音楽活動70周年を迎えた渡辺貞夫が、2021年6月、サントリーホールにて行ったアニヴァーサリー・ライヴを収録。
ピアノ、ベース、ドラム、ギターに、ストリングスを加えた編成で、スタンダードやブラジリアンテストのオリジナルまでを、語りかけるかのように、丁寧に柔らかに伸びやかに吹いている。
こうしたアニヴァーサリーでは、おめでた感を出そうとしてか、ストリングスが過度にゴージャスになったりしがちだが、ここでのアレンジは控えめなのがいい。
そして、いまさらいうのも何だが、渡辺貞夫のアルトの音色は本当に素晴らしい。
サントリーホールの音の響きは日本屈指とされ、クラシックの演奏会で用いられる事が多いが、今回は、そのホールの特性を活かすため、また、サックスの生音を観客に届けるため、サックスにはマイクをつけなかったそうな。
全てが名演だが、中でも、東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」は、短いながらも沁みる。
ぜひこれからもお元気で演奏活動を続けていただきたい。
渡辺貞夫 (as)
林正樹(p)
コモブチキイチロウ(b)
竹村一哲(ds)
マルセロ木村(g)
押鐘貴之ストリングス
1.ローラ
2.ビューティフル・ラヴ
3.イン・ザ・ウィー・スモール・アワーズ・オブ・ザ・モーニング
4.ストールン・モーメンツ
5.エコー
6.カーニヴァルの朝
7.プレリュードのサンバ
8.バタフライ
9.トーク・トゥ・ザ・ムーン
10.アイ・ラヴ・トゥ・セイ・ユア・ネーム
11.ウォーター・カラーズ
12.マンハッタン・パウリスタ
13.花は咲く
14.カリニョーゾ
<了>
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