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【JAZZ新譜】ヨーロピアン・ジャズの正統を継ぐピアノの俊英 About Time / MARTIN SALEMI (2021)

アバウト・タイム / マルティン・サレミ

 

マルティン・サレミは、1988年ベルギーのブリュッセル生まれ。

6歳でピアノを学び始め、2013年にブリュッセル王立音楽院でジャズピアノの修士号を取得。

ジャズ・ファンクバンドのキーボードプレイヤーとして活動したのち、自らのトリオによるジャズ作品『Short Stories』を、2017年にリリース。

ヨーロピアン・ジャズの正統を受け継ぐ、端正で叙情的な音の佇まいが、高く評価された。

 

それから約5年を経て、セカンドアルバム『About Time』をリリース。

全7曲、彼のオリジナルで、いずれもリリカルで品があるが、ときおり攻めるアドリブも聞かせ、ちょっとブラッド・メルドーを思わせるところもある。

ベースはルクセンブルク出身のボリス・シュミット(Boris Schmidt)、ドラマーはオランダ出身のダニエル・ヨンカース(Daniel Jonkers)、いずれもヨーロピアン・ジャズのDNAを感じさせる演奏だ。

特にダニエルのドラムはかなりシャープでキレがよく、アンサンブルにスリルと緊張感を加えている。

すでに完成された感のある作曲能力と演奏ぶりだが、マルティン・サレミはまだ30歳代の半ばだ。

これからのキャリアが楽しみな逸材である。

 

※You Tubeで全曲聴ける

 

<了>

 

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