番組中の曲の解説部分を書き起こしています。貼り付けている音源は、オンエアされたヴァージョンとは違うことが多々あります。
1. HEY! REPORTER / 山下達郎 "フォー・ユー"
2. THE TIMES THEY ARE A-CHANGIN' / BOB DYLAN "THE TIMES THEY ARE A-CHANGIN'" '64
3. IT'S A HEARTACHE / BONNIE TYLER '78
4. NOTHING TO HIDE / CHRIS MONTEZ '69
5. SPRING SONG / LINDA LEWIS "LARK" '72
6. STAND BACK / STEVIE NICKS '83
7. 電話線 / 矢野顕子 "ジャパニーズ・ガール" '76
8. こまっちゃうナ / 山本リンダ '66
9. 五番街 / 布谷文夫 "悲しき夏バテ" '73
先週は「変わった声のシンガーで棚から一つかみ」、ご好評頂きました。
とても1週間では間に合わない、と言うかレコーディングなので。もう1週やっちゃおう。
2週目になりますとさすがにその変わった声のシンガーが、レパートリーが少なくなってきます(笑)
ベタなものとか、そういうものも出て参りますけれど。
面白いものでですね、やっぱり10代、20代、そしてレコードを聴いていた時代で
「あ、この人変な声だな」「変わった声だな」「変わった歌い方だな」
と感じた人、自分の記憶の中に残ってる人、
そうしたものを聴きなおしてみますと、今聴くと、それほどでもないという。
かえって、そんなに感じなかった人の方が特徴のある声だなって、そういう新発見がありまして(笑)
先週のやつは、もう本当に初めから狙い撃ちでやってみました。
今週はそうした、色々、トライアンドエラーじゃないな、表現がうまくいかない。
いろいろと試行錯誤、それほど大げさなものじゃありませんが。
そういうようなもので、取捨選択をですね。
いろいろ新しい発見とか、新しい気づきとか、そういうのものがありましたので。
「変わった声のシンガーで棚からひとつかみ Part 2」結構努力の賜物でああります。
曲書きの間に一生懸命やりました。
先週に引き続きまして、変わった声のシンガー、歌い方の特徴、声の特徴、いろいろなものが出てまいります。
私は、別に変わった声じゃありません。ごくノーマルな声でありますが。
声を加工するというですね、そういうようなもので少し変な声で歌ってる作品、何曲かあります。
そんな中で今日は、来月の5月3日に発売になります、実に40年ぶりにアナログLPが再発されます。
RCA AIR YEARS時代のラスト・アルバム「FOR YOU」
こっからファンクチューンであります、そうした声をいじくった「HEY REPORTER!」
HEY! REPORTER / 山下達郎
考えてみますと、一番最初に私が小学校を出て中学入るくらいでですね、一番印象的な声だったのが、ボブ・ディランであります。
みんな私の世代は同じような感じだと思いますが。
ミネソタのボビー・ヴィーになりたかった青年がですね、ニューヨークへ出てきまして、折しも公民権運動の真っ只中であります。
そんな中からフォークミュージックでデビューいたしまして一世を風靡しました。
いわゆる、そうしたアメリカでのメジャーなフィールドじゃなくて、もうちょっとサブ・カルチャーっていうか、フォーク・ムーヴメントとか。
それから、いわゆるアフリカン・アメリカンのブルース、そうしたルーツミュージックに繋がる人たちの歌唱法っていうのは、我々が知っている、そうした洋楽のものとは違うテイストでありまして。
1964年サード・アルバムタイトルになってる「The Times They Are a-Changin’時代は変わる」というあまりに有名な1曲ですけども。
これ東京オリンピックの年ですからね。私、小学6年ですから。
これ、もうちょっと後ですけども聴いたのは。
「なんだろなこの歌い方は」っていう(笑)
そういうような、私に限らず、皆一緒でございます。
今聴くと、もう普通の感じなんですけども。このころは、本当にすごいもんであります。
歌の内容もすごくて。
でもすごくメロディがキャッチ―でですね、非常に印象に残ってます。
ボブ・ディランは何にしようかと思いましたけど、今のご時世「時代は変わる」
若者が「もう時代は変わるんだ」そう言ってる歌ですけども。
こっちが年長者になってしまいましたので、色々考えさせられるものですけども。
それはともかく、ボブ・ディラン、64年の代表的な作品。
THE TIMES THEY ARE A-CHANGIN' / BOB DYLAN
変わった声のシンガーと言いますと先週もお聴きいただきましたみたいに、
とっちゃん坊やみたいな声、ダミ声、しゃがれ声、ちりめんバイブ、
そういうものがありますけど。
そうしたものの我々の世代の代表格はボニー・タイラー。
イギリス人なんですね、この人。初めて知りました私。
ウェールズ出身のシンガーではじめは普通の声だったんですけども、ポリープの手術をして、お医者さんの言うこと聞かなくて、治りきらないうちに歌ったんで、そういう声になったんですけども。
それが逆に功を奏して、ヒット曲がたくさん生まれるようになったという。
