おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック 10月27日「リクエスト特集」書き起こし

 

達郎氏による曲の解説部分を書き起こしています。インフォメーションやリスナーからのメッセージは割愛しています。 ネットに音源があるものは張り付けていますが、オンエアされた音源とは異なる場合が多々あります。

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1. MAGIC TOUCH / 槇原敬之
2. CAROL / THE ROLLING STONES  '64
3. IT'S A SHAME / THE SPINNERS '70
4. LOOKING AROUND / BILLY J.KRAMER & THE DAKOTAS
5. GIVE 'EM LOVE / SOUL CHILDREN '68
6. BE MY LOVE / THE SPINNERS  '81
7. KAREN / THE BEACH BOYS  '64
8. ALFIE / DIONNE WARWICK '67
9. RECIPE(レシピ)[TV SIZE] / 山下達郎

 

槇原敬之さんの新しいアルバムがカバー集でございます。
いろんな曲をカバーしておりまして、洋楽、邦楽、含めて全15曲でございます。
これに私の、なんとですね「MAGIC TOUCH」が入っております。
以前、レコーディングしていただき、このカバー集に収録していただきました。
ほかの曲はですね、たとえばYMOでしたら「君に、胸キュン。」、小田さんでしたら「言葉にできない」、みゆきさんでしたら「時代」とか、皆さん、代表曲であるのに比べまして、私のは超マイナーな曲でございます。
ありがたいことです。
最近、カバーいろいろありますけど。
この中で、一番、私が好きなバージョンであります。
先週10月23日に発売になりました、槇原敬之さんのカバーベストアルバム
『The Best of Listen To The Music』から「MAGIC TOUCH」

MAGIC TOUCH / 槇原敬之


槇原敬之『The Best of Listen To The Music』全曲試聴映像

 

CAROL / THE ROLLING STONES


まずは珍しくローリング・ストーンズ。
1964年のファースト・アルバム、まだロックンロールバンドでカバーがほとんどです。
ここから怒涛のオリジナルの進撃が始まるまで2年も経たずに変身するという。
でも演奏力あってのものです。
ファースト・アルバムからチャック・ベリーの「CAROL」のカヴァー。

 

次はスピナーズのモータウン時代の作品ですが、本当に有名な曲で、当時日本でシングルカットされました。かなりヒットした実績があります。
G.C.キャメロンの素晴らしいヴォーカルが映えます。
1970年、全米R&Bチャート4位、全米チャート14位。

IT'S A SHAME / THE SPINNERS

モータウンの日本盤のシングルは当時ビクターでしたが、私、買いました。
スティービー・ワンダーとシリータ・ライトの作品で、プロデューサーもスティービー・ワンダー。のちにグランドマスター・フラッシュが1982年にサンプリングに使って歴史に残る曲になりました。今は誰でも知っています。

 

次はビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスの「LOOKING AROUND」。
これはは未発表曲でしょう、たぶん。
2000年代になってCD化されたものの、今はダウンロードでしか聴けなくなってると思います。
あったかなと思って探したら、そういう感じでした。
でもCD持ってるのでおかけします。
LOOKING AROUND / BILLY J.KRAMER & THE DAKOTAS

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次のリクエストは「1969年のソウル・チルドレンで何か一曲」。
1969年のソウル・チルドレンということはデビュー時です。
スタックスレーベル。アイザック・ヘイズ、デヴィッド・ポーターの肝いりで、サム&デイヴを失いまして、そのあとを狙って。
女性2人、男性2人の4人組のヴォーカル・グループですが、ヴォーカル・グループというには全員がソロを取れるという変わった形式のグループです。
69年とおっしゃいましたが、1968年のデビュー曲にしましょう。ファーストアルバムに入ってますので、アルバムは69年です。
ファーストシングルで全米R&Bチャート40位。
スタックス時代では、私はこれがいちばん好きです。
アイザック・ヘイズ、デヴィッド・ポーターの共作で、ブッカー・T&ザ・MG'sに、アイザック・ヘイズがピアノという素晴らしいリズムセクション。

GIVE 'EM LOVE / SOUL CHILDREN


ここからJ・ブラックフットという黒人シンガーが出てきまして「タクシー」なんてヒット曲を出しますが、そのいちばん最初、メンフィスサウンドです。



(スピナーズのリード・ヴォーカル、ジョン・エドワーズについての質問に答えて)
彼はセントルイス生まれで、ジョージアのコロンバスでクラブシンガーをしておりまして、シカゴ公演に出掛けてきたときに、カーティス・メイフィールドに認められまして、シカゴのレコードカンパニーでデビューします。
そこからたくさんのレコードを出して、名作が多いんですが、77年からスピナーズのリードヴォーカルとして活躍しまして、素晴らしい声を持っている人です。
スピナーズ時代の作品もいいんですが、ソロアルバムもなかなかいいです。Cotillionレーベルから出ています『Life, Love And Living』、日本盤でもありますが名盤です。
今日はスピナーズの1981年のアルバム『LABOR OF LOVE』の中に、私もカバーしております「BE MY LOVE」が入っています。この歌唱がとても素晴らしい。
僕、マリオ・ランツァで好きだったんですが、ジョン・エドワーズのヴォーカルを聴いてですね、自分でカヴァーしようとした動機の最初です。
この時代はマイケル・ゼイガン(Michael Zager)プロデュースです。
ニューヨークのすばらしいサウンドです。

 BE MY LOVE / THE SPINNERS 


今日はスピナーズが2曲もかかりましたが、初代がG.C.キャメロン、そのあとアトランティックに移りましてフィリップ・ワイン、ボビー・スミス、そしてジョン・エドワーズという、みなさん素晴らしいリードヴォーカルが続いて、スピナーズの名前が高まったという感じです。


次のリクエスト、1964年にアメリカのNBCテレビで放映された人気ドラマ『カレン』のテーマ・ソングはビーチボーイズです。
でもビーチボーイズとしては発売はされていません。テレビ・ヴァージョンしかありません。
サーファーリーズがシングルで出しましたけれど、ビーチボーイズのほうがトラックの出来は当然いいわけで、昔はすごい音の悪いブートみたいなものでしか聴けなかったが、最近はいい音で聴けます。アセテート盤がオークションに出るような世の中になりましたので。
短いです。ビーチボーイズのテレビ・テーマの「KAREN」。1964年のレコーディング。


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リクエストはバート・バカラックの「ALFIE」で私のおすすめをというもの。
「ALFIE」は同名の映画の主題歌としてバカラックが書いた。
はじめはディオンヌ・ワーウィックに歌わせたかったけれど、政治的にいろいろとありシラ・ブラックが映画のテーマを歌うことになりました。
アメリカではシェールがリメイクで歌いました。
バート・バカラックはディオンヌ・ワーウィックのアルバムでレコーディングしまして、シングル・カットしました。
1967年、全米チャート15位。いろんなテイクがありますが、ディオンヌ・ワーウィックのこのテイクがバカラックの思い入れがいちばん強いので、いちばんいい出来かと思います。

ALFIE / DIONNE WARWICK

 


TBS系の日曜劇場『グランメゾン東京』の主題歌「RECIPE(レシピ)」
「RECIPE(レシピ)はどのようなイメージで作られましたか?」という質問。
優しい歌でありまして、ドラマが割と緊張感ありまして、ストーリーが。ちょっと優しい歌。あとお料理のドラマなので、それに引っ掛けた、詩に寄せたという、そういう感じでございます。

 RECIPE(レシピ)/ 山下達郎 

 

<この項おわり>