オンエアされた曲に関する達郎氏のコメントを書き起こしています(一部要約あり)。インフォメーションなどは割愛しています。貼り付けている音源は、オンエアされたものとは異なる場合が多々あります。
---------------------------------------------------------------------------------------
1. YOU CAN NEVER GET AWAY FROM ME / GEORGIA GIBBS "CALL ME" '66
2. BEATS THERE A HEART SO TRUE / PERRY COMO '58
3. BLUE COMETS '66 / ジャッキー吉川とブルー・コメッツ '66
4. FLASHBACK / THE 5TH DIMENSION '73
5. IT CAN HAPPEN TO YOU / SACHA DISTEL '70
6. THE BOY FROM CHELSEA / TRULY SMITH '67
7. SISTER LOVE / LIVERPOOL FIVE '66
8. MAGIC WAND / THE TATTLETALES '59
※5曲目以降このページに掲載
達:宮治さんは、何枚レコードがあるんですかって、今伺いましたら、「わからない」って言ってましたね。
宮:ん~いっぱい。両手で、10本以上になると、もういっぱいみたいな。
達:レコード整理は、まだやってるわけでしょ。
宮:2年くらい前に、シングル専用の部屋を作ってですね、棚を作ったんですけど。そこに入れてくんですが、まだ、「M」で止まってますね。
達:ははは(笑)
宮:これで、だいたい真ん中なんですね。
達:そうですね。僕も3年かかったからなぁ。
宮:やっぱ、かかりますよ。ただ入れるだけなら、いいんですけど。
達:そうそうそう。
宮:やっぱり聴いたことないやつは、とりあえず聴いてから入れようと。
そうすると、たまにね、お~ってやつを見つけるわけですよ。そうすると、どういう経緯でできたのか調べ始めるとですね、一時間くらい時間たっちゃうんですね。
達:わかります。
宮:そうすると、結局今日は10枚くらいしか入れてないという。これは進まないっすよね。
達:ははは(笑)整理している過程でいいなと思ったやつを素直に。
宮:そうですね。
達:そのわりにはローマレーベルとかね。
宮:これは、ワーナーのナゲッツ・シリーズやってるときに、いいものは全部聞いて、入れたいものはオーダーして、OKが来なかったやつ。
達:来なかったやつなんだ。
宮:こういうときにしかね。だからローマが多いんです。ワーナーがね。
達:サッシャ・ディスティル(SACHA DISTEL)ってフランスの人ですよね。
宮:フランスの俳優さんで、歌手でもあるんですけど。この人には興味ないんですが、ただ曲を書いているのが、ジョー・レンゼッティで、編曲はジミー・ワイズナー。これはいかないはずがない。
達:アメリカで録ったんでしょうね。ニューヨークかフィラデルフィア。
宮:そうですねえ。この人は「RAINDROPS KEEP FALLIN' ON MY HEAD」のカバーも同時代にやってて、イギリスで10位まで上がってるんです。そのおかげでB.J.トーマスは40位かなんかで。
だから、イギリスで「RAINDROPS KEEP FALLIN' ON MY HEAD」といったらこの人のことなんです。
達:へぇー。
宮:だから、ワーナーはなかなかうまくやったなと。
達:なるほど。僕、食いついたんですよ、これ。なんてったってジョー・レンゼッティ、ジミー・ワイズナー。すごい。狙ってきたでしょ(笑)
宮:あ、やったと思ってね。
達:70年のレコーディングですね。
宮:これLPにも入っていて。
達:アルバムあるんだ。
宮:あります。ステレオです。でも家の中でなくして、しょうがないんでシングルを持ってきました。
達:(笑)何だよ、それ。でこでも同じですね。
IT CAN HAPPEN TO YOU / SACHA DISTEL
達:ナゲッツシリーズで許諾がおりなかったやつ(笑)
宮:涙の敗退曲です。
達:しかもB面ですよね。そういうのは権利がね。
宮:わからないですよね。
達:でもアルバム買おう。
達:サッシャ・ディスティルはシャッフルなのでシャッフルをひとつ。
イギリスのトゥルーリー・スミス。曲はキング&ゴフィンなんです。デイビー・ジョーンズが1965年に出したシングルのカバーなんです。変なところから持ってくるんですけど。
宮:あ、デイビー・ジョーンズがColpixから出してる。
達:これをトゥルーリー・スミスというガール・シンガーがカヴァーしてるんです。
宮:レーベルは。
達:デッカ。ロンドンデッカらしい良い音してるんです。
THE BOY FROM CHELSEA / TRULY SMITH
達:モンキーズのデイビー・ジョーンズが65年にColpix時代に録音したやつをトゥルーリー・スミスが。けっこううまいですが。
宮:うまいですね。艶があって素晴らしい声をしている。
達:で、持ってきてもらったなかで一番びっくりしたのが、リバプール・ファイブ。
宮:「L」の棚に差し掛かったところで、リバプール・ファイブが3枚も4枚もあって。アル・シュミットなんですね。RCAで。
