おとのほそみち

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KISS、エルトン・ジョン、ポール・サイモン ステージを降りるレジェンドたち

KISSの最終ツアー「END OF THE ROAD WORLD TOUR」が1月31日、カナダのバンクーバーで幕を開ける。

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まず北米で44公演が行なわれ、そのあと欧州を周り、8月から9月にかけては再び北米。11月半ばから12月にかけてはオーストラリア/ニュージーランドに行く。
現在発表されているだけでも100回以上のステージが予定されている。
残念ながら日本公演はまだ組まれていないが、いま発表されている分が全てだとはアナウンスされていない。追加公演が行われる可能性は高く、その中でぜひ来日を果たして欲しいものだ。
実はKISSは過去にも「FAREWELL TOUR」を行いながら引退を撤回した“前科”があるが、年齢を考えれば今回は本当だろう。
ジーン・シモンズは今年70歳になる。あの鎧のようなコスチュームは20kg以上あるそうで、かつてのインタビューで「ずっとやっていくわけにはいかない。いずれ体力が続かなくなる。どのみち70歳までにやめる」と語っている。メイクをしているから気づかないが、70歳のおじいさんにあの衣装でパフォーマンスさせるのは、さすがに酷だろう。


現在、エルトン・ジョンも引退ツアーを行っている。2018年の9月にアメリカでスタートし、21年までに何と300公演以上を開催予定だ。これも今の時点では、日本公演の予定はない。

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彼がツアーを引退する理由について「優先すべきことが変わった。子供たちができ、僕らの人生は変わった。子供をサッカー教室に連れていくことが最も重要になった」と語っている。
エルトンは2014年に英国で同性婚が合法化されると、長年のパートナーだった映画監督と結婚した。事実婚状態だった10年と13年には、いずれも代理出産で2人の男児をもうけており、子どもができたことで人生観が変わったということだろう。ただやはり70歳を超えた年齢も影響していると思われる。
なおツアーは引退するが、音楽制作活動は続けていくという。


ポール・サイモンは昨年、「Homeward Bound – The Farewell Tour」と題する最後のツアーを行った。引退理由について、2017年12月にリード・ギタリストでサイモンの友人であるヴィンセント・ングィーニが他界したこと。妻や家族と離れた状態でのツアーを楽しめなくなったことなどを挙げている。年齢のことは言っていないが、彼はもう70歳代の半ばを超えているから、引退を考えても当然だ。

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最終公演は、自身の故郷に近いニューヨーク州の公園フラッシング・メドウズ・コロナ・パークにて9月22日に行われた。全26曲を演奏。ダブルアンコールを受け、最後の最後に歌った曲はサイモン&ガーファンクルの「The Sound of Silence」だったそうだ。
彼もエルトンと同じく、音楽制作活動は継続する予定だ。


アメリカのツアーは過酷といわれる。
とにかく移動距離が長い。地域により気象の差は大きく、時差もある。
もちろん彼らほどのビッグネームは移動も宿泊もVIP待遇だろう。
それでも70歳を超えれば、体への負担は大きいはずだ。

 

国土が狭い日本は、移動が比較的楽だ。途中でいったん自宅に戻る日程も組める。
そのぶん、長くコンサートツアーを続けるベテランアーティストが多いのではと思うのは、ファンの勝手な期待だろうか。
小田和正さんは71歳、矢沢永吉さんは69歳だが、ステージを降りる気配はまるでない。
できるだけ長くステージに立ち続けて欲しいと思う。

 

追記)エルトンが出演するJohn Lewis & PartnersのクリスマスCMが泣かせる。「年齢」が重要なモチーフになっている。

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#この項おわり