おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック 2021年9月12日『架空の動物で棚からひとつかみ』

達郎氏のトークのうち曲紹介の部分を書き起こしています(抜け漏れはご容赦のほど)

ネットに音源ががあるものは張り付けていますが、オンエアされた音源とは異なる場合が多々あります。

-------------------------------------------------------------------------------------

1. MERMAID / 山下達郎 
2. TARKUS (ERUPTION) / EMERSON, LAKE & PALMER 
3. PUFF, THE MAGIC DRAGON / PETER, PAUL & MARY 
4. ANUBIS / TAD MOROSE 
5. THE LAST UNICORN / AMERICA
6. 獏の夢 / 野獣王国 
7. ひとり暮らしの妖精たち / 大貫妙子 

 

今週は、先週申し上げましたみたいに聴取率週間でございます。
ほんとは8月に聴取率週間やるはずたったのが、オリンピックで後回しになったという。
よくわかりませんがですね。
で、聴取率、二か月にいっぺんなので、もうどうしようかなと思っておりましたら、ディレクターの山岸君がですね案をもって参りまして。
「架空の動物で棚からひとつかみ」はどうだと。
ま、やってみようかと。
始めたんですけど、これがね、たいへんな代物なんです(笑)
おかげさまと申しましょうか、今まで一番多いお便りの数でございました。今週は。
ハガキとメールでですね、ラジオのレギュラー始めて、生まれて初めて全部読み切れませんでした。
それに選曲で朝まで(笑)
去年の家でやっていたテレワーク作業を思い出しまして。
あの時は、毎週、朝見ておりましたけれども、久しぶりにまたレコーディングのあとに、これをやっておりました(笑)
今日は、ちょっと寝不足でございまして(笑)
その奮闘努力のかいがあったかどうか、わかりませんけども、今日は「架空の動物で棚からひとつかみ」
実在しない動物をテーマにした曲を、いろいろ集めてお届けしたいと思います。
でも、正直申し上げて、いつもの選曲と全然違うんです。
サンデーソングブックじゃないみたいな番組になってしまいました。すいません(笑)
だけど、今日は「架空の動物で棚からひとつかみ」というテーマなので、すべての責任は山岸清佳ディレクターにございますので。
聴取率週間のためで始まりましたけど、こんなの聴取率週間になんの効果もないと(笑)
いいんです、がんばります(笑)
日曜日の午後のひと時、今日もすてきなオールディーズソングには変わりませんけれども、素敵なオールディーズソングと言いましょうか、けっこう変なプログラムになりました。
「架空の動物で棚からひとつかみ」何が出ますかお楽しみに。
「架空の動物」といいますと、いろいろございますけれども、私の曲にも、何曲かそういうのがございます。
1986年のアルバム「POCKET MUSIC」に入っております「MERMAID」
人魚に恋をした男の人の話でございます。
アラン・オデイの英語の詩がですね、ドリーミングでございます。
MERMAID / 山下達郎 

 

TARKUS (ERUPTION) / EMERSON, LAKE & PALMER


世の中に存在しない動物、いろいろあります。
大体は昔からのギリシャ神話、ローマ神話、それからエジプト。
多神教の神々から派生したようなものが中心ですが、いろいろと調べましたけれども、だいたヘビメタ、プログレ、テクノ系、そういうようなものが、たいへんに多いんですよね。
あとはインストゥルメンタルが多い。
SFファンとか、そういう人たちは楽器弾きが多いので、必然的に曲が長い。
今日1曲目に始めました、これは我々世代におなじみエマーソン・レイク&パーマーの1971年のセカンドアルバムのアナログA面、全部占拠しております「タルカス」全20分。
大作でございますが。
これの一番最初の「エラプション:噴火」というですね。
この曲は5拍子です。変態な音であります。
「タルカス」というのは、キースエマーソンが思いついた架空の動物、戦車の形をした。
アルバムジャケットにもそれが使われておりますけれども。
架空の動物のインストゥルメンタルでございます。
それも冒頭のところをお聴きいただきまして、今日は始めてみました。
曲が長いので頭のところだけです。
エマーソン・レイク&パーマー、むかし後楽園球場に見に行きまして、そういう思い出と共にあります。

