コネクションズ / マシュー・ウィタカー
Matthew Whitaker(マシュー・ウィタカー)のリーダーアルバムは、この「Connections」が3枚め。
2017年の「Outta The Box」、2019年の「Now Hear This」で、10代とは思えぬ優れた演奏を聞かせ、耳の肥えたシニアなジャズファンまでをも驚かせたマシュー。
今作もまた期待に違わず、演奏も作曲も、ただ褒めるしかない出来栄えだ。
これでまだハタチだというのだから、本当に驚く。
生まれは2001年。
盲目の未熟児で、成長しても、話すことも歩くこともできないのでは、と心配されたそうだ。
目は見えないままだったが、幸い身体の動きに問題はなく、それどころか幼少のころから、キーボードの演奏に才覚を見せる。
3歳のときに祖父からもらったヤマハの小さなキーボードが、鍵盤に親しんだきっかけ。
9歳のとき、ハモンドオルガンを独学で学び始め、その4年後には、ハモンド社の80年以上の歴史の中で、最年少でエンドースされたアーティストとなった。
また、15歳でヤマハ・アーティストに選ばれ、プロのジャズプレイヤーとして活動を開始。
17歳でリーダーアルバムをリリースした。
今回のアルバムでは、高揚感のあるオープニング曲「Journey Uptown」、甘く切ない「Stop Fighting」など、自作曲の完成度が高い。
一方で、先人の名曲も採り上げており、その料理の仕方もなかなかのもの。
セロニアス・モンクの "By-Ya "では、ジョン・バティステを迎えての掛け合いがお見事。
チック・コリアの"Spain"では、冒頭のハモンドからはじまり、複数のキーボードに切り替えながらプレイしているようで、その才気溢れるフレーズの数々が素晴らしい。
将来は本当にコリアのようなプレイヤーになるかもしれない。
<了>