おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也



山下達郎サンデーソングブック 2019年01月13日 「昨年買った7インチシングルで棚からひとつかみ」

全部じゃないけれど、ほとんどが”Not on CDシングル”。つまりCD化されていないもの、という特集。
各曲に関する達郎氏のコメントの趣旨を書き起こし、YouTubeに音源がある場合は貼っておきますが、オンエアされたものとは別音源の場合があります。


1. DREAMING GIRL / 山下達郎

COZY

COZY

 
2. ON A MAGIC CARPET RIDE / KIKI DEE

毎年「レコードコレクターズ」という雑誌の新春号で「今年の一枚」という記事に、他の人と並んで出ていますが、今年上げたのがKIKI DEEの60年代の仕事。Elton Johnに迎えられて大ヒットを出す前、Fontana、Motownで作品つくってました。Fontana時代の作品は全然ヒットはしてませんが、いいものが多いです。特に私のお気に入りが1968年のシングルで、しかもB面のこの曲です。これTeddy Randazzoの曲なんですが、アレンジがMike Vickers、元 Manfred Mann。この人のアレンジが大好きで、アメリカのJerry Ross Productionとか、そういう感じになってます。KIKI DEEのベスト盤には入ってますが、あんまり音は良くないです。今日はオリジナルシングルから。これが去年買ったなかでは一番うれしいです。A面もBuzz CasonとMac Gaydenのコンビで良い曲です。

 

3. MY BABY'S GOT E.S.P./ FOUR BELOW ZERO

いわゆる70年代のディスコの時代にたくさん作品が出まして、今でも血眼で探している人がたくさんいるんですが、Patrick Adamsという大家のプロジェクトでFOUR BELOW ZEROというグループがいます。これは1976年の有名な曲ですが、CD化されているのが全部12インチ、つまりロングバージョンです。オリジナルの7インチ、12インチ全盛時代のショートバージョンといいますか、それがようやく手に入りました。
完全にSpinners(笑)ドラムは誰でしょう。Rick Marottaかなあ。このハットの正確さといいましょうか、ダイナミクスが一定で機械のようです。


4. THE GAME IS OVER / BROWN SUGAR

これは1977年。女性ボーカルグループの体裁をとっていますが、その実態はClydie King。キャリアが古い人ですが、 Ray CharlesのバックのRaelettesとか、 Blackberries、いろんなところを転々としていますが、この人のユニットですね。スタジオグループと言われています。1977年、PhiladelphiaのVincent Montanaがアレンジ、プロデュース、曲にも参加しています。

 

5. SEVEN DAY LOVER / JAMES FOUNTAIN


William Bellが創設したPeachtreeというレーベルがありまして、そこから1970年に出ました。JAMES FOUNTAIN、この人はどこの誰だかわかりません。でも曲は非常に人気がありまして、これはいろんなコンピのCDに収められています。プロデュースがWilliam Bellです。


6. WE CAN'T HIDE IT ANYMORE / SYLVIA & CHUCK JACKSON


私の大好きな、ニュージャージーのSylvia Robinson、作曲家、プロデューサー、シンガーでもあります。「Pillow Talk」をはじめ大ヒット曲がたくさんありますが、1977年に彼女がCHUCK JACKSONとデュオをやりまして、歌っている「WE CAN'T HIDE IT ANYMORE」はLarry Santosの1975年のヒット曲、いわゆる不倫ソングです。これをいつものSylviaのねちっこいやつでCHUCK JACKSONとたっぷりやっています。夜にお聞きいただくと、より情趣が増すと思います。
この他にも、Richie HavensやFacts of Life がカバーしています。割と有名な不倫ソングです。

 

7. CHEATERS NEVER WIN / BOBBY BOSEMAN

サザンソウルです。この人、バイオグラフィが全然わかりませんが、テキサス出身ではないかと言われています。1970年のこのシングルは日本では評価が高いです。今日はへそまがりでB面を。やはり南部のシンガーのTony Bordersが68年に発表した曲を、70年にカバーしてます。このBOBBY BOSEMANのバージョンはプロデュースがLeon Haywoodです。D.Penn, S.Oldhamのコンビの曲で予測はつくと思いますが、素晴らしいサザンバラードです。たった2枚のシングルしか出してませんが、歌はうまいです。


8. THE LIFE OF A CLOWN / BEN AIKEN

フィラデルフィアの人だそうです。この曲のプロデュースがGeorge Kerr、アレンジがRichard Tee。ですからニューヨークのレコーディングでしょう。この人のシングルは4枚くらいLomaから出てますが、その最後のリリース。もちろんヒットしてないのでCDになってません。1967年の作品。67年にしては、けっこうモダンです。


9. 夏への扉 / 山下達郎

RIDE ON TIME (ライド・オン・タイム)

RIDE ON TIME (ライド・オン・タイム)

 

#この項おわり