おとのほそみち

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山下達郎サンデーソングブック 2021年1月3日「新春放談(ゲスト:宮治淳一)」書き起こし 1/2

オンエアされた曲に関する達郎氏のコメントを書き起こしています(一部要約あり)。インフォメーションなどは割愛しています。貼り付けている音源は、オンエアされたものとは異なる場合が多々あります。

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1. YOU CAN NEVER GET AWAY FROM ME / GEORGIA GIBBS "CALL ME" '66
2. BEATS THERE A HEART SO TRUE / PERRY COMO '58
3. BLUE COMETS '66 / ジャッキー吉川とブルー・コメッツ '66
4. FLASHBACK / THE 5TH DIMENSION '73
5. IT CAN HAPPEN TO YOU / SACHA DISTEL '70
6. THE BOY FROM CHELSEA / TRULY SMITH '67
7. SISTER LOVE / LIVERPOOL FIVE '66
8. MAGIC WAND / THE TATTLETALES '59

※4曲目までこのページに掲載


みなさん新年明けましておめでとうございます。山下達郎です。
毎年恒例、お正月はですね「新春放談」
大瀧詠一さんご存命のころは、ずーっと続けてやっておりましたけれども。
おかげ様で、新しいパートナーができました。
宮治淳一さん、昨年に続きまして、今年も新春放談においでいただきました。
今週来週2週間、いつもにも増して濃いディープな、オールディーズコレクターズ談義を展開してみたいと思います。
宮治さんも、番組の中でおっしゃってましたけども、カルトな話をするほど評判がよくなるという。
そういう不思議な世の中で、ま、いい世の中でございますけれども。
濃いぃ~2週間になりますので、みなさん、くれぐれも覚悟を決めて、お聴きをいただければと思います(笑)
正月早々でございますけれども、日曜日の午後のひと時、三が日でございますので、ごゆっくりなさってると思いますけれども、濃いぃオールディーズ番組をぜひともお楽しみいただければと思います。

達:一年ぶりですよ。電話では、あれしますけれどもね。
宮:あっという間でしたね。
達:会社、ほとんど行かれてないでしょ?
宮:基本的に、来るなっていう感じですから。
達:ははは(笑)
宮:不要不急の、不要だから(笑)
達:ははは(笑)でも、それのおかげで時間ができたから、レコード整理に血道をあげると。
宮:さぁ時間があるから、やってくださいってもですね、あんまり進まないんですね(笑)何ででしょう?
達:ははは(笑)
宮:けっこう忙しい時のほうが、時間みつけてやったりする。
達:よーくわかります。
宮:あっ、そうですか。忙しいときの方が、曲がかける。
達:えぇ。締め切りに追われないと、やっぱダメなんですね。
宮:細野晴臣さんが「締め切りは文化を作る」とおっしゃってましたけど(笑)
達:ははは(笑)何もしないで曲がかける人、うらやましいですね。
宮:そんな人、いるんですか?
達:いるそうですよ。見たことありませんけどもね。そういう噂というか、文献とか(笑)
かならずほら、一日のうちに何時間は作曲活動に精を出すとかね。うらやましいですね。
正月から、こんな怠惰な話じゃいけません(笑)
とにかく一年ぶりで、おかげさまで、大瀧さんが亡きあと、すばらしいパートナーが新春放談に。
最近、ラジオ日本の番組が、すごく評判がよくて。
宮:おかげさまで、昔はだれも聴いてなかったですけどね。今は。
達:やっぱ、ラジコで全国聴けますからね。エリアフリー、タイムフリーで。
宮:そうですね。
達:このあいだ、とんでもないヤツ、やってましたね。ベル?
宮:前からベルは、やりたかったんですよ。でも、自分でもよくわからないので勉強しながら。
達:何でベルなんですか?(笑)
宮:よく、ほら、整理してて、引っかかると聴くわけですね。で聴きよかったものは、端によけておくんですよ。不思議とベルが多くなってきたってことは、これはベルはちょっとやってみる価値あるなぁと、思って始めて。
最初は1時間番組、3回いければいいかなぁと思ったら、ぜんぜん。3回じゃ半分もいかなくて。結局6週やってしまったんですよね。
達:ははは(笑)じゃ今日はベルのやつ一枚お願いしようかなと思っていたら、なんでこれなんですか、ジョージア・ギブス。
宮:ジョージア・ギブスはですね、昨年この番組に出させていただいたときに一回かけたんですけども。
達:かけましたよね。
宮:この人はちゃんとやってみようと思いまして。で、この人もベルなんですよね。
ベルって、シングル盤は多いんですけど、LPはなかなか出さないんですよね。
ジョージア・ギブスは名前があるんで、LPが出ててステレオがあるということで、探しに探したらですね、ちゃんとステレオ盤が見つかったんで。一応FM局なんで、ステレオで。
達:で、選んだ曲が、またこれって渋いじゃないですか。これジャック・ケラーでしょ?
宮:一番、私の好きなミドル・オブ・ザ・ロードのポップス。
達:これ、僕ね、テディ・ランダッツォが結構入ってるんで。
宮:テディ・ランダッツォ、数曲アレンジやってますよね。
達:やってる。アレンジもしてるし。で、そのときに買ったんですよ。テディ・ランダッツォやろうと思ったときに。
宮:そういう意味合いで買ったんですね。
達:それが、ジャック・ケラーもかかわってたんで、だけど、これが宮治さんらしいというかね(笑)A面の4曲目?
宮:でも、これシングルになってるんですよね。シングルはモノなんで、やっとこれで。
達:リアルステレオですね。
今日は、新春放談なので、全部前もって宮治さんからレコードを送ってもらって。それをリマスタリングしてやってますから、いい音ですよ今日は。
宮:いいですね。
達:今日は、ほぼ90パーセント以上、オリジナル・アナログ・シングルorLPですから。
若干のスクラッチがありますけど。それでも音圧ありますから。
じゃ、さっそくジョージア・ギブスの66年のアルバム「CALL ME」、ここからシングルカットされまして、長いタイトルです。
「You Can Never Get Away From Me」”あなたは、私から離れられないわよ”って。