達:あーそうなの。
宮:なんでリバプールで?と調べてみたら、この人たちは64年の夏に、オリンピックの頃に日本にリバプール・ビートルズという名前で来てるんです。後楽園ホールかなんかでやって、加瀬さんがそのむかし本に書いてたんですが、みんなでどうせまがいもんだと思って観に行ったら、とにかく音がすごかったと。BOXのアンプとか、ちゃんとしたものを持ってきたんだろうと。それでスパイダースの連中なんかもみんな見に来て、これがホンモノの音だなと。そのときにはリバプール・ファイブだったんでしょうけど、興行主がリバプール・ビートルズにしちゃって、ひどいですよね。
そのころはレコードリリースがないんですよ。そのあとおそらくアメリカに行って、リバプール・ファイブでやったんじゃないかと。
日本人がはじめて見たロックグループは、リバプール・ファイブだったかもしれないという。
達:UKロックはけっこう聞いていたんですか。この時代の。
宮:いやあ、全然。ヒット曲だけですよ、ビートルズとかストーンズとか。
達:エレキインストはいつから聞いたんですか。
宮:ベンチャーズ、「ダイヤモンド・ヘッド」からです。
達:ハジレコはなんですか。
宮:「10番街の殺人」と「キャラバン」のカップリングですね。
達:リイシューものですね。
宮:有名な曲は1曲でも多く欲しい。
達:あなたと3学年しか違わないでしょ。僕らのときはオレンジのコンパクトで。「ダイヤモンド・ヘッド」が入ってるコンパクトは誰もが持っていた。たった3年でそれになるんですね。
宮:4曲入りは500円で、あっちは370円で。レコード買うためにいくらお金を出すとなると、そっちが。
達:ベンチャーズはラジオで聞いたの。
宮:しょっちゅうかかってたじゃないですか。最後のあたりまで。
達:リバプール・ファイブとか、ギターサウンドですよね。
宮:コンボ編成のヴォーカルものが好きなんです。
達:よくわかります。そのわりには、さっきのジョージア・ギブスとか。
宮:あれは曲として聞けるんで。一貫性がないといえばないですけど。
達:リバプール・ファイブのRCAのアメリカ盤ですけど、66年のですけど、なぜかやっているのが「SISTER LOVE」。これはインプレッションズのレパートリーです。カーティス・メイフィールドの曲で。
宮:曲を聞いた瞬間にインプレッションズだろうと思ったんで調べてみたらシングルになってない。
達:なってないです。「I'M SO PROUD」が入っている『The Never Ending Impressions』というアルバムなんですけど、こういうのがいま高いんですよね。
宮:高いです。
達:ABCパラマウントもそうなっちゃってるから。カーティスの人気もあるけど。で、MINT(ほぼ新品同様のこと)が高い。
宮:R&BでMINTを探すのはたいへんです。ボロボロのなら、けっこう出てくるんですが。
達:そう。FAIR(状態が非常に悪い)
宮:かかんないですよ(笑)
達:話が長い(笑)リバプール・ファイブです。
SISTER LOVE / LIVERPOOL FIVE
達:ヒット曲が1曲もない。しかもイギリスではレコードが発売されていない。
宮:出てないんじゃないですかね。
達:データにないですから。
宮:アル・シュミットですから、その前にアストロノーツ、デンバーのクラブバンドを連れてきて、サーフィンをやらせたのに近いんじゃないですかね。
達:なるほど。
宮:ブリティッシュ・インヴェイジョンのRCA版を作りたかったんじゃないですか。
イギリスで売れてるか売れてないか、どうでもよかった。
達:さすが宮治さん。
宮:全部、推測です。
達:ははは(笑)
達:ナゲッツではドゥワップですごくお世話になりまして。今年も続編やろうと思って準備してますけど、特にヴァリアント、ワーナーのサブレーベルですが、ヴァリアント関係てのがありまして。シェルビー・フリント。
宮:いいですよねー彼女。
達:「MAGIC WAND」ていう曲が大好きな曲なんですが。
宮:「魔法の杖」とかいう。
達:日本盤も出てますけど。これが多分オリジナルヴァージョンではと。初出じゃないかと。まったくヒットもしてませんけど。これ一枚しかないんです。シングルで。
宮:ワーナー・ブラザースじゃないですか。
達:そうなんです。
宮:これは見逃してましたね。申請もしてませんね。あららら。
達:だからハンク・レヴィンなんですよね。だからこれが初出だろうと。59年。
宮:間違いないですよ。これが初出で。
達:ペイシェンス&プルーデンスみたいな女の子のデュオ。
MAGIC WAND / THE TATTLETALES (音源なし)
達:のちのシェルビー・フリントも良いテイクです。
宮:彼女がオリジナルだと思うくらいの。
達:僕もそう思ってました(笑)
宮:自分のものにしてますよね。
達:なかなか深いですよね。
宮:わからないことばかり。
達:この年になっても(笑)
宮:氷山の一角しか聞いてないことがよくわかります。
達:お送りいたしてまいりました山下達郎サンデーソングブック。新春最初のサンデーソングブックはおなじみ「新春放談」、宮治淳一さんをお招きしましてコレクターズ談義で花を咲かしております。
来週も引き続き、さらにディープな世界になっていくと思いますけれども、ご期待ください(笑)
<了>
書き起こしの前半はこちら⬇