おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック 2020年1月12日「新春放談Part2(ゲスト:宮治淳一)」

 

かつて大瀧詠一さんを迎えて行われていた「新春放談」が、このたび宮治淳一をゲストに復活。今週は、その2回目。
その一部を書き起こしておきます。

1. 月への旅路 / ザ・リンクス '67
2. DEVIL SURFER / SCOTT ENGEL '63
3. SHOTGUN / THE PLAYBOYS '59
4. CARD SHARK / THE STRANGERS '63
5. EASY LIVIN' / THE STRANGERS '65
6. VENUS / BOBBY JASON '64
7. LET ME DREAM / GEORGIA GIBBS '66
8. HEAVENLY ANGEL / THE VISCAYNES '61
9. DOWN AND OUT / GEORGE FREEMAN '63
10. SEPTEMBER RAIN / THE CHARLIE CALELLO SINGERS '67
11. DON'T LET THE OLD MAN IN / TOBY KEITH '18

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 ■前説

達:先週に引き続きまして宮治淳一さんゲストに「新春放談」
9年ぶりの再開でございます。
先週は12月4日に発売になりました『Warner Pop Rock Nuggets』Vol.11、12の特集という感じでございました。
今週は宮治さんの持ってきてくださったシングル盤。
それから私の、持ってきたいろいろ。
そういうのを、お互いかけあうという(笑)
こっちは宮治さんが、なんか好きそうなやつを選んで、やってまいりました。
みなさんレコードコレクター、同じような生活をしております。
いろいろと、ここでしか聴けない最高の選曲と最高の音質でお届けをいたします。

 

■山口県を中心に活動しているインストバンド
達:いつも飲み屋でやってるやつと変わらない。
でも、大瀧さんのときよりも、全然まだおとなしいですから。
宮:ああ、そう。
達:大瀧さんのときは、政治も入るし。
宮:映画とかね。
達:映画も入るし。あと、エルビス始まると止まらない。
宮:なるほど。
達:一応、宮治さんのほうが、年が近いということもあって。
宮:そうね、エルビスってわけにはいかないものね。やっぱりね。
達:それでも、萩原健太入ってくるとね(笑)
宮:エルビスですからね。
達:それで、今日は久しぶりの「新春放談」なんで。
宮治さんが、いろいろとかけたいやつがあると。いくつか持ってきていただきましたが。好きなやつ、やってください(笑)
宮:年末の掃除でみつけて、一番うれしかったのはこれですね。
達:「リンクス」!あぁ「月への旅路」ね。
宮:これね、1976年か77年の冬に、高田馬場の「タイム」で(注:老舗中古レコード店。既に閉店。オンラインで販売)
達:はいはい。
宮:そこに、ひっそりと1枚あったんですね。
そのころ、エレキインストに夢中だったころで。
僕は絶対インストだって思ったら、実際インストだったんですけど。
B面聴いてみたら、歌謡ムードコーラスなんです。
達:山口のご当地ソングじゃないんですか。
宮:で、何がすごいかっていうと、ジョー・ミーク・サウンドなんです。
達:ほう。
宮:だから要するにテルスターなんですね。
達:これ、東芝?
宮:これ東芝のね、要するに私家盤ですね。
達:特販扱いね。
宮:そうです。おそらく東芝の特販じゃないかなと。
達:へぇー。
宮:だから東芝の袋に入ってたんですね。
これね、秋吉台かなんかで撮ってるんですね、山口県ですから。
達:山口のバンドなんですね。ということは山口を中心に活躍してる。すっごいなぁ。
これ、僕、写真みたことあるけど。
宮:あるんですか!
達:うん。
宮:さすが。
達:だけど、これインディなんだ。
宮:大インディですよ。
達:聴いたことないな、濃いなぁ(笑)
宮:これね、10年来なかったんですよね。
インストだから、インストのコーナーがあるんすけど、そこには入ってなくて。
とんでもない歌謡曲と一緒に入ってたんです(笑)やったって思って。
「山口の夜」が入ってたら、買わなかったと思う。
達:はあ。
宮:「Travel To The Moon」が見えてたんで。ジャケットでね。
この頃のインストバンドって外車と写るってのが大事なんですね。
達:ははは(笑)
宮:ブルーコメッツのもそうでしょ。洋もの!
達:なるほど。かなり強烈だな。
宮:強烈ですよ、すいません(笑)
これね、ほんとね、うれしかったんです。

 

