おとのほそみち

行きかふ歌も又旅人也


【JAZZ2020】まさにジャズピアニストの神童!ジョーイ・アレキサンダー(Joey Alexander)

 

「10年に一人の逸材!」

「早くもグラミー候補の声!」

「あの大物プロデューサー○○が絶賛!」

といったフレーズを、リリース元は次々と繰り出してくるが、長く音楽を聞いていると、良くも悪くもそういう言葉には、心があまり動かなくなる。

これだけ音楽が細分化されて、ネット上に次々と新たな作品が現れるなか、だれもが認める逸材や傑作など、そうそう誕生するとは思えないからだ。

ひと昔前は、ネットですぐに試聴なんてできなかったから、そうした惹き文句も参考にせざるを得なかったけれど、いまなら簡単に音を確かめられる。

過剰に盛った宣伝文句は、かえって作品を安っぽく感じさせてしまいかねないと思う。

 

しかし、新進気鋭のジャズ・ピアニスト、ジョーイ・アレキサンダー(Joey Alexander)に冠された「神童」という言葉は本物だ。

ハービー・ハンコック、ウィントン・マルサリスが絶賛。

すでに2つのグラミー賞ノミネート作品を持つ彼は、なんとまだ16歳である。

 

インドネシアのバリ島出身。

6歳のとき親からプレゼントされたミニ・キーボードを弾いて独学でピアノを始め、8歳の頃にピアノのレッスンを受けるためにジャカルタへ移り住む。

2011年ハービー・ハンコックがユネスコの大使としてインドネシアを訪れた際にジョーイ・アレキサンダーの演奏を聴いて絶賛する。

才能があるだけではなく“持ってる”人でもある。

いくらピアノがうまくても、ハンコックの前で演奏できる機会など、めったにないからだ。

2013年からは、大規模なジャズフェスに次々と出演。

2015年にデビュー・アルバム『マイ・フェイヴァリット・シングス』を発表。グラミー賞の二つの部門に最年少でノミネートされた。

そして2020年、名門Verveレーベルから満を持してのメジャーデビューである。

アルバムタイトルの『Warna』は、インドネシア語で「色」という意味。

文字通り、彼の多彩なテクニックが満載だ。

バリ島出身と聞くと、そのルーツミュージックであるガムランの影響があるのではと想像してしまうが、それはまったくない。

現代ジャズの王道中の王道。ド直球のピアノ・トリオである。

それでベテランのミュージシャンたちを唸らせるのだから、ホンモノだ。

ロバート・グラスパーらヒップホップの影響が強いジャズピアニストを「ちょっと違うんだよなー」と感じているシニアなジャズファンにこそ、このジョーイ・アレキサンダーを聞いてほしいと思う。

付け足しのようになってしまうが、ドラマーのケンドリック・スコット、ベーシストのラリー・グレナディアの緩急自在のプレイも素晴らしい。

ワルナ

ワルナ

1. Warna (Joey Alexander)
2. Mosaic (of Beauty) (Joey Alexander)
3. Lonely Streets (Joey Alexander)
4. Downtime (Joey Alexander)
5. Affirmation I (Joey Alexander)
6. Inner Urge (Joe Henderson)
7. We Here (Joey Alexander)
8. Tis Our Prayer (Joey Alexander)
9. Fragile (Sting)
10. Our Story (Joey Alexander)
11. Affirmation III (Joey Alexander)
12. The Light (Joey Alexander)

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■Personnel:
Joey Alexander - piano
Larry Grenadier - bass
Kendrick Scott - drums
Luisito Quintero - percussion (1, 4)
Anne Drummond - flute (11, 12)

 


スティングのあの曲です。

 

 <この項おわり>