おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック 2021年3月14日『棚からひとつかみ』

達郎氏による曲の解説部分を要約して記載しています(青字部分は書き起こし)。ネットに楽曲データがあるものは張り付けていますが、オンエアされた音源とは異なる場合が多々あります。
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1. 愛してるって言えなくたって / 山下達郎 "オーパス" "レイ・オブ・ホープ" '11
2. OPEN MY EYES / NAZZ '69
3. YOU'D BETTER THINK TWICE (LIVE) / POCO "DELIVERIN'" '70
4. BECAUSE I LOVE YOU / THE IMAGINATIONS "THE IMAGINATIONS" '74
5. MY SOUL DOTH MAGNIFY THE LORD / O'LANDA DRAPER & THE ASSOCIATES CHOIR "LIVE... A CELEBRATION OF PRAISE" '94
6. CLOSE TO YOU / FRANK SINATRA "CLOSE TO YOU" '57
7. 希望という名の光 / 山下達郎 "オーパス" "レイ・オブ・ホープ" '10

 

今日は久しぶりにレギュラー・プログラム『棚からひとつかみ』
山下達郎のレコード棚からアトランダムにいろいろとお届けしたいと思います。
今から10年前の3月11日が、東日本大震災でございました。
その2日前の3月9日にシングルを発売しまして。
「愛してるって言えなくたって」
ドラマの主題歌でございますけれども、その2日後に地震がおきましたのでドラマも途中で打ち切りで。
なんか曲もですね、うやむやになってしまいましたが。
でも曲に罪はありません。
その時、結構わりといい曲できたなって考えていたなみたいに考えてたんですけど。
残念だったんですけど、天災はしかたがありません。
あれからもう10年たちました。
先週はそうした震災に関する特番、そういうものが、たくさんありました。
思い起こせば、このサンデーソングブック、28年半やっておりますけれども。
その時、1回物理的にですね中止になった週であります。
その次の週に、鎮魂プログラムみたいなことをやりまして。
そういう思い出とともにですね、もう10年もたったのかという思いがありますが、まだまだ被災された方がですね、故郷に戻れなかったり、不自由な生活なさってる方も、たくさんいらっしゃいます。
ご家族、ご友人、亡くされたみなさんの悲しみ、10年たってもですね、なかなか完全に癒えることはありません。
引き続き心のケアとですね、復興の努力をですね、国全体で続けていかなければいけませんし、我々一人ひとりができることを続けていかなくてはいけないと。
自覚を新たにする10年でございます。
というわけで今日は10年前のそういう思い出も加味しつつ『棚からひとつかみ』
山下達郎のレコード棚から本日もお聴きをいただきます。

愛してるって言えなくたって / 山下達郎 



OPEN MY EYES / NAZZ

鬼才トッド・ラングレン率いるナッズ。
「OPEN MY EYES」は1969年のデビュー・シングルだが、B面の「HELLO IT'S ME」のほうがヒットしてしまった。

 


YOU'D BETTER THINK TWICE (LIVE) / POCO 

最近、カントリー・ミュージックを聴く機会が多いので、カントリー・ロックで。
ポコはウェスト・コーストのカントリー・ロックのグループ。
1971年のサードアルバム『DELIVERIN』はライヴ・アルバムで、その中から「YOU'D BETTER THINK TWICE」。
コーラスは、差し替えてるというか重ねているけれど、演奏はうまい。大したもの。

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BECAUSE I LOVE YOU / THE IMAGINATIONS 

好きなシカゴのR&Bを久しぶりに。
歌っているのはジ・イマジネーションズ。4人組の黒人ヴォーカル・グループ。
1974年のファースト・アルバム『THE IMAGINATIONS』から、大好きなプロデューサー、クラレンス・ジョンソンと、大好きなソングライター、ロドニー・マッシー、による「BECAUSE I LOVE YOU」。

 


MY SOUL DOTH MAGNIFY THE LORD / O'LANDA DRAPER & THE ASSOCIATES CHOIR 

10年前にかけたゴスペル。
90年代に一世を風靡したゴスペルの指導者オランダ・ドレイパー。惜しくも1998年に亡くなってしまった。

彼が1994年にメンフィスのアソシエイツ・クワイヤーと組んだライヴ・アルバム『LIVE... A CELEBRATION OF PRAISE』から魂が震えるコーラス、「MY SOUL DOTH MAGNIFY THE LORD」。直訳すると「私の魂は主を拡大する」という感じ。

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CLOSE TO YOU / FRANK SINATRA

2011年3月11日のあとの13日の日曜日のサンデーソングブックは中止になりました。
「ひな祭りガールシンガー」やる予定だったですけどキャンセルになりまして。
翌週3月20日は、そうした震災鎮魂プログラムと題してお届けしました。
そのときにかけた曲は、なるべく心を慰める、そういうような選曲をいたしました。
そんな中から何曲か今日はお聴きいただきたいと思います。
フランク・シナトラの1957年のアルバム「CLOSE TO YOU 」
これフランク・シナトラのアルバムで、一番評判の悪いアルバムと認知されてるんですけど、とんでもない。
これはフランク・シナトラの、僕は最高傑作の1枚だと信じて疑いません。
珍しくオーケストラではなく弦楽四重奏でですね、そうした人の孤独とか、そういうものを歌った歌がありますが。
日本では長らくCD化されませんで、CD化されたときにですね、これからお聴をいただく1曲目の「クロース・トゥ・ユー」
あぁ、これカーペンターズの曲って言われまして。
その次が「P.S.アイ・ラヴ・ユー」
あ、それビートルズって。
そういう誤解がすごくありまして。
とんでもない。
どちらもですね、スタンダード・ナンバーでとっても有名な曲であります。
特に1曲目の「クロース・トゥ・ユー」って曲は
”どんなに離れてても 君と一緒だ 夢のなかでも 君を追っていく”
そういうような、切々たる歌であります。

 


希望という名の光 / 山下達郎 

3.11も思い出に残るんですけども。
その翌年のですね2012年の、ちょうど3月11日が私のサンデーソングブックで。
その時にも、そうした一周年の追悼番組をやりまして。
それも非常に、私の思い出に残っておりますが、その番組が賞をいただきまして。
そういうことで、すごく記憶があるんですけど。
ほんとに音楽にできることは、ほんとに限られているんですけど。
ほんの少しでもですね、みなさんの心を癒すとかですね、拠り所、そういうことが、こうした文化の役割だという自覚を新たにしまして、これからも努力してまいりたいと思っております。

『当時、途方に暮れていたときに勇気づけてくれたのが「希望という名の光」でした。何度聴いても胸に迫るものがあります』
というリクエスト。
期せずして1年以上前に作った曲が、こういう形でですね、みなさんのお手伝いができたことは、ほんとうに光栄に思います。
作って11年、あの日から10年。「希望という名の光」

 

<了>