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【JAZZ新譜】10作目にして初のソロピアノ 選曲の幅広さに妙あり Opera / 桑原あい (2021)

 

Opera (SHM-CD)

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2012年にジャズ・シーンにデビューして以来、通算10枚目にして初のソロ・ピアノ・アルバム。

クラシック専用ホール「東京オペラシティ リサイタルホール」で、スタインウェイを弾いての録音だそうで、確かに音の響きは良い。

内容はジャズというよりジャンルレス。
ピアノインストゥルメンタル作品と呼ぶべき内容だ。

 

選曲の幅も広く、中でも特徴は、桑原あいの音楽を愛する著名人からのリクエストを受けたこと。

シシド・カフカ、立川志の輔、山崎育三郎、社長 (SOIL & “PIMP” SESSIONS)、平野啓一郎、の5人。

この人選からして、すでに広い。

各人1曲。
全11曲のうち5曲がリクエストということになる。

「ワルツ・フォー・デビイ」なんてベタなリクエストもあるが、まあ、あまりにベタすぎてリクエストされなければ、自分では選ばないということもあるのだろう。

 

個人的な趣味でいえば、ボン・ジョヴィの「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」、モンキーズ「デイドリーム・ビリーヴァー」という、ロックファンとしてさんざん聞きまくった曲のカヴァーは、あまり耳になじまない。

「デイドリーム・ビリーヴァー」は、忌野清志郎の、かの素晴らしいカヴァーが浮かび、聞くならそっち、となる。

ここでの演奏が悪いわけでは全然ない。私の感性にフィットしないというだけのことだ。

なので、このアルバムの中では、ピアソラの「03」や、エグベルト・ジスモンチ「04」は、とても良い選曲、とても良い演奏だと思った。

特にジスモンチの「ロロ」の、流麗さ、抑揚の深さは素晴らしい。

 

それと、このアルバムの魅力は、やはりピアノのナチュラルな響きを味わうこと。

私は普段、ヘッドホンで聞いていて、それなりのクオリティのものではあるのだが、こういうアルバムはやはり大きなスピーカーで聞きたいなと、改めて思った。

 


01.ニュー・シネマ・パラダイス(作曲:アンドレア・モリコーネ/エンニオ・モリコーネ)
02.リヴィン・オン・ア・プレイヤー(シシド・カフカ 選曲/作曲:J・ボン・ジョヴィ/R・サンボラ/D・チャイルド)
03.レオノーラの愛のテーマ(作曲:アストル・ピアソラ)
04.ロロ(作曲:エグベルト・ジスモンチ)
05.ワルツ・フォー・デビイ(立川志の輔 選曲/作曲:ビル・エヴァンス/ジーン・リース)
06.星影のエール(山崎育三郎 選曲/作曲:GReeeeN)
07.ゴーイング・トゥ・ア・タウン(作曲:ルーファス・ウェインライト)
08.ミスハップス・ハプニング(社長(SOIL&“PIMP” SESSIONS) 選曲/作曲:ウィリアム・ホランド)
09.エヴリシング・マスト・チェンジ(平野啓一郎 選曲/作曲:ベナード・アイグナー)
10.ザ・バック(作曲:桑原あい)
11.デイドリーム・ビリーヴァー(作曲:ジョン・スチュワート)

 

<了>

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