おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック 2019年11月3日「リクエスト特集」書き起こし

 

達郎氏による曲の解説部分を書き起こしています。インフォメーションやリスナーからのメッセージは割愛しています。 ネットに音源があるものは張り付けていますが、オンエアされた音源とは異なる場合が多々あります。

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1. 世界の果てまで / 山下達郎 '95
2. GIMME SOME LOVIN' / THE SPENCER DAVIS GROUP '67
3. KEEP IN TOUCH / THE CHOICE FOUR '75
4. LET'S CELEBRATE / MIDNIGHT STAR '84
5. SOUL SEARCHING / AVERAGE WHITE BAND '76
6. RIVER DEEP-MOUNTAIN HIGH / IKE & TINA TURNER '66
7. MESSY BESSY (1949 VERSION) / DAVE BARTHOLOMEW '49
8. OL'55 / 竹内まりや

 

この季節になりますと、私のこの曲、リクエストが増えて参ります。
たくさんいただきました、私の1995年のシングル「世界の果てまで」

世界の果てまで / 山下達郎 

 

GIMME SOME LOVIN' / THE SPENCER DAVIS GROUP


わりと良くリクエストをいただくうちの1曲。
スペンサー・デイヴィス・グループ、スティーヴ・ウィンウッドの超絶ヴォーカル。1967年、全英2位、全米7位の大ヒット・ソング「GIMME SOME LOVIN'」

 
次のリクエストはザ・チョイス・フォー。
ヴァン・マッコイのプロデュースで3枚ほどアルバムを出した黒人4人組のヴォーカル・グループです。
1975年のセカンド・アルバム『THE CHOICE FOUR』のB面最後に入っています「KEEP IN TOUCH」。
アレンジ、コンダクト、プロデュースbyヴァン・マッコイ。

KEEP IN TOUCH / THE CHOICE FOUR


作詞作曲もヴァン・マッコイ。
フィリーに聞こえますがニューヨークです。
ヴァン・マッコイはスタッフのメンバーをはじめ、ニューヨークのミュージシャンでレコーディングするのでニューヨークです。
ドラムは3人、リック・マロッタ、スティーヴ・ガッド、クリス・パーカー。
ギター3人、ジョン・トロペイ、デヴィッド・スピノザ、ヒュー・マクラッケン。
ヴァン・マッコイは自分でピアノ弾いてまして、アディショナル・キーボードはリチャード・ティーとレオン・ペンダーヴィス。錚々たるメンバーです。ベースはゴードン・エドワーズ。


次はミッドナイト・スター。
80年代の大所帯バンドのひとつです。9人編成。
ミッドナイト・スターのこの曲が入っているアルバムが、私はいちばん好きです。
1984年のアルバム『PLANETARY INVASION』という、この中の「OPERATOR」という曲が大ヒットしましたが、僕はこの曲がいちばん好きで、なぜシングル・カットしなかったのかなという、素晴らしい1曲。

LET'S CELEBRATE / MIDNIGHT STAR

のちにメンバーのレジーとヴィセントのキャロウェイ兄弟がキャロウェイというグループで独立します。

 
次のリクエストは、アベレージ・ホワイト・バンドの「SOUL SEARCHING」
1976年のセカンド・アルバム同名の『SOUL SEARCHING』はプラチナ・アルバムになりました。名盤ですが、その中から「SOUL SEARCHING
プロデュースはアリフ・マーディン。

SOUL SEARCHING / AVERAGE WHITE BAND

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(超常連のリスナーから「フィル・スペクターのレコーディングにクレジットされてるジム・ゴードンはデレク&ドミノスのジム・ゴードンですか? 」という質問に併せて「『BACK TO MONO』からジム・ゴードンが参加している曲をお願いします」というリクエスト)
同じ人です。お母さんを殺害して刑務所に入ったりいろいろありましたが、そういうことを超えて超一流のドラマーですので、最近再評価が出てきています。
フィル・スペクターの初期はハル・ブレインの独壇場でしたけれど、'60年代後期にレッキング・クルーと揉めたりしまして。
はっきりとわかっている曲をおかけしますが、フィル・スペクターなのでエコーに隠れまして、ドラマーのテクニックがはっきりわからないというきらいがあります。
でも、これははっきりジム・ゴードンのプレイだと資料に明記されていますので、これをおかけしましょう。
1966年のアイク&ティナ・ターナー、正確にはティナ・ターナーがソロで歌っているトラックですけれども、クレジットはアイク&ティナ・ターナーです。
アメリカでは88位とチャート的には惨敗しましたが、イギリスでは3位と大ヒットになりました。
このへんからアメリカとイギリスで、例えばフィル・スペクターとビーチボーイズは評価が大きく別れてくる分岐点です。
もう本当にエコーの渦というウォール・オブ・サウンド、まさにという感じです。

RIVER DEEP-MOUNTAIN HIGH / IKE & TINA TURNER

イケイケという感じです。
ウォール・オブ・サウンドというフィル・スペクターのプロダクションは、今のデジタルの時代に聞くとエコーが多いので、音像が遠くなるんです。
だから今のヒップホップなんかと比べるとラジオで聞くと遠い感じになります。
それを補正してやっています。オリジナルシングルからデジタルプロセッシングしてますので、CDではこんな音圧は出ません。
エリー・グリーニッチの作品。アレンジはジャック・ニッチェ。エンジニアはラリー・レヴィン。プロデュースはフィル・スペクター。最後の輝きという感じです。

 

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デイヴ・バーソロミューの歌もの「MESSY BESSY」を、できれば1949年にリーガルレーベルからリリースされてテイクでという、いかにもサンソンのリスナーらしいリクエストです。
(6月に享年100歳で亡くなった)デイヴ・バーソロミューは、ニューオリンズの大プロデューサーです。ニューオリンズサウンドの立役者で、特にファッツ・ドミノと何十曲という共作、大ヒットで有名です。
トランペット奏者で自分の作品をいくつか出していますが、その一番最初のころの、たぶんこれで合っていると思います。
1949年と51年、二つヴァージョンがありますが。
100歳の大往生でした。ご冥福をお祈りしつつ。

MESSY BESSY / DAVE BARTHOLOMEW

こういう一発録りでエコーのないやつの方が、ラジオで聞くと前に出てくるんです。
ドラムはアール・パーマーですね。特集しましょうかね。右を見ても左を見てもハル・ブレインなのでアール・パーマーもいいかなと。
サックスはリー・アレンかと思ったらクラレンス・ホールです。

 

 

今日の最後は、先日出ました竹内まりやさんのシングル「旅のつづき」、これのカップリングを、かけてくれと。かけます(笑)
カップリングはですね、カバーバージョンであります。
トム・ウェイツの曲、それをセンチメンタル・シティ・ロマンスと一緒に演奏しております。
いつ録ったのか、ぜんぜんわかりません。知らないうちに録ってるという(笑)

Tom Waits / Ol'55

※この音源はオリジナルです。

 

<この項おわり>