おとのほそみち

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【JAZZ】中堅ヴィブラフォン奏者の良作 Still Doing Our Thing / Behn Gillece (2021)

スティル・ドゥーイング・アワ・シング / ベーン・ギレス

Still Doing Our Thing

Still Doing Our Thing

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ニューヨークで活躍しているヴィブラフォン奏者、ベーン・ギレスの自己名義作品で、セクステットによるアルバム。

リズム隊はアート・ヒラハラ(p)、デビッド・ウォン(b)、ルディ・ロイストン(ds)。

ここにブルース・ハリス(tp)、ステイシー・ディラード(ts)が加わる。

周知の通り、ヴィブラフォンは決してジャズの主流にあるわけではなく、プレイヤーも少ないが、他の楽器にはない流麗さと深い陰影があって、私は好きだ。

ミルト・ジャクソン、ゲイリー・バートン、マイク・マイニエリらが、その歴史を代表するプレイヤーだが、ミルト・ジャクソンは既に他界し、ゲイリー・バートンは2017年に引退を表明、マイク・マイニエリは80歳を超えており、近年はもう活動していないようだ。

当然そのあとを継ぐプレイヤーもいるが、そのうちの若手の筆頭格がこのベーン・ギレスで、40歳のちょっと手前。

オデコが艷やかなので、もうちょっと年上に見えるけれど、ジャズプレイヤーとしてはまだ若手で、これからどんどん円熟味を増してくるはずだ。

そのスタイルは、先に挙げた3人のいいとこどり、というと聞こえがよくないかもしれないが、つまりはこれまで開発された奏法を受け継ぎ咀嚼しつつ、4ビートから16まで幅広くカラフルな演奏を聞かせる。華麗であざやか、とも言おうか。

全曲オリジナル作品で、ハードな曲調のあとにはクールなものをと、緩急があって飽きさせない。

他の参加メンバーの演奏も手堅く、特にルディ・ロイストンの力感のあるドラミングが光る。

来日してブルーノートあたりでやってくれたら、ぜひ観たい。

 


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<了>