おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



【ダブルミリオンを聴く#0】「恋の季節」から「Lemon」まで

 

ヒット曲は数多あれど、ダブルミリオン<200万枚>の壁は相当高く、これまでJ-POP(演歌含む)では23枚しか記録していない。
配信を含めても24枚である。

 

主にオリコンの記録に基づいて概観すると、初のダブルミリオンはピンキーとキラーズ「恋の季節」


1968年の発売で、ちなみにオリコンの集計が始まったのが、この年だ。
累計は207万枚。
確認できていないのだが、200万枚に達したのはリリースの翌年以降と思われる。

 

1970年代には超特大級が2曲ある。
1975年の子門真人「およげ!たいやきくん」、1972年の宮史郎とぴんからトリオ「女のみち」


この2曲は歴代シングル売上の1位、2位で「およげ!たいやきくん」は457.7万枚、「女のみち」は325.6万枚。
ダブルミリオンどころではない、桁外れの大ヒットである。

 

かなり意外なことなのだが、1980年代にダブルミリオンはない。
最も売れたのが、1980年のもんた&ブラザーズ「ダンシング・オールナイト」で156.3万である。
松田聖子、中森明菜、チェッカーズらの全盛期だが、彼らアイドルのシングルリリースのインターバルが短かったため、時間をかけて売れる特大ヒットが生まれなかった面もあるだろう。

 

1990年代には主にドラマタイアップが成果を上げたこともあり、ダブルミリオンが連続する。

1991年の小田和正「ラブストーリーは突然に」(258.7万枚)、1995年のDREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE」(248.8万枚)が、その代表だ。

そのほか、ミスチル、B'z、チャゲ&飛鳥らも、ダブルミリオンを達成している。

 



2000年代になって、ビッグヒットは生まれにくくなっている。

若い人が携帯代やゲーム代などのためCDにお金を使わなくなったこと、ネットで聞いて済ます人が増えたこと、インディーズやヴォーカロイド、アニソンなど音楽の嗜好が多様化したことなど、理由はさまざまだ。

2000年の福山雅治「桜坂」(229.9万枚)、サザンオールスターズ「Tsunami」(293.6万枚)、2003年のSMAP「世界に一つだけの花」(312.7万枚)のあと、ダブルミリオンはしばらく生まれず、もう無理かと思われた。

 

 

意外に思われるかもしれないが、AKB48にダブルミリオンはない。
2013年の「さよならクロール」が195.6万枚と、惜しくも届かなかった。

なおオリコンの数字は、集計サンプルからの推定売上げ枚数である。日本レコード協会が出荷ベースで発表している枚数では、この「さよならクロール」や「真夏のSounds good !」などは、ダブルミリオンを達成している。

 

さて2018年になって、ひさびさのダブルミリオンが生まれる。

米津玄師の「Lemon」が、シングルCD41万枚、デジタルダウンロード170万DL、合わせて200万枚を突破したのだ。

 

次のダブルミリオンは、いつ生まれるだろうか。

 

 <了>