YOU CAN NEVER GET AWAY FROM ME / GEORGIA GIBBS



達:ジョージア・ギブスは50年代にすごく人気があった人です。女性シンガーですが。
それが66年、完全にクラブ・シンガーとなった。営業でやっている人ですが。
66年に出しました「Call Me」というトニー・ハッチの曲をフューチャーしたんですけども。
それの中に入っております、シングルカットされましたけれども、もちろんヒットはしておりませんが。
ジャック・ケラーと、それからこのアルバムのアレンジとコンダクトをしておりますジョー・シャーマン。この人、ノエル&ジョー・シャーマン、兄弟です。一番有名なのは「Graduation Day」ですね。フォー・フレッシュメンの。
これのノエル・シャーマンとジャック・ケラーのコンビで書かれたんですけども、曲はまったくペトゥラ・クラークが歌ってもおかしくはないんですけど(笑)
宮:ほんとですね。そのまま歌ってヒットしたかもしれないですね。
達:いい曲です。でですね。ジョー・シャーマンとノエル・シャーマンはですね、ジャック・ケラーと、すごく深いんですよ。
宮:そうなんですか。
達:昔から、ジョー・シャーマンとジャック・ケラーのコンビの作品がけっこうあるんです。
僕、ジャック・ケラーの作品で、もっとも好きな曲が一曲あって。
それはジョー・シャーマンが作詞してジャック・ケラーが作曲してるんです。
ペリー・コモの58年の曲なんですけども「Beats There A Heart So True」という一曲なんです。
これ、昔ジャック・ケラーの特集したときにかけたんですけど。これがね、ジャック・ケラーで一番好きな曲。
これ、ジョー・シャーマンがアレンジ&コンダクトで。ノイル・シャーマン作詞で、ジャック・ケラー作曲で。このトリオのね、まさにそういう世界なので、一曲聴いてもらおうと思います。

BEATS THERE A HEART SO TRUE / PERRY COMO



達:宮治さん、今回は、いろいろ持ってきていただいたんですけど、意外なセレクトっていうか。
宮:そうですか? 僕の中じゃ、まぁまぁ自分の好みが普通に出た感じがしますけどね。
達:そうですか。宮治さんの好みを知ってるつもりで、ぜんぜんわからなかった。
ブルー・コメッツが一個きてますね。
宮:やっぱりね、僕が出る限りは、インストは1曲は持ってきたいっていうね。
達:これ、なんとエピックのアメリカ盤なんですよね。
宮:そうです。
達:ブルー・コメッツの「青い瞳」と「青い彗星」
宮:日本とカップリングは一緒なんですね。
達:モノラルのアメリカ・シングルなので音圧がすごくいいという意図でしょうけど。これも66年ですけど。
宮:昨年、ジャッキー吉川さん、お亡くなりになられたので、追悼という意味で。
達:なるほど。すごい盤質が悪いんです、これ。
宮:これしか見つからなかったんですよ(笑)なかなか、これっていい盤見つからないんですよ。
達:で、CDでリマスタリグして、持ってこようとしたんですけど。CD全部、ステレオで。
宮:え!CD全部ステレオなんですか。
達:ステレオです。
宮:これ、ステレオ録音あるんですか。
達:で、日本盤のモノラルは、論外の音で。
宮:あの、オリジナルのね(笑)それはもう、ダメだろうなとは思ってたんですけど。
達:ステレオでアレしようと思ったんですけど、このエピックの外盤の音にかなわない。どうやっても。
宮:音質はいいが盤質が悪いわけですからね。
達:そうです。で、やっぱりグルーヴが、どんなに音が悪くてもグルーヴがいいほうが、いいというんで。できるだけのノイズリダクションかけて、持ってきました。
宮:ありがとうございます。
達:でも、これはいい演奏ですよね。

BLUE COMETS '66 / ジャッキー吉川とブルー・コメッツ


 

達:この音圧はね、日本じゃ出ないんですよね。
宮:こんないい「BLUE COMETS '66」ってのは初めてですよ、パワーありますね。
達:でも宮治さんに言われてあれですけど、ジョー・ミークなんですね。これ要するに「TELSTAR」ですね。
宮:そう、そうそう。
達:なるほどねぇ。
宮:「コメッツ」ですからね。「彗星」ですからね。いわゆるスペースものですよ。
達:僕もベルを持ってこようと思ったんだけど、コニー・スティーヴンスの「TICK-TOCK」とか持ってるでしょ。
宮:ありますけど。
達:いちばん最後の、これはヒット曲ですけど、傑作なんですよ。フィフス・ディメンションの「FLASHBACK」。アラン・オディのペンによる。73年のシングルのみ。
宮:これでビリー・デイビス・ジュニアと別れる。
達:もうあと1曲あるかな。80何位。
宮:でもほぼ最後の。
達:そう。で、すごくいい。でもモノなんです。ステレオはないんです。前にかけたことあるけど、数年前だからいいや。

FLASHBACK / THE 5TH DIMENSION

 

<書き起こし半分おわり>

 

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