KISSのオリジナルメンバーにしてフロントマンであるポール・スタンレー。
彼は、2015年、ポール・スタンレーズ・ソウル・ステーションなるプロジェクトチームを結成。
R&B/ソウルの名曲カヴァーを中心とするライヴ活動をスタートした。
KISSのドラマー、エリック・シンガーを含め15人編成の大所帯だ。
ロックの殿堂入りも果たしているレジェンドで、ハードロックの権化のような人が、なぜソウルのなのか。
当初は戸惑いを隠せないファンも多かった。
だがスタンレーにとってR&B/ソウルは、自身が音楽に傾倒するようになった初期の重要なルーツ。
過去の偉大なアーティストや名曲に敬意を表してカバーし、この音楽ジャンルに現代性を持たせ続けることが、このプロジェクトの目的だという。
これまではライヴ活動ばかりだったが、2021年3月、ついにアルバム『Now And Then』がリリースとなった。
少しファンク寄りの内容を想像していたのだが、違った。
多くの曲が、甘くメロウなスイートソウルなのだ。
往年の名曲9曲のカヴァーとオリジナルの新曲が5曲。
「Ooo Baby Baby」
「You Are Everything」など誰も知っている超有名曲が並ぶ。
またオリジナルの出来栄えもなかなかだ。
そしてスタンレーの歌声は、ジェントルで色気があって、なんとも魅力的だ。
ぶっちゃけスイートソウルは、いまヒットチャートに入ってくるような音楽ではない。
ポール・スタンレーでなければ、ここまで注目されることはなかっただろう。
ゆえに、特にソウルの愛好家にとって、このアルバムの意味は大きい。
現在中断しているフェアウェル・ツアー<End Of The Road>をもって、KISSは活動休止に入る予定だ。
それはとても残念なことではあるけれど、スタンレーにはこのソウル・ステーションの活動をぜひ続けてもらいたい。
【収録曲】
1. Could It Be I’m Falling In Love ※
2. I Do
3. I, Oh I
4. Ooo Baby Baby ※
5. O-O-H Child ※
6. Save Me (From You)
7. Just My Imagination (Running Away With Me) ※
8. Whenever You’re Ready (I’m Here)
9. The Tracks Of My Tears ※
10. Let’s Stay Together ※
11. La-La – Means I Love You ※
12. Lorelei
13. You Are Everything ※
14. Baby I Need Your Loving ※
※はカヴァー曲
Paul Stanley's Soul Station - O-O-H Child
Paul Stanley's Soul Station - Could It Be I'm Falling In Love (Audio)
上はファイヴ・ステアステップス、下はスピナーズのカヴァー。
<了>