スティル・ドゥーイング・アワ・シング / ベーン・ギレス
ニューヨークで活躍しているヴィブラフォン奏者、ベーン・ギレスの自己名義作品で、セクステットによるアルバム。
リズム隊はアート・ヒラハラ(p)、デビッド・ウォン(b)、ルディ・ロイストン(ds)。
ここにブルース・ハリス(tp)、ステイシー・ディラード(ts)が加わる。
周知の通り、ヴィブラフォンは決してジャズの主流にあるわけではなく、プレイヤーも少ないが、他の楽器にはない流麗さと深い陰影があって、私は好きだ。
ミルト・ジャクソン、ゲイリー・バートン、マイク・マイニエリらが、その歴史を代表するプレイヤーだが、ミルト・ジャクソンは既に他界し、ゲイリー・バートンは2017年に引退を表明、マイク・マイニエリは80歳を超えており、近年はもう活動していないようだ。
当然そのあとを継ぐプレイヤーもいるが、そのうちの若手の筆頭格がこのベーン・ギレスで、40歳のちょっと手前。
オデコが艷やかなので、もうちょっと年上に見えるけれど、ジャズプレイヤーとしてはまだ若手で、これからどんどん円熟味を増してくるはずだ。
そのスタイルは、先に挙げた3人のいいとこどり、というと聞こえがよくないかもしれないが、つまりはこれまで開発された奏法を受け継ぎ咀嚼しつつ、4ビートから16まで幅広くカラフルな演奏を聞かせる。華麗であざやか、とも言おうか。
全曲オリジナル作品で、ハードな曲調のあとにはクールなものをと、緩急があって飽きさせない。
他の参加メンバーの演奏も手堅く、特にルディ・ロイストンの力感のあるドラミングが光る。
来日してブルーノートあたりでやってくれたら、ぜひ観たい。
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