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【JAZZ新譜】超絶技巧の嵐、期待通りのハード・フュージョン Protocol V / Simon Phillips (2022)

プロトコル5 / サイモン・フィリップス

Protocol V

Protocol V

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レジェンドにして、現代最高峰のドラマー、サイモン・フィリップス。

TOTOをはじめ、マイケル・シェンカー、ホワイトスネイク、ザ・フー、ジェフ・ベック、ミック・ジャガー、上原ひろみらとの共演を重ね、ジャンルを超えた活動で知られる彼だが、そもそもは言うまでもなくジャズ/フュージョンの人。

1988年にスタートした彼のソロプロジェクト〈プロトコル〉は、ジャズをルーツに、ドラムという楽器表現の拡張性に挑んだシリーズだといえる。

 

2017年の『プロトコル IV』以来約5年ぶりとなる今回の作品は、期待に違わぬハードフュージョンのオンパレ。

2バス+6タム+1フロアタムと、やたらと点数の多い要塞のようなセットを、超絶技巧で叩きまくり、緩急も見事で歌心もあるから、それだけでオーケストラのよう。

このサイモン・フィリップスのドラムに、これまた超絶技工の面々、元ジョン・マクラフリン・バンドのオトマロ・ルイーズ(key)らが、丁々発止に絡む。

間のとり方も絶妙で、スッ空いた音の挟間に息を呑む瞬間がたびたびある。

もちろん、バカテクを決めまくるだけではなく、ギターやサックスには親しみやすいフレーズもあり、これまでのプロトコルシリーズよりは、やや聞きやすい気がする。

 

ミック・ジャガーがソロで来日したときのドラムがサイモンで、私は生でライブを見たのだが、正直、ミックやストーンズの音には全然合っていなかったと思う。

もちろん上手いことは上手いのだが、タイム感があまりにジャストすぎて、ロケンロールのルーズなノリがなく、また、エイトを叩いていてもどこか16のグルーヴが聞こえてくるのだ。

TOTOでの評判も高かったが、この人の真価が発揮されていたとは思えない。

何でも叩ける人ではあるけれど、サイモンの持ち味は歌のバックではなく、やはりプロトコルシリーズのような、インストにこそある。

なお、フュージョンファンばかりでなく、ドリームシアターなどプログレメタルが好きな人にもおすすめた。

 


<了>

 

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