おとのほそみち

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山下達郎サンデーソングブック 2022年06月19日「ニューアルバム『SOFTLY』特集 PART2」

番組中の曲の解説部分を要約して記しています。 ネットに音源があるものは張っていますが、オンエアされたものとはヴァージョン等が異なる場合があります。

 

1. SHINING FROM THE INSIDE / 山下達郎 
2. LEHUA, MY LOVE / 山下達郎
3. OPPRESSION BLUES (弾圧のブルース) / 山下達郎 
4. コンポジション / 山下達郎 
5. YOU / 山下達郎 
6. ANGEL OF THE LIGHT / 山下達郎 
7. 光と君へのレクイエム / 山下達郎 
8. REBORN / 山下達郎


この曲からアルバムの後半。
前半はアップテンポが続いてバラードはほとんどないが、後半は割とバラードが多め。メロウでソフトリー。
偶然でそうなっただけで、意図したものではない。
この曲は2021年にTBCのCM用に書き下ろしたアカペラで、英語の詞。
アラン・オデイが亡くなってから、英語詞の歌はしばらく作ってなかった。
この曲の詞はnana hatoriという若い女性のシンガー・ソングライター。
アメリカ生まれでアメリカでの生活が長く英語が堪能なのでお願いした。
SHINING FROM THE INSIDE / 山下達郎 


2019年にJALのハワイ・キャンペーンのために書き下ろした曲。
ハワイ島にはオ匕アレフアという伝説がある。
ハワイの火の女神がオヒアという若者に求愛するが、オヒアにはレフアという恋人がいたので応じなかった。
怒った火の女神がオヒアを木にしてしまう。
恋人のレフアは泣き暮らし、その姿を見た火の女神が反省して、二人がずっと一緒にいられるようにレフアをオヒアの木に咲く花にした。。
これをを題材にして書いたが、内容はそれとは関係なく、純粋なレフアへのラヴ・ソング。
いわゆるフィリー・サウンドのような感じだが、アーバンではなくネイティヴなハワイ向きにして作った。
LEHUA, MY LOVE / 山下達郎


リリース前からYouTubeで発信し、番組でも何回かオンエアした「OPPRESSION BLUES (弾圧のブルース)」。
今はウクライナの紛争に照らして語られるが、曲を書いたのは昨年。
アフガニスタンで女性に教育はいらないとか、イスラム国が少女を連れ去るとか、ミャンマーの問題とか、香港の問題とか、そうしたニュースを知る度に、いつまで続くのかやるせない感じになり書いた。
声高に言うより、少し静かな抑制したトーンの方が伝わるものがあるんじゃないかと。
音楽家は音楽で表現するという考えで40数年やってきたので、今回もその考えで。
この曲もドラムが上原裕さん。「人力飛行機」のあがりがすごく気に入ったので、もう一曲お願いした。
この曲と「人力飛行機」はクリックを入れずに、メンバー4人の自由なビート感で演奏しているので、昔の感じがよく出ている。
OPPRESSION BLUES (弾圧のブルース) / 山下達郎 


2013年のシングル「光と君へのレクイエム」のカップリングで、NHKのドラマ『第二楽章』の主題歌。
途中にチャイコフスキーのヴァイオリン・コンチェルトのフレーズが出てくる。
フルオーケストラでやったら、もっといいと思うが、残念ながらキーが違う。
こういう情緒は生楽器ではなく、マシーンでなければ出ない。
コンポジション / 山下達郎 


ネットで見つけたポエム「あなたの瞳 あなたの耳 あなたの鼻 あなたの...」と続いて、最後を「YOU」で締める詩だった。
そういった言葉を羅列する歌詞を作ってみたいなと思って、「RECIPE」のシングルでアイテムを並べた。
それをもっと極端にしてみようという意図で作ったのが、この曲の歌詞。
有名なミュージカル『ヘアー』の「I Got Life」が正にそうだったが、レナード・バーンスタインがその曲をいいとは言っていない。
「素材さえあれば小学生にもできる」という発言に、ちょっと違和感があって、じゃあそういう曲を書いてみようかと、8ビートで作った。
最近の曲はフェイドアウトがほとんどなくなったが、フェイドアウトじゃなきゃ出せない情緒がある。
新曲だが、朝日生命のCMが決まって、すでにオンエアされている。
YOU / 山下達郎


2008年にシングル「ずっと一緒さ」のカップリング曲。
ミックスが気に入らなくて前作『RAY OF HOPE』ではボツに。
最近のデジタル環境でやり直したら、すごく気に入ったので今回無理矢理入れた。
アラン・オデイに作詞してもらった最後の作品、遺作。
哲学的な難しい詞で歌うのが大変だった。
ANGEL OF THE LIGHT / 山下達郎 


2013年のシングルで映画『陽だまりの彼女』の主題歌。
原作の越谷オサムさんの『陽だまりの彼女』はビーチボーイズの『Pet Sounds』、とりわけ「Wouldn't It Be Nice」が重要な役割を果たしていて、「Wouldn't It Be Nice」を歌詞の中に入れられないかという要望だった。
だから、サーフィン・ホットロッド風に仕立ててみようとして作った。
光と君へのレクイエム / 山下達郎 


アルバムを作るときからこの曲を最後にすると決めていた。
年相応の人間の死生観というものが「うたのきしゃ」とかにも出ている。
そういう意味では山下達郎の年相応の作品になった。
2017年の映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の主題歌。リミックスでさらに奥行きが増した。
REBORN / 山下達郎  


<了>