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【JAZZ】新進女性シンガーが大先輩の作品をリミックス Y'all Don't (Really) Care About Black Women / Melanie Charles (2021)

 


ブルックリン生まれのハイチ系シンガーソングライター、メラニー・チャールズの、これがデビュー作。

名門Verveの過去音源をリミックスするプロジェクトの1作目に抜擢されての作品。

聞いてみると、RemixというよりRemakeのように思えるし、曲のタイトルにReimaginedと付いていたりするから、新たに創り変えたというのが近いようだ。

素材は古き良き時代のジャズなのだが、ジャズ、R&B、HIPHOP、SOUL、そしてハイチのルーツ・ミュージックをブレンドし、イマドキ感のあるエッジの効いたアレンジでまとめ上げている。

サラ・ヴォ―ンやエラ・フィッツジェラルドなどの声をそのまま使っているところもあり、アイデア豊かであり、大胆でもあるが、ちゃんと先人へのリスペクトが感じられる。

アレンジは尖ってはいるものの、メラニーの歌声には艶と包容力があり、耳馴染みはいい。

一方でデビュー作ゆえの初々しさや爆発力はあまり感じないが、すでに多くのプロジェクトに参加してきた経験からだろう。

タイトルからして、人種差別、性差別へのメッセージを強く含んでおり、彼女はリリースにあたり次のような趣旨のコメントを発している。
「黒人女性は今も昔も評価されず、世話もされず、保護もされず、無視されてきたのだということを不意に思い知らされました。私は、私の道を切り開いてくれた黒人女性が書いた、あるいは歌った曲に焦点を当てることにしました」

 


1 God Bless The Child
2 Perdido (Reimagined)
3 Detour Ahead (Reimagined)
4 All Africa (The Beat)
5 The Music Is The Magic
6 Pay Black Women Interlude
7 Woman Of The Ghetto (Reimagined)
8 Jazz (Ain't Nothing But Soul) (Reimagined)
9 Go Away Little Boy
10 What A Difference (Reimagined)
11 Beginning to See The Light (Reimagined)

<了>

 

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