ザ・ゴスペル・アコーディング・トゥ・ニッキ・ジョヴァンニ / ジャヴォン・ジャクソン
このアルバムを評すことができるほど、私はニッキ・ジョヴァンニに通じているわけではないのだが、日本語のインフォやレヴューがほとんど見当たらないので、せめてこのブログでという思いで書いておく。
まず、ジャヴォン・ジャクソンの名は、ジャズファンにはいまさら説明するまでもないだろう。
かのジャズ・メッセンジャーズの一員として活躍し、リーダーアルバムはすでに20枚以上を数えるベテランテナー。
その骨太で包容力のある演奏には定評がある。
そのジャヴォンがゴスペルを採り上げ、アメリカで最も著名な女性詩人であり社会活動家でもあるニッキ・ジョヴァンニに捧げたのが、このアルバム。
大学の教員も務めるジャヴォンがニッキを大学に招き、講演会を催したことがきっかけで、このアルバムが企画されたらしい。
演奏は荘厳で慈愛に満ちている。
その演奏の上に、ニッキの作品の朗読が重なる。
そしてなんと、ニッキは1曲だけだが、感動的なヴォーカルを聞かせている。
1964年に、彼女の友人だった故ニーナ・シモンがカバーした「ナイト・ソング」だ。
ここでのジャヴォンのサックスは、哀愁に満ちながらも、力強くポジティブだ。
決して大衆的だとは言えない作品だが、ジャズチャート上位に入っている。
このようなアルバムが支持されることに、アメリカの音楽文化の懐の深さを感じる。
<了>
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