■所蔵レコードの整理について

宮:この(6曲目にオンエアする)「Venus/Bobby Jason」再発です。家でなくしたもの(笑)
そういうのありません?
達:これ、僕持ってるけど、出てこない。
宮:出てこない(笑)
達:昨日、メールもらって、え、何これって(笑)
ジャック・ニッチェのコーナーないんだよね、僕ね。
宮:僕もコーナーないんですけど。
ジャック・ニッチェのものはですね、袋のここに。
ジャック・ニッチェ聴こうと思うと、ばっと引っ張ればいいという。
達:ほう。
宮:ふふふ(笑)
達:僕は、ソングライターとかはエクセルでデータベース作ってて。それができるようになったんで。ソングライターコーナーをやめて、全部AtoZにもどして。エクセルのデータがあれば、それが見れるってね。
そうでないと、バリー・マンとかそ、B面が誰かだったりするわけですよ。2枚もってるとダメみたいなね(笑)

 

 

■宮治さんが早稲田で社会人講座

宮:達郎さんに宣伝してもらった早稲田大学の八丁堀エクステンションというですね。
社会人講座みたいなの、私、講師やらして頂いてですね。
達郎さんに宣伝してもらったおかげで51名の受講者があって。
達:すばらしい。
宮:それを気をよくしてですね、また今年もやるんですけど。また5月くらいに。
今回のテーマはですね「スクリーン・ジェムズ・ソングライター」
達:大きくきましたね(笑)
宮:この番組聴いている人のためのようなもんです。
達:なるほど。
宮:そこで、レコード全部持ってきてかけると。簡単なリストも自分で作ってですね。
キャロル・キング、バリー・マン、ジャック・ケラー、ヘレン・ミラーという。
この番組を聴いてる私もですね、これやったら面白いだろうなというのをやらして頂こうと。
2月12日にホームページにアップされるということなので。
達:そのときに、また紹介させていただきます。
宮:今年は、ほんとに、このサンソンをやらせていただいたおかげで、更にやる気が出てきましたので。一生ささげようと(笑)
達:ほお、楽しみ(笑)
だけど、レコードのA&Rとしては、まだまだ全然現役なんですからね。
宮:おかげさまで、まだまだやろうと思っております。

 

■クリント・イーストウッドの「運び屋」
達:クリント・イーストウッドの「運び屋」
あれのエンディング・タイトルがトビー・キースっていうカントリーシンガーの。
宮:現代のカントリーシンガー?
達:トビー・キースはデビューして30年くらいかな。
「Don't Let The Old Man In」っていうね。要するに、老いを入れるなっていう。
宮:入れるなと。
達:これが、なかなか泣けたんですよ。ラストでね。
このあいだ、年末に風邪ひいちゃって。うちの奥様が紅白に出るので、風邪をうつすといけないので、しばらくホテルに隔離されてたんです(笑)
宮:たいへんでしたね。
達:でもNetflixみまくって。
Netflixは、特に音楽ものの、クインシー・ジョーンズとか、サム・クックとか、そういう、いいドキュメンタリーがたくさんあって。それを観まくって。
で、ちょうどそれで「運び屋」があったんで。
それを観たら、このエンドタイトルのトビー・キースの「Don't Let The Old Man In」っていうね。老いるのは早いっていう、いい歌なんですよ、これ。
バリトンのね、カントリー聴くとくるんですよ(笑)
オールディーズばっかりやってるけど、やっぱり新譜は新譜で、いいのがちゃんとあると。
宮:なるほど。
達:一応、サントラ買ってきたんで、今日はそれを最後にしようかと。

 

■来年も「新春放談」を

達:てなわけで、このぶんでいくと、来年の「新春放談」もできたかなって感じですけど。
宮:私もレコード・コレクティングの熱の入りようが違うという。
達:ははは(笑)
宮:発表の場ができたっていうのは、うれしい限りでございます。
達:ラジオニッポンのをもっと過激にやればいいじゃないですか。
宮:いやいや、自分の番組になると、なんかこう躊躇してしまうと。
達:ダメですよ、それ。自分の番組だともっと過激にいかないと。
でも、結構手間かかりますからね。
宮:やりだすとね。やっぱりね。
達:知ってる人、たくさんいるから。
宮:そうそう。
達:「あれは違う」とか、始まりますからね。
宮:そうなんですよ、いろんなことがね(笑)
ちょっとわかって引っ張り出してくると、全然わかんなかったことがいっぱいあると。もう次のステップにいけないという。
達:怖くなって(笑)
宮:(笑)
達:それを躊躇しちゃいけない!
宮:あ、そうですか(笑)
達:じゃ、また今年もよろしくお願いします(笑)
宮:お願いします(笑)

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「運び屋」はクリント・イーストウッドが「グラン・トリノ」以来10年ぶりに手掛けた2019年作品。


Toby Keith - Don't Let the Old Man In

運び屋(字幕版)

運び屋(字幕版)

  • 発売日: 2019/05/08
  • メディア: Prime Video

 

<この項おわり>