今はアニメのキャラでドラゴンクエストとかに使われてますので、実像とは違った感じになってますけど、まあ固いことは言わないで。
架空の動物いいますと、いの一番、龍ですねドラゴン。
ドラゴンはもう日本もありますし、中国もありますし、ヨーロッパもございます。
ドラゴンの歌、たくさんございますけど。
一番多くリクエストいただきましたのは「燃えよドラゴンのテーマ」、ラロ・シフリンですけど。
あれはドラゴンの曲じゃないんです。
あれはブルース・リーの映画のあれなんで、ドラゴンを扱った曲じゃないので。
そういうの、かけません。
純粋に架空の動物を歌った曲、架空の動物をテーマにした曲、そういうもので今日はいきますので。
ブルース・リーのファンの方、すいません。
ドラゴンで我々の世代にお馴染みなのはピーター、ポール&メアリーの「PUFF, THE MAGIC DRAGON」
1963年、全米2位。パフという龍がジャッキーという少年と仲良くなったが、ジャッキーがだんだん大きくなって別れてしまう。
いろいろな解釈がありますけど、少年期、ジュブナイルからの卒業ということがテーマになっているという説が強いです。
たくさんリクエストいただきました。
PUFF, THE MAGIC DRAGON / PETER, PAUL & MARY


架空の動物はですね、ギリシャ神話、ローマ神話、それからエジプト。
そういうところの神々の名前がたくさんあります。
いろいろな神様、動物いますけれども、私好きなのはですねアヌビス。
犬の頭、ジャッカルの頭をした冥界の神。ミイラを造る神ですね。
で、やはり先ほども申し上げましたみたいにですね、ヘビーメタル系の曲がとっても多いんです。
いろいろ聴きましたけれどもですね、下手くそなのもあります(笑)ものすごいのもありますけど。
今日おかけするのは、スウェーデンのヘビーメタルバンド、タッド・モローズ。
上手いんです、このバンド。
2004年のアルバム「モーダス・ヴィヴェンディ」、暫定協定ですかね。
これに入っております、その名もズバリ「アヌビス」
なんか、伊藤政則さんの番組みたいになってきました。
ANUBIS / TAD MOROSE 


架空の動物の代表的なものでユニコーン、一角獣。
すごく獰猛な動物と言われてますが、処女に抱かれると大人しくなると。
1982年に『THE LAST UNICORN』というアニメがありまして、音楽をジミー・ウェッブが担当しています。
以前ジミー・ウェッブの特集したときには触れられませんでしたが、このオリジナル・サウドトラックのテーマを歌っているのがアメリカ。
アメリカがシングルカットした、ジミー・ウェッブのたいへん美しい1曲です。
THE LAST UNICORN / AMERICA 


「架空の動物で棚からひとつかみ」でございますが、今日は曲が長いので、あんまりかかりません。
すごく、用意はしてきたんですけども。
もう1週間やれますけど、やめます(笑)

 

これを企画しましたら、先週の頭にですね、難波弘之さんからメールがきました。
彼はSFファンでもあるので、冒頭にも申し上げましたみたいにSFファンの人は、こうした架空の動物大好きであります。
なので難波弘之さんが結成しております野獣王国というバンドがありまして、まさに野獣のようなですねアニマル・サウンドでございますが(笑)
この1998年のアルバム「パワー・ジャングル」というのに「獏の夢」というのがあります。
「獏」
中国から日本に伝来した、夢を食べる、悪夢を食べてくれるとか、そういう動物であります。
それの伝説に似たもので存在するのを「バク」という動物がいますけれども。
もともとは空想上の動物から派生したものであります。
その「獏の夢」をかけてくんないかな、というメールが来まして。いい性格しております(笑)
98年、野獣王国のアルバム「パワー・ジャングル」から
リーダーでギターの是方博邦さんの作曲によります「獏の夢」
野獣王国は、是方博邦、難波弘之、鳴瀬喜博、東原力哉の4人組。

獏の夢 / 野獣王国 


最後はしっとりと。
架空の動物というと妖精がいます。人の形をしていますが、羽根が生えております。
ピーターパンその他。
Fairy Tailという英語は、おとぎ話という意味があり、妖精の歌もたくさんありますが、僕の大好きな一曲。
大貫妙子さんの86年のシングル「ひとり暮らしの妖精たち」
大貫妙子作詞、坂本龍一作曲。
ひとり暮らしの妖精たち / 大貫妙子


<了>