1978年、日本で一番知られてる一作でございます。
全米、全英3位。ボニー・タイラーの代表作の一曲。
今聴くとですね、それほど超絶にハスキー―だというわけでも、ないですけど。
やっぱり歳が経て、どんどん、どんどんエスカレートしていくという(笑)そういう感じでありますね。
それ意図して歌ってるという方も出てきてるので。
余談ですけど、日本では葛城ユキさんっていう方がいらしゃいます。
洋楽と邦楽で、接点というか似てる方がいらっしゃるんですね、時々。
IT'S A HEARTACHE / BONNIE TYLER
さて、お次は先週かけ損なったやつですが、クリス・モンテス
元々ロックンロール系のシンガーとしてデビューしまして「Let's Dance」なんて62年のヒット曲がありますが。
A&Mに移籍しましたが、急に中性的な歌い方になりまして。
ヒット曲がたくさんございますけれども、この曲はシングルB面として発売されたんですけど、日本ではこれがヒットするという観測でABひっくり返してリリースしましたら大ヒットになりました。
ヨーロッパでも大ヒットしました。
アメリカではチャート入っていないという、そういうようなよくあるパターンでございます。
1969年のアルバム「Watch What Happens」に収録されてます。
クリス・モンテスの自作曲「Nothing To Hide」邦題「愛の聖書」
我々の世界でしたら誰でも知っていると。
なんだ歌謡曲じゃないかとかそういうようなことを言う方もいらっしゃいますけども。
いわゆるロックンロールの出る前の日本の歌謡曲ってラテンミュージックの影響がものすごく大きいんです。
そういうものなので、このクリス・モンテスみたいヒスパニック系の人は、こうしたマイナー・メロディーの感覚というのを持ってますので、それの反映であります。
それが、日本の歌謡曲のテイストに感応してヒット曲になった、そういうような御託でございます。
NOTHING TO HIDE / CHRIS MONTEZ
お次のシンガーも90年代まで、ほとんど知られることが日本でもなかったんですが。
リンダ・ルイスというイギリスのジャマイカ系の黒人女性シンガー。
とっても可愛い声をしております。
1972年のセカンド・アルバム、彼女の最高傑作と言われております「Lark」という、発売された当時は、ほとんど話題にならなかったんですが、だんだんカルト的な人気が出てきまして。
90年でようやくCD化されまして一般に知られるようになりましてから、人の口にのぼるようになりました。
私、運良く、そうしたUK系に強いやつがいましたので、70年代の終わり頃に、このアルバムすごく高かったんですけど買った覚えがあります。
リンダルイス1972年のアルバム「Lark」から。
SPRING SONG / LINDA LEWIS
70年代80年代で一番変な声だなと思った人がですねスティーヴィー・ニックス、フリート・ウッドマックでございますが。
この人の声も随分しゃがれた声だなって印象がありますが。
先ほどのボニー・タイラーがイギリス人だったのと同じに、スティーヴィー・ニックスは、なんとアメリカ人だったって、後で知ったという。
分かりませんね、クロスオーバーと言いましょうか。
フリート・ウッドマックという名前で幻惑されましたが。
スティーヴィー・ニックスだとこの曲ですかね、シングル買ったぐらいで(笑)
1983年全米5位。
イギリスではチャート入ってないんですよ。
今でも好きで、よく聴きます。
STAND BACK / STEVIE NICKS
日本で、そうした変わった歌い方とか、変わった声と言いますと、何と言っても矢野顕子さんでございます。
1976年にデビューしました。
「JAPANESE GIRL」、名盤でございます。
ここから「電話線」
電話線 / 矢野顕子
私も長いことレコード聴いてきましたけども、邦楽で一番、声という意味でインパクトがあったのは山本リンダさんですね。
デビュー作から、もう超絶であります。
今聴いても少しもいささかもそのインパクトは衰えていないという。
なんて言ってもデビュー曲、1966年ですから、これ。
この頃は、バックのスタジオ・ミュージシャンの演奏もですね、なかなかロックンロールしてるんですよね。
これ石川晶さんだと思いますけどね、ドラム。
1966年のデビューヒット「こまっちゃうナ」
変わった声というより、いわゆる舌っ足らずなんすね発音が。
なんか、やっぱりそういう系譜っていうのがあって、木村カエラさんとか、ああいうのにつながる感じですかね。
なんか、超絶的と言いましょうかですね。
これ、まだおとなしいんです。
この後の「トンボのメガネ」とかですね、もう大丈夫かっていうのたくさんありますが。
それはまた珍盤・奇盤でいきたいと思いますが(笑)
これ遠藤実さんが、こうやって歌えって言ったのか、その辺がですね、インタビューしてみないとわからない、という。
なかなか聞きたい事が、たくさん!
でももう、いらっしゃらない。
こまっちゃうナ / 山本リンダ
今日の最後は身内の方。
やはり超絶的な歌い方で知れらます布谷文夫さん
1973年の大瀧詠一さんがレコーディング関わりましたアルバム「悲しき夏バテ」から「五番街」
「変わった声のシンガーで棚からひとつかみ」ご清聴ありがとうございました。
五番街 / 布谷文夫