ザ・ライツ・アー・オルウェイズ・オン / リン・エリエイル
アメリカを代表する女流ジャズピアニストの一人、リン・アリエルの16枚目となるリーダー作。
そのタイトルを見ただけで、コロナ禍や人種差別問題が渦巻くなかで、それでも希望の光は灯り続ける、と訴えようとしていることがわかる。
具体的には、医療従事者などのソーシャルワーカーや、民主主義を守るために戦った人々を称賛するために、制作されたそうだ。
リン・アリエルの奏でる音は、凛として美しく、ベテランでありながら瑞々しさにあふれる。
基本はハードバップで、ややヴィンテージでオーソドックスな演奏が持ち味だが、コンテンポラリーな展開にも才気を見せる。
フレーズに美メロや甘さは少なく、むしろややビターで、スモーキーなウイスキーの如し。
リズム隊も安定した駆動力があり、アンサンブルの緩急も見事。
テーマがテーマだけに、特に前半の演奏は重さ、思慮深さが目立つが、後半になると開放感のある演奏も出てきて、美しいバラード「Heroes」でアルバムは幕を閉じる。
Lynne Arriale リン・エリエイル (p)
Jasper Somsen イェスパー・サムセン (b)
E.J. Strickland E.J.ストリックランド (d)
01. March On (4:59)
02. The Lights Are Always On (3:23)
03. Sisters (5:15)
04. Honor (dedicated to Lt. Colonel Alexander Vindman) (4:26)
05. Loved Ones (3:27)
06. Sounds Like America (4:43)
07. The Notorious RBG (dedicated to Ruth Bader Ginsburg) (4:47)
08. Into The Breach (4:37)
09. Walk In My Shoes (dedicated to John Lewis) (4:24)
10. Heroes (4:17)
<了>
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