き比べの特集がありました※。そこでまりやさんの「Heart to Heart」から「Now」への経緯の紹介がありました。私は初めて知ったエピソードでした。当時まりやさんへもカーペンターズ側から何か連絡入ったのでしょうか。差し支えなければ教えてください』っていうお便りですけども。
これはですね元々は竹内まりやバージョンの方が先に発表されております。
ロジャー・ニコルズ作曲ですけども。
1980年に竹内まりやのアルバム「Miss M」これに収録されております「Heart to Heart」。
これの同名異曲、異名同曲だな。それが「Now」です
「Heart to Heart」ってのは誰が?
ま:私が作詞してロジャー・ニコルズさんが書き下ろしてくださった曲だったんですけど。
後にそのカレン・カーペンターが。
達:流用したんです。
ま:英語の歌詞で歌って、それが最後のレコーディングになったってことなんですが。わりと知られてない話だったんです。
達:元はこっちだったんです。
ま:カバーしてくださったんです。カレンさんが。
達:ですので、聴き比べしてみましょう。
ま:この「Heart to Heart」を作ってくださったロジャー・ニコルズの家に行ったんですよ。
あの亡くなられた宮田さんと一緒に。
丘の上の家に行ったら、こうカーペンターズのプラチナレコードの額縁がずっと並んでる中で。
図書館のようなきれいな部屋で、ピアノでこれを弾いてくださって。
歌詞が付いてなかったんで「Heart to Heart」っていう仮タイトルだけは決まってたんだけどレコーディングは、ララメロディで歌って、後でつけたってことなんですけど。
すっごいいい人だった、ロジャー・ニコルズ。
だからその曲をカレンさんが後にカバーされたっていうのを、後でまた知って。すごい意外だったの覚えてる。
達:詩は違う人がつけてます。
ま:そうですね。
達:じゃあ竹内まりやバージョン、80年のアルバム「Miss M」から。
カーペンターズ 1983年のアルバム「Voice Of The Heart」これの1曲目に入っています「Now」
竹内まりやバージョンの方はジェイ・グレイドン、デビッド・フォスター、いわゆるエア・プレイのスタッフでのレコーディング、アレンジであります。

HEART TO HEART / 竹内まりや 


NOW / THE CARPENTERS 


ま:この曲をたぶんレコーディングされてる時はもうすでに割と体の調子が悪かったんだと思うんですよね。
それで亡くなられた後の発売なので。
これが最後のレコーディングなったみたいなんですよね。
でも一緒の歌が歌えたことはとても光栄です。

 


達:「すてきなホリデー」に沢山頂いております。今年もケンタッキーで使われております。
ま:ここケンタッキーの匂いがずっとすると思ってたら、ここにある!(笑)
差し入れ?これ(笑)
達:まだメリークリスマスは早いので、クリスマス・ウィークに入りますので。
今日の最後は竹内ま01年の「すてきなホリデイ」
すてきなホリデイ / 竹内まりや

 